孫さんは嘘をついている?

ソフトバンクの孫正義さんに言わせると、SIMロックフリー端末の需要はほとんどないそうな。

ソフトバンクの犬これってまるっきり嘘ではないにしても恣意的ですよね。要点から目線を反らそうという意図が透けて見えます。だって月々のスマホ代金を安くしたいのは万人の願いだし、中には待ち受け主体でキャリアのサービスをあまり使っていない(MVNOにすればスマホ代を節約できる)人たちが大勢いるのだから。

ではなぜSIMロックフリー端末が売れてないかというと、一番大きいのはMVNOの認知度の低さ。単に知らない人がまだまだ多いということ。

そして二番目はタイミングの問題でしょう。MVNOを知ってはいても踏み切れない事情があると。

実際、日本ではiPhoneが圧倒的人気なわけで、そのSIMフリー版がAppleから発売されたのは昨年の暮れ。その前にキャリア版のiPhone 5Sや5Cを買った人が乗り換えられるべくもありません。iPhone 5ユーザーも割賦払いが1年も残っていれば、端末代割賦残金と中途解約料金の合計が3万円以上になるので、やはり早々には乗り換えられないでしょう。docomoのiPhone取り扱いも始まった今、MVNOに魅かれるのはスマホ利用料金に敏感な人たちなので、高い料金を払って即転出とはいきません。

つまるところ現状でSIMロックフリーiPhoneに乗り換えられたのは、この半年ちょっとの間が機種変更タイミングにあたった人に限られていました。例えばiPhone 4Sを2年ぐらい使い続けていた人たちですね。でもiPhoneは実質0円制度のおかげで2年ごとに負担なく最新機種に乗り換えられるので、そのような人はあまり多くないはずです。

ただし、この秋にiPhoen 6が発売されれば潮目が変わる可能性は大いにあります。なにしろiPhone 5のユーザーが割賦販売の満期を迎え、機種変更タイミングにさしかかるので。2年縛りの中途解約には1万円ほどがかかるにせよ、待ち受け主体のライトユーザーなら端末代を含めて1年半で回収できます。iPhone 6を2年以上も使うなら以降はひたすら経済的なメリットを受け続けられるし、バッテリーがへたれば、その都度5,000円ぐらいで交換して使えばいいわけで。

よって孫さんの言う「わざわざ6~8万円も出してiPhoneを買いたいというユーザーはほとんどいないことが実績として証明された」は、あくまでも現時点での話。SIMロックフリー版iPhoneが本格的に売れ始めるのはiPhone 6発売後です。しかも早くからiPhoneユーザーを囲い込んできた分、ソフトバンクから続々と転出の一人負けなんてこともありましょう。

もっとも孫さんにしてみれば現行通り料金の高止まりを維持したいはずで、そういったトレンドが起こることを牽制したいでしょうね。SIMロックフリーはあくまでもマニアックな需要であるかのように見せようと。MVMOにソフトバンク系のサービスはないのだし。

加えて、総務省の通達でSIMロックフリー政策も願わくば骨抜きにしたいでしょう。それによって中古iPhone市場が活気づいて新機種の売れ行きが鈍ることへの懸念もあるだろうから。こちらは三社共通の懸案だけど。

でもなぁ、ソフトバンクも3年ぐらい前までは大手2社に果敢に挑むチャレンジャーだっので応援したい気もあったけど、今や三つ巴カルテル体制の一角みたいになっちゃったから、もはやソフトバンクの躍進は野球だけでいいかな。

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iPhoneは実質0円だから高い

iphone-5s-hero-l-201311SoftBank(docomoもauも)のiPhoneの場合、端末の割賦購入代金が月々割で相殺される実質0円です。以前は私もこれが有り難い制度だと思っていました。ガラケーの頃は最新機種への機種変更の際に何万円か払っていたので。

でも、今となってはこれこそが罠のような気がしています。なぜなら24ヶ月の満期を過ぎても月額利用料は変わらないから。SoftBankのiPhoneを使う限り、約7,300円〜(通話なし・あんしん保証パック契約なしの場合)を延々と払うことになります。累計金額は2年なら約18万円、3年で約27万円、4年だと約36万円にも上ります。

そこで通話可能なMVNOのSIM(データ通信量1GB/月)との支払い額合計を比較してみました(100円未満切り上げ)。

なお、MVNOのSIMへの乗り換えに関しては初期費用として以下をカウントしています。

  • 中途解約料:10,260円
  • MNP転出手数料:2,160円
  • SIM購入代金:3,240円
  • SIMロックフリー版iPhone:73,224円

また、端末12回払いはアップルストアが現状通り12回まで金利無料のキャンペーンを行った場合の例です。

支払い月 SoftBank MVNO SIM MVNO SIM
(端末一括払) (端末12回払)
初期費用 0円 約89,000円  約15,800円
1ヶ月目 7,300円  91,200円 24,100円
2ヶ月目 14,600円 93,400円 32,400円
3ヶ月目 21,900円 95,600円 41,700円
4ヶ月目 29,200円 97,800円 49,000円
5ヶ月目 36,500円 100,000円 57,300円
6ヶ月目 43,800円  102,200円  65,600円
7ヶ月目 51,100円 104,400円 73,900円
8ヶ月目 58,400円 106,600円  82,200円
9ヶ月目 65,700円 108,800円 90,500円
10ヶ月目 73,000円  111,000円 98,800円
11ヶ月目 80,300円 113,200円 107,100円
12ヶ月目 87,600円 115,400円 115,400円
13ヶ月目 94,900円 117,600円 117,600円
14ヶ月目 102,200円 119,800円 119,800円
15ヶ月目 109,500円 122,000円 122,000円
16ヶ月目 116,800円 124,200円 124,200円
17ヶ月目 124,100円 126,400円 126,400円
18ヶ月目 131,400円 128,600円 128,600円
19ヶ月目 138,700円 130,800円 130,800円
20ヶ月目 146,000円 133,000円 133,000円
21ヶ月目 153,300円 135,200円 135,200円
22ヶ月目 160,600円 137,400円 137,400円
23ヶ月目 167,900円 139,600円 139,600円
24ヶ月目 175,200円 141,800円 141,800円
       
36ヶ月目 262,800円 168,200円 168,200円
       
48ヶ月目 350,400円 194,600円 194,600円
       
60ヶ月目 438,000円 221,000円 221,000円
       
72ヶ月目 525,600円 247,400円 247,400円

この通り、1年半後には支払い金額の累計が逆転し、それ以降は長く使えば使うほど差が開いていきます。5年後には2倍です。

同じ端末を5年も使うかと思うかもしれないけど、今秋発売が見込まれるiPhone 6には遂にNFCが載ると噂されています。それが実現すれば、その先のハードウェアの進歩は小幅なものになるでしょう。パソコンがいつしかそうなったように、せいぜいチップ性能が上がるとか、消費電力が減るとか、本体が薄く軽くなるとかに留まろうかと。

つまり、今年iPhone 6を買うと、来年以降にiPhone 6sやiPhone 7が出ようとも買い替えようと思わなくなる可能性があります。パソコンなんか壊れるまで何年も買い替えませんよね。もちろん私の想像が及ばない画期的なハードウェアの進歩がないとは言い切れないけど、それでもiPhone 6に満足するなら、ヘタったバッテリーを2年ごとに交換しつつ5年以上使うなんてことも考えられます。

もっともこの比較例が当てはまるのは、普段の通話が少なく、月のデータ通信を1GB以下に抑える覚悟のある人に限られますが、MVNOのサービスは次第に向上して行くでしょうし、街のWi-Fiも着実に増えていくので、二つ目の方の不便さは緩和されていくでしょう。

そして私と同じような考えの人も少なくないはず。もう必要最小限のサービスでいいからスマホ代を安く上げたいと。

今秋はスマホ業界のターニングポイントになるような気がします。少なくともハイエンドなスマホ市場の飽和状態、成熟期への突入、買い替えサイクルの長期化やローエンド端末の台頭などが顕著になるという感じで。

「スマ放題」に騙された

「スマ放題」にはごまかされんの続きです。

スマ放題

先日、SoftBankが新サービス「スマ放題」の一環で「データ定額パック2(2GBまで3,500円)」を発表し、てっきりライトユーザーなら現状5,200円/月のデータ通信料を3,500円に抑えられるのかと思っていたら、どうも違うみたい。「データ定額パック2」に申し込むには「通話し放題!(月2,700円)」への契約も必要とのこと。

つまり「スマ放題」はライトユーザーへの配慮や台頭しつつある低価格SIMサービスを意識したサービスなどではなく、「日ごろの通話が多いユーザに通話定額を提供しつつ、データ通信量は選べるようにする」ってことのようです。

要はdocomoの丸パクリなわけですが、無料通話アプリや楽天でんわなんかに需要を取られるくらいなら、無制限通話の定額制を入れて使い続けてもらうって作戦でしょうか。

ならば、普段ほとんど通話をしない人が「スマ放題」に切り替えようものなら、データ通信量の制限がかかる上に月々の利用料はもっと高額になってしまいますね。

結局のところ、客単価の高止まりは維持しますって話なのか。レストランに例えるなら、どのメニューを選んでも普通の人では食べきれないほどの大盛りの料理が出てきて、小食の人からも高い代金を受け取るようなやり方を続けるようです。そりゃ儲かるだろうな。客の利用状況に見合わない料金を徴収できるのだから。

これでますますSoftBankからの転出の決意が強くなりました。SIMロックフリー版にすれば、分量的にもお値段的にもちょうどいい定食が食べられますからね。

SoftBankとは、あと4ヶ月限りの付き合いになるかな。

「スマ放題」にはごまかされん

SoftBankのおとうさんSoftBankが新料金サービス「スマ放題」を発表しました。先手を打ったドコモへの追随ですね。 さしあたり私に関わりがありそうなのは以下の点。

2. データ定額パック

プラン名 国内データ通信量 月額料金
データ定額パック2 2GBまで 3,500円
データ定額パック5 5GBまで 5,000円
データ定額パック10 10GBまで 9,500円
データ定額パック15 15GBまで 12,500円
データ定額パック20 20GBまで 16,000円
データ定額パック30 30GBまで 22,500円
データ定額パック(シンプルスマホ) 200MBまで 2,000円
データ定額パック(3Gケータイ) 使い放題 3,500円

現状のパケット定額料が5,200円なので、月2GBまでのパック2に切り替えれば1,700円オフ。 ならば通話がなかった月の利用料が6,000円以下に納まります。でもMVNOが2,000円(1GB/月)と比べると…。まあ直接の競争を避けたのでしょうが。 それからこちら。

6. 長期継続ボーナス

ソフトバンク携帯電話の契約期間に応じて、毎月の利用料金で貯まる「Tポイント」の付与率がアップするそうな。

  ~2年目 3~10年目 11年目~
請求額1,000円につき 5ポイント(通常) 10ポイント(2倍) 25ポイント(5倍)

私は東京デジタルホン時代からのユーザーだから5倍です。

でもポイント還元なんてたかが知れています。月の利用料が6,000円なら通常30ポイントが150ポイント。要するに150円相当のTポイントです。MVNOのSIMに乗り換えた場合の節約額と比べれば小さく、転出を躊躇わせるほどではありません。

ここで整理してみるとこんな感じ。 iPhoen 6の販売形態が従来通りになると仮定して、SoftBankなら通話を除く月額利用料が6,000円(データ通信2GB)。端末代(16GBモデル)は24回の割賦払いと月々割の相殺で実質0円です。

一方、hi-hoやIIJ みおふぉんなら1GBで2,000円。ただし端末は別途購入する必要があり、仮に72,000円として24で割れば3,000円。足して5,000円。その差は1,000円まで縮まります。MNP転出にともなう費用が発生すること、SoftBank端末どうしの無料通話があることなどを考えれば、十分張り合える水準になったと言えそうです。家族でSoftBankに揃えたファミリーなど、そのまま残った方がメリットのある人もおられるでしょう。

とはいえ、私みたいにキャリアによる2年縛りの制約から逃れたい人を引き止める効果はありませんね。

でも、もしSoftBankのiPhone 6がSIMフリーとして発売されれば、来年夏の更新月までは契約を続けても良いと思わせるものはありました。


追記:

気になってSoftBankに問い合わせたら、現行5,200円のデータ定額を「データ定額パック2」に切り替えることはできないのだそうな。結局のところ「電話し放題に申し込めば、データ通信の料金は選ばせてやる」というサービスのようです。ならば、通話はしないけどデータ通信料金は抑えたいというライトユーザー層にはまったく恩恵はないわけだ。

つのるSoftBank不信

案の定、iPhone 6(と他のハードウエアも)がWWDCの基調講演で発表されることはありませんでした。やっぱり秋発売ですね。

順当に考えればWWDCではiOS8の方向性などを開発者に通達し、その3ヶ月後を目処にデバイスを発表するという流れです。iOS8、Androidをキャッチアップする小粒な新機能が満載って感じだけど、一番知りたかったNFCが載るかはまだ不明ってことか。

でもまあ往々にして地味なアップグレードが人々の利用形態を変えたりするものです。期待して待ちましょう。

promo_ios8
さて、これで私も今しばらくiPhone 5を使い続けることになります。本当は新端末を買ってさっさとSoftBankとの契約をやめたいのだけれど。

そう思う理由の一つは利用料の高止まり。通話がなくとも月額7,500円〜という金額は高いですよね。

もう一つが中途解約料の制度。私がiPhone 5を買ったのは一昨年の秋。ならば契約更新月は今年の秋かと思いきや、SoftBankに訊ねると来年の8月とのこと。何でも5年前にiPhone 3GSを買った時がホワイトプランの契約スタートで、以後2年ごとに更新だから次は来年だそうな。

でも、ホワイトプランはiPhoneの新機種が出るたびにちょこちょこ改定されてきたのですよね。しかも古い契約内容は引き継げず、新しい方に強制移行ってこともありました。なのに機種変更による新ホワイトプランへの移行時が更新タイミングではないなんて、ずるい話だろうと。

昨冬のSIMフリーiPhone発売後、世間で大騒ぎになっていないのをみると、それも合法なのかもしれないけど、どこか腑に落ちません。ほんでもってSoftBankのiPhoneを使い続ける限り、この理不尽な契約形態が続くのでしょうから、この際、SoftBank(というか大手3キャリア)とは早く手を切りたいのですよね。

9,500円の中途解約料を惜しんで割高の利用料を払い続けるのはナンセンスでしょう。2年単位の囲い込み策が逆に転出を促すというパターンです。

まあ、iPhone 6の発売までにSoftBankが以下の変革をやってくれるなら残りますが。

  • SIMロック解除の手段を希望者に提供(確か米国ではそうなってる)
  • 月の使用料が5,000円に納まる料金プランを導入(高速データ通信が1GB/月までとかで)
  • 2年ごとの更新を「最低契約期間が2年」に改める(満了後いつでも追加料金なしに解約可)

でも、さすがの孫さんでも、ここまではやらないだろうな。今後、低価格SIMに流れる人が増え、無視できないトレンド、ボリュームにならない限り、自分らの売り上げを減らすことを率先してやるはずはないもの。