リニア新幹線は要らんと思わない?

JR東海のロゴ発表から一ヶ月が経ち少し古い話題になったけど一応触れておきます。リニア新幹線の話、私は否定的です。壮大な無駄だと思うから。

批判にありがちな「外の景色が楽しめないからダメ」なんて言う気はありません。飛行機だってそうだもの。直ぐに窓の日よけを下げろと言われるし、上げたところでひたすら雲だから。

でも、諸々考えると、つくづくリニア新幹線には見込みがなさそうな気がするのですよね。

《時短効果》

一番のうたい文句に「品川から名古屋まで最速40分」などと言われているけど、途中の各駅に止まれば72分かそれ以上かかるそうです。停車時間に加えて減速と再加速が必要だから。でも、そうなると現行の89分〜よりも圧倒的に速いとも言えません。品川駅が地下深くに作られるならなおさらです。

また、神奈川から乗ろうとすると橋本は新横浜よりも都心から遠く不便です。

まあ、車両基地を造る関係で新横浜近辺にできなかったのだろうけど。

よってリニアはほぼ品川⇄名古屋のシャトルとして運用されるのでしょうね。結局、リニア新幹線による時短の恩恵を受けられるのは品川にアクセスしやすい人に限られそうです。

《ライバルは?》

東京⇄名古屋の移動に飛行機を使う人はほとんどいないので、リニア新幹線の最大のライバルは在来の新幹線にほかなりません。

しかもリニアが事実上の品川⇄名古屋のシャトルなら、その他の駅を基点にする乗客には無縁なわけだから、乗客数の面でリニアの方が分が悪い気がします。

例えば東京駅に近い人が名古屋に行く際、わざわざ品川に移動してリニアに乗ったりはしませんよね。同じく名古屋よりも西から東京方面に行く人もリニアに乗り換えたりはしません。

それに熱海や掛川、浜松なんかにもそれなりの乗降需要はあります。

ダイバー目線で言えば、大瀬崎(日本でもっとも多くのダイバーが詰めかける)に近い三島駅まで新幹線を使う人も多いのですが、内陸を通るリニア新幹線ではもちろん行かれません。まあ、ダイバーは全乗客の中のほんの僅かだけど。

人口は増えないこと、リニア新幹線が開通しても在来線は廃止できないことを考えると、リニアと在来で客を分け合えば、どちらが勝っても負けても運用コストが嵩み、結局は運賃に跳ね返りかねません。

《航空機との競争》

2045年には大阪まで伸ばすと言われており、そうなると飛行機との競争が現実味を帯びてきます。

名古屋までのリニア新幹線の運賃は現在の新幹線の800円増しを予定しているそうですが、それだと11,580円。一方、飛行機は早めに押さえれば沖縄へだって1万円以下で飛べます。この傾向は向こう30年間でますます進むのではないかと。

なにしろ飛行機の操縦やらメンテナンス(ローカルルールは加わるかもしれないけど)やらは世界共通。外国人のパイロットを連れてくることも容易ですが、リニア新幹線は日本独自のものなので、運転手や整備士の人件費の面でもなかなかコストを下げられないはずです。

それに、リニアって早い話が「飛行機並の速度で走る地下鉄」。高速走行は爆音を伴うので地下を掘って通すか、地上なら防音壁のチューブ内を走らせる必要があります。当然、建設コストは莫大で、かつ運用には全区間のトンネル内(リニアの場合「線路」でいいの?)のメンテナンスが常に必要です。

大気の整備なんかいらず、空港さえ造って維持すれば運行できる飛行機とはコストに雲泥の差が出る可能性は大いにありましょう。価格競争の面ではリニア新幹線は飛行機には到底適わないはずです。

帰省ラッシュ時の「乗車率200%」なんて荒業はさすがに飛行機には無理ですが。

よってリニアが大阪まで延びることはないかも知れません。いずれにせよ何十年も先の話ですが。

《輸出の実現性》

「リニア新幹線は海外に売れるはず」という意見も聞きますが、どの国が買ってくれるのでしょう?

条件的には国土が広くて経済力があり、空路が十分に発展していないところでないと。しかも必要な電力は新幹線の3倍。整備や運用には日本人と同レベルのスタッフも必要です。

真っ先に思いつくのはドイツですが、意外や意外、生真面目で几帳面な印象のあるドイツ人も鉄道に関してはルーズなのだとか。ダメじゃん。

きっと文化の違いなのでしょう。鉄道は時刻上の正確性を求める対象ではないと。

先日、安倍総理は米国でニューヨーク⇄ワシントンDCにどうかと提案していましたが、アメリカは言わずと知れた飛行機大国。とっくにバス感覚です。もちろん要人やセレブはプライベートジェットだし。

他にはシンガポール?ドバイ?狭すぎます。ユーロ諸国横断?足並みが揃わなそう。

中国?確かに国土は広いけど、この先は政変もありそうで経済力が順調に伸びるとも限らないし、運用も無理でしょう。

ってなわけでリニア新幹線、技術的には文句なしに優れていても日本独自のガラケーならぬ「ガラテツ」になりそう。

いや、地上でも走らせられるよう爆音を抑えるべく速度を落とすなど、諸外国向けに運用条件を相当下げればすり合わせできるかも知れませんが、それなら高価なリニアではなくもっと枯れてて安価に導入出きる方式の方が受けはいいはずです。

今の新幹線ですら、海外にはなかなか売れないわけだし。

だいたい長距離の電車移動で10分、20分を短縮して喜んでいるのは世界中でも日本人だけです。

いや、もちろんリニア新幹線にも明らかなメリットはあって、例えば在来線のバックアップ目的では有用です。

この先、富士山の噴火や関東や東海地方の巨大地震も起こり得るわけだし。

それに悪天候下も運行できそうな点でも有利ですが、そもそも大雪やら台風直撃だと品川や名古屋まで辿り着くのが困難かも知れないわけで…。

リニア新幹線計画については「民間企業がやろうとしていることに口を出すな」という意見もよく聞きますが、本当にあらゆる条件をシミュレーションして計画を発表したのか私は怪しいと思っています。特に乗車率の面が。果たして在来線も残しつつ十分な利益を上げられるだけの乗車率を確保できるのか。実現にこぎ着けるために大きく数字を盛ってやしないかと。

リニア新幹線、14年後の開通、運行開始も怪しいところですが、走らせるほどに赤字が積み上がっていくものの、不採算でもJR東海は潰せないからと、今の東電のように政府が税金で支えるようなことにならないことを願うばかりです。

アニラオの海の印象

台風27号、日本への最接近は来週半ばだと思うけど、その頃には920hPaなんて凄まじい勢力になっているやもしれません。みなさんお気をつけください。


日が経って忘れない内にアニラオの海の印象を書いておきます。

台風のせいでコンディションは万全からはほど遠かったものの、一定の感想を得ました。ひと言で言うなら「魚がすれてない」でしょうか。

例えばジョーフィッシュ。ソンブレロというダイブサイトのオリビアシュリンプがいる岩窟の左隣には砂地のスロープがあり、ゴールドスペックジョーフィッシュが1匹生息していました。

ゴールドスペックジョーフィッシュ
ゴールドスペックジョーフィッシュ。 思いっきり寄れるもんだから近寄りすぎてピントが向こう側の目にいっちゃいました

フィリピン人ガイドのニックさんがおもむろに近寄っていったと思ったら、巣穴から頭を出していたジョーフィッシュの喉元に人さし指でちょこんんとタッチ。するとジョーフィッシュが飛び出して近くの別の巣穴にお引っ越し。

ゴールドスペックジョーフィッシュ
あっさりと全身をさらしてくれます

ニックさんが元の穴を石で塞ぎ、もう一度タッチ。するとまた別の穴に移動します。

二番目の穴も塞いで三たびタッチしたら、ジョーフィッシュは最初の穴を塞いでいる石をくわえてどかそうとしました。もちろん全身はさらけ出した状態です。

これが他所のジョーフィッシュなら、人間が近寄っていくだけで穴の奥に後ずさりして潜ろうとするのですが、ここのは緊張感というか警戒感が薄いですね。

ゴールドスペックジョーフィッシュ
頭から撮るとなかなかシュールです

アニラオはダイビング向けにフィリピンで最初に開拓された地だと聞いていたものの、何十年もダイバーが入っている割に、魚達がすれていませんね。あるいは人馴れしているのか。ピグミーシーホースも浅い海にいるし、クダゴンベなんかもけっこう寄らせてくれました。

海況のベストシーズンは3月から5月でベタ凪だそうな。その頃にもう一度行かなければと思わせてくれるだけのポテンシャルを持った海でした。

アニラオのピグミーシーホース事情

強烈な台風26号が去ったものの、グアム近海には次の卵がスタンバイ中。順調に行けば27号となって、しかも26号とほぼ同じ進路を辿りそうな気配。要警戒です。


マクロ派ダイバーに人気な被写体の一つがピグミーシーホース。成長しても体長1〜2cmにしかならないこの魚を大写しにするのはなかなか骨が折れますが、挑み甲斐のあるテーマです。

特に私の105mmレンズでは寄るほどにボケやすいので、いまだに正面顔の撮影では成功していません。横顔は割と得意になってきたけど。

この魚の難しいところは小ささもさることながらウミウチワに擬態していること。一旦目を離すと肉眼では見つけられてもファインダー越しではなかなか再発見できなかったりします。

そしてもう一つの難点が深いところにいがちなこと。しかも足場がない場合もあります。

一昨年、マクタンに撮りに行ったときは、水深31mの壁面から生えたシーファンにいたので、片手撮りを強いられ肘を痛めました。プロでもないのに職業病なんて悲しいよな…。

前置きが長くなったけど、アニラオのピグミーシーホース事情を。初日のカバンコーブというダイブサイトでは水深22mの地点に黄色のピグミーシーホースがいました。まあ、レンベと同じぐらいの水深ですね。22mならけっこう長居もできます。

でも、三日目の最終ダイブで潜ったコアラというサイトでは水深13mにピンクの個体がいました。これはお得すぎるかも。私の中では最浅記録です。しかも砂地から上に生えたシーファンに付いているし、絶好の撮影条件です。

ピグミーシーホース
背中が汚れているけど、それが目印になります

とはいえ良いことはそうそう重ならないもので、私が撮り始めると他のチームが駆けつけてきたので、アップを撮る前に譲らざるを得ませんでした。しかもビギナーが混ざっていると、あっという間に砂を巻き上げて辺りをモクモクにしちゃうし。

まあ、アニラオはピグミーシーホースの撮影には最適な海の一つと言えましょう。これは収穫です。

オリビア

アニラオでの最初のダイブの前に「何が見たい?」と訊かれたので「オリビア」と答えました。それが目当てで行ったたわけじゃないけど、リゾートのTシャツにプリントされていたので「ああ、ここにはいるんだ」と知って。我がホームのマクタンの海ではまだ見たことがないのですよね。

で、そのオリビア、三日目にしてようやく見ることができました。正式名はオリビアシュリンプです。

オリビアシュリンプ

ソンブレロというダイブサイトの切り立った壁面にぽっかり空いた岩窟内の直径10cmぐらいの穴に潜んでいて。

ガイドが何やら指し示しているけど場所の雰囲気敵に「ウコンハネガイかな…」と思いつつ近寄って確認したら、このエビでした。体長は5cmぐらいあったかな。いや、もっと大きかったかも。

オリビアシュリンプ

オリビアシュリンプ

見ての通り、ハサミや頭の上がタワシ状で、足はストライプ、体には雲紋と呼ばれるマークがちりばめられているのが特徴。およそデタラメでポップなデザインを採用したエビです。

せっかくなので横向きも撮ってみたかったけど、穴の中にいたので無理でした。すぐに他のチームも駆けつけてきたし。

フィリピン航空がキャンセル

フィリピン航空のバナー今日のフィリピン航空、マニラ→成田便(14:30発)は台風26号のためキャンセルされました。私は昨日の同じ便でアニラオから帰ってきたのですが、もし今日の帰国を予定していたらマニラで足止めを食らっていましたね。危ない危ない。

まあ、台風が1日早く日本に迫っていたとしても同じだけど、ともかく私は助かりました。今日は会社を休めない事情があったし。

さて、代替の便は明後日の08:30マニラ発、13:55成田着。その足で会社に行こうにも着くのは夕方。もうこの日は仕事になりません。

ただし、今日のマニラ→成田便が明日の朝にずれ込むので、明日のマニラ行きは成田を14:55発と、いい感じの時間帯になります。私がその立場なら、いつものように早朝に自宅を出る必要もありません。マニラ着が18:35だから仮にアニラオに行くとしたら、何とかその日の内に現地に行き着くでしょう。

でも、マニラ経由でセブに行くとなると21:10発のフィリピン航空セブ行きかな。19:35の便はマニラでの入国審査の時間を考えると無理だし。それでも何とか明日中には着けそうですね。

ちなみに今日の9:30マニラ発のANA便を押さえていた私の連れは何ごともなく帰国できたみたいです。結局キャンセルされたのは1日5便の内、午後発のフィリピン航空のみ。その他のJAL、ANA、デルタ、ジェットスターはすべて午前発だったので台風接近前に成田に辿り着きました。