2020年の東京オリンピック消滅

2020年東京オリンピック・パラリンピック招致のロゴマークニューヨークでの猪瀬直樹東京都知事の不適切な発言によって2020年のオリンピック・パラリンピックの東京招致は事実上不可能になりました。猪瀬氏は「文脈が違う」などと反論しているようですが、論拠が伴っていないので説得力はありません。

よりによって石原慎太郎前都知事から悲願の夢を託され、先の都知事選では430万票あまりの最高得票で当選した彼が、招致に対して致命的な大失態を演じてしまったわけです。何とも罪作りな…。

もっとも彼は昔から独善的な発言を繰り返す人でした。今回も本性をさらけ出したということでしょう。

例えば東京の地下鉄が禁煙化された際には全国ネットのテレビ番組で「こんなことじゃ自由がなくなる」と言い放ったし。彼にとっては社会の規範よりも自身の欲求の方が重要なようで。

これが「喫煙室を設けろ」や「だったら駅ではたばこを売るな」とかなら理解もするのですが、彼の口ぶりは「他人が嫌な思いをしようが知ったこっちゃない」と言わんばかりでした。

一頃熱心だった道路公団の問題にしても、やはりテレビで「報酬も貰わず手弁当で取り組んでいる」などと誇っていましたが、彼はそれをメディアで話し、文章を書いて対価を貰うのだから、それって何のことはない作家の取材活動、ネタ作りの一環なわけです。それをさも無私の奉仕であるかのように喧伝するという浅ましさ。

オリンピック・パラリンピックとは人々の多様性の象徴でもあるわけで、さしずめ他人を認めない猪瀬氏は最も東京都知事に相応しくない人物だったのかもしれません。

とは言え、今回の彼の失言がなくとも2020年の東京オリンピック・パラリンピックの可能性はほぼゼロでした。なぜなら2018年の冬のオリンピックの開催地は平昌(ピョンチャン)だから。オリンピックで重視される放映権ビジネスおよび新たなマーケットの開拓・拡充という観点からして、韓国の次の開催地が日本なんてことはそもそもあり得ない話なわけです。

ではなぜ東京が候補地として残されているかというと、かつて南アフリカでワールドカップの際、治安などの問題で実施が困難になった場合は代替の開催地として日本が有力視されていたのと同じ。イスタンブールとマドリードの両方に不都合な事実(例えば経済破綻やテロの勃発など)が明るみになった際のすべり止め程度の位置づけですね。もちろん関係者はそんなことは重々解っているけども、結論が出るまでファイティングポーズを取り続ければ利権にあずかれると。

まあでもこれを機にオリンピック招致なんてギャンブル政治はすっぱりやめて、4,000億円とも言われる基金を社会福祉なんかに回せば、それはそれでより良い社会作りの切っ掛けにはなるかもしれません。

スポーツプラスの思い出

SportsPlus Card先日、何気なくフィリピン航空のWebサイトにアクセスしたら、今月22日の搭乗分からスポーツプラス()の年会費がまた値上がりしていました。

 ※ 加入しておくと預け荷物が+20kgまで無料になるダイバーにはありがたいサービス

日本⇄フィリピンで使える「スポーツプラスアジア」が12,500円→14,500円。フィリピン国内線用の「スポーツプラスフィリピン」が6,300円→7,300円。円安ペソ高による緊急処置かな?円高の頃にも順調に値上がりしていたけど…。

まあ、成田と名古屋の発着便なら一昨年から23kg x 2個まで無料で預けられるようになったので、それ以外の空港を使う人向けですが。

いや、東京・名古屋からでも、さらに20kg x 1個を追加できるので、撮影機材の多いプロなんかが予算に余裕がないときには使う分には、ビジネスクラス(32kg x 3個)よりリーズナブルです。

さて、私はスポーツプラスにはちょっとした思い出があります。3年前、当時の私の機材は20kg(当時は成田便も20kg1個までだった)に収まっていたので、セブにはスポーツプラスに未加入のまま行っていました。最悪、レギュレータセットを機内持ち込みにすれば、お土産類をたんまり買い込んでもOKだったし。

でも、あるとき連れ3人と行った際、帰りのマクタン空港のチェックイン時に大きく重量オーバー。その時は誰もスポーツプラスには入っていませんでした。

パックツアーだったので帯同してくれていたフィリピン人の男性ツアーガイドに片言の日本語で言われたのが「一人、スポーツプラス、入れ」。ならば私が入るしかないですよね。他の人よりも来る頻度が多いし、加入してても無駄にはなりません。

すかさず「I Join」と答えると、私一人だけ旅行客が立ち入っちゃいけないような裏道を案内されながら、フィリピン航空のオフィスに通されました。

するとそこで1年前にセブに行った際にお世話になった年配の女性ツアーガイドに遭遇。お互いに顔を覚えていたので、「やあ久しぶり」と挨拶したら涙ぐんで喜んでくれました。しかも今回の彼よりも彼女の方が日本語が達者だったので、後の手続きはすべて彼女にお任せ。男性ガイドそっちのけで私のスポーツプラス加入を手引きしてくれました。

フィリピンの人たち、懐っこくて情にも篤く、馴染みになると良い人が多いです。日本が人口減少対策で移民政策を行うなら、個人的にはフィリピンの人をたくさん迎え入れたいなぁ。それまで日本が経済大国の地位を保っていられるといいけど。

そうしてチェックインカウンターに戻ってきたら、連れの3人はとっくにチェックインと出国手続きを済ませて、待合室でくつろいでいました。

期せずしてスポーツプラスに現地加入できたわけですが、もしツアーガイドが帯同していなければ重量超過の料金を取られていたでしょう。スポーツプラスの会費も当時は6,500円だったので安く上がりました。

なお、この話には後日談もあって、また改めてセブに行った際にマクタン空港の外、各社のガイド達がツアー客を待っているところでその男性ガイドに再会しました。「今回も彼の案内か」と思いきや彼は一人のフィリピン人女性を指して「私の奥さん」と。夫婦揃ってツアーガイドだったのか。

しかもホテルまでの車中、私が「明日はコンティキビーチのダイビングサービスを使うんだ」と言うと、「コンティキビーチ、私と旦那さんが始めてデートした時に行った」だと。知らんがな。まあでもあそこはパブリックなビーチだから、それもありでしょう。

フィリピン、何度も行くとけっこう面白いことがあります。