ワイドはどうしよう

私はマクロ派ダイバー。自身の好みで行くときはマクロが充実した海、その指向性の強いショップを選びます。

とは言え誰かに誘ってもらったとき、ショップツアーに参加するとき(誰かのお別れツアーなど)、あるいは仲間の誰かからのリクエストを受けてプランを立てるときはその限りではありません。前回のようにマブールに潜りに行ったら予想外にシパダンの日が多かったりということも…。

現状、マクロを捨てて潜るときはSONY CyberShot HX5VをSeatool製ハウジングで使っています。2年前の同社最上位機種なので性能的に特に不満はありませんが、せっかくの海でNikon D7000を寝かせておくのも。私のNauticam制ハウジングではカメラをセットしたまま簡単にレンズを交換できますし。

HX5Vで撮ったバラクーダのトルネード
HX5Vで撮ったバラクーダのトルネード HX5Vで撮ったバラクーダのトルネード。どうにも面白みが乏しい…

そこで追加レンズの選択肢を物色してみます。

まず、ズームレンズは却下。私にとっては中途半端な代物なので。そもそも海の中だとストロボ光は1mかそこらまでしか届かないわけで、被写体を発色良く撮ろうとすれば近寄るのが鉄則。光が届きにくい以上、ズームをかければ鮮明さが失われるの水中で高倍率ズームは無用です。十分に寄った上でのズームなら有効ですが、それだったらマクロレンズの方が何かと有利ですし。

しかもズームレンズでは撮影倍率が1/3以下(多くのズームレンズではそれ以下)に小さくなります。ならば効果的なのは大きな魚の全身を入れたいときぐらいでしょうか。あるいは水中での記念撮影か。でも、そんな用途ならコンデジの方がよほど取り回しが良いわけです。わざわざデジイチでコンデジ風の絵を撮っても…。

ということで、海用にもう一本レンズを選ぶならやっぱりフィッシュアイ系ですね。当然ながらズームレンズよりもさらに広範囲を写せてダイナミックさを追求できますし、マクロレンズ以上に被写体に接近して撮れるのでワイドの海でも壁面に寄れたり安全停止を兼ねて棚上で時間を使う際にワイドマクロを楽しめます。被写界深度がきわめて深いので、ピントのことを気にせず絵作りに集中できますし。

目ぼしい候補はこちらの二つ。

  • Nikon AF DX Fisheye-Nikkor 10.5mm f/2.8G ED


Nikon AF DX Fisheye Nikkor ED 10.5mm F2.8G ニコンDXフォーマット専用

  • SIGMA 10mm F2.8 EX DC FISHEYE HSM

 
シグマ 10mm F2.8 EX DC FISHEYE HSM デジタル専用 ニコン用

どちらも似た仕様で実売価格も同じぐらいですが、撮影倍率はNikonが1/5でSIGMAが1/3.3。マクロ(大写し)指向の私にはSIGMAの方が良さそうです。 ならば次に決めるのはレンズポート。3通りある中で最も安いのがNA 200ドームポート(59,850円)とNAエクステンションリング(13,650円)の組み合わせ。

8.5' fisheye dome port #18802(NA 200ドームポート)
NA 200ドームポート
Extension ring 10(NA エクステンションリング10)
NAエクステンションリング10

私はワイドには大してこだわりがないので、これで十分です。

でも、レンズと合わせて15万円コース。いつになったら買えるかは解んないや…。

マクロ向きコンデジ比較

マクロ撮影をする際の条件の一つはマニュアルフォーカスが使えることでしょう。例えばウミウシを撮る際にピントを触覚にカッチリ合わせるにはオートフォーカスだけでは不十分な場合が多いので。

液晶画面が頼りのコンパクトデジカメでもマニュアルフォーカス機能を使えばどの機種でも液晶画面内にフォーカスポイントが拡大表示され、カメラ操作もしくは自身が前後してピントを微調整できます。 再現図

マニュアルフォーカス使用時の表示イメージ

その観点から目ぼしい4機種を選んで比較してみました。

メーカー Olympus Canon Nikon
製品名 XZ1  PowerShot G12 PowerShot S100 P7100
センサーサイズ 1/1.6インチ 1/1.7インチ 1/1.7インチ 1/1.7インチ
有効画素 1,000万画素 1,000万画素 1,210万画素 1,010万画素
F値 F1.8~F2.5 F2.8~F4.5 F2~F5.9 F2.8~F5.6
光学ズーム 4倍 5倍 5倍 7.1倍
シャッタースピード 60~1/2000 15~1/4000 1~1/2000 8~1/2000
ISO 100~6400 80~3200 80~6400 100~3200
最短撮影距離 1cm 1cm 3cm 2cm
液晶モニターサイズ 3インチ 2.8インチ 3インチ 3インチ
液晶モニター画素数

61万

46.1万 46.1万 92万
撮影枚数 320枚 370枚 200枚 350枚
動画画素数 1280×720 1280×720 1920×1080 1280×720
動画フレームレート 30fps 24fps 24fps 24fps
マニュアルフォーカス操作 背面スクロールダイヤル 背面ホイール 前面コントローラーリング 背面マルチセレクター

GPS機能

なし なし あり なし
110.6mm 112.1mm 98.9mm 116.3mm
64.8mm 76.2mm 59.8mm 76.9mm
奥行き 42.3mm 48.3mm 26.7mm 48mm
重量 275g

351g

173g 395g
発売日 2011/2/18 2010/10/7

2011/12/8

2011/9/22
純正水中ハウジング PT-050 30,000円  WP-DC34 25,000円 WP-DC43 25,000円 なし
他社製水中ハウジング XZ-1 89,000円  Recsea G12 99,800円 WHC-S100 68,000円  Recsea P7000 99,800円
FIX G12 99,000円  FIX S100 69,800円  FP7000 58,000円 

製品の細かな使い勝手までは解らないのですが、こうして並べるといくつか着目点が見えてきます。

まず、発売日が古いCanon PowerShot G12は選びづらいです。コンデジで1年以上モデルチェンジがないということは後継機の登場が近いか、もしくは製品シリーズとして行き詰まっている可能性があります。もはやスペック的にはこれといって際立ったものもありませんし。

同じく微妙なのがNikon P7100。液晶モニターの高精細さが良いのですが、それ以外の点では特筆するべきものはありません。7倍ズームも水中で使う限りは無用の長物です。そして何よりも本体のサイズが。今どきのミラーレスカメラ(レンズは除いて)よりも大きくて重いってのは、どうなんだか。

そしてOlympus XZ-1。純正品の水中ハウジング(防水プロテクター)の完成度がCanonの2機種用を遥かに凌駕しているのでセットを安く上げるには良い選択です。ただしハウジングの写真を見た感じでは背面のホイールを回す機構がないので、マニュアルフォーカスを使うには他社製の高価なハウジングが必要になるかと。

また、発売から丸1年が経とうとしているので、同社が例の件で致命的なダメージを受けていないなら、遠からずXZ-2が発表されると思われます。多分、XZ-2ではフルHD動画の撮影が可能になるでしょう。ひょっとしたらXZ-2ではカメラ前面のリングにマニュアルフォーカスを割り当てられるようになるかも。そうであればレンズポート横のダイヤルを回してフォーカスを調整できます。XZ-1を買うにしてもXZ-2発表後の方が値下がりが期待できますし。

以上の理由から、現時点ではCanon PowerShot S100を他社製水中ハウジングで使うのが最も良い選択だと思います。コンパクトなS100はバッテリーも小さいため撮影枚数だけは少ないものの、それ以外はおよそ最強クラスのスペックを誇ります。レンズの明るさにしてもOlympusのF1.8〜に近いF2〜を実現していますし。最短撮影距離にしても被写体に外部光を当てることを考えれば1cmまで寄れる必要はないわけです。

ハウジングをRecsea WHC-S100とNauticam FIX S100のどちらにするかは好き好きですが、カメラを両手持ちで使うなら左手でもコントローラーリングを回せるRecseaの方が良いですね。逆に左手側にアームを展開し、カメラのコントロールをすべて右手で行いたいならNauticamでも良いかもしれません。

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NEX-7用とV1用の水中ハウジング

歳の瀬になってFisheyeのサイトにNauticam製SONY NEX-7用とNikon 1 V1用の水中ハウジングのページがアップされました。

NEX-7用の方は海外の水中写真系サイトでちらほら見かけていたものの、V1用は私は初めて見ました。共に1月25日発売となっていますが、まあNauticamのことなので数ヶ月遅れるでしょう。

v1ハウジング

V1ハウジング(デフューザー装着)気になるV1用水中ハウジングの仕様ですが、アクセサリーポートから発光信号を横取りするのではなく、カメラに装着した外付けストロボ(スピードライト)の光をスルーさせるようです。筐体が大きくなるものの、コストが増す余計な回路や発光部を増やさない判断をしたようで。そのためハウジング単体でも接写なら外部光源なしで撮れますが、この通りデフューザー(拡散版)はやたらと大きくなってしまいました。

まあそれ以外はいたって普通の造りですね。ビューファインダの窓も液晶モニタ用との一体型。マスク越しにちゃんと覗けるかは解りません。

かつては「水中カメラといえばNikon」だったのでNauticamがV1用の水中ハウジングを出すのは予想通りでしたが、果たしてそれが報われるかは疑問です。なにしろ対応レンズがまったく出そろっていないので。マクロレンズが追加される頃には後継のV2が発売されているなんてことは十分にありそうで…。

対応水中ハウジングが出るといってもV1は現時点ではダイバーにはちょっと勧め難いカメラです。

Nauticamの新製品を予想する

香港の水中ハウジングメーカーNauticamが今週末のDEMA Show 2011に出展します。ちなみにDEMA Showは毎年米国で開催されている世界最大規模のダイビング関連のイベントです。

さて、Nauticamはそこで3種類の新製品を発表するのだとか。

Nauticam will also debut three major new products – to be announced at the beginning of the show. 

当然、アクセサリではなくハウジングだと思うのですが、予想するにこんな感じかな。

  • SONY NEX-7用
  • NIkon 1 V1用(もしくはJ1用)
  • ???

まずNEX-7の線は固いのではないかと。既に対応ハウジングを投入しているNEX-5/5Nの上位機種ですし、ここにきてようやくマクロレンズ(30mmだけど)も投入されました。

NEX7はタイの大水害でもって出荷が延期されましたが、仕事の遅いNauticamのこと、その点は半ば歓迎しているのではないかな。注目はカメラの発売前なのでモックが展示されるかどうかですね。

 
NEX-7 ソニー デジタル一眼カメラ ボディ

次にNIkon 1 V1。こちらも私は固いと見ています。なにせかつて「水中カメラといえばNikon」だったので。Nauticamは昨年NEX5用ハウジングを出すにあたり、ニコノスレンズを引っ張り出してきたぐらいですし。

また、発売時期は未定ながらレンズのラインナップにはしっかりマクロレンズも入ってたので、いずれ水中カメラとしても条件が整ってくることが期待できます。V1+外部スピードライトの構成だとハウジングがいびつになるので、やっぱアクセサリベースから発光信号を横取りするタイプかな。


Nikon デジタル一眼カメラ Nikon 1 V1 薄型レンズキット ブラックN1 V1ULK BK

さて、もう一機種の予想は難しいところ。私の願望はLYTROなのですが、さすがに発表されてからまだ日が浅いので違うんじゃないかと(NauticamからLYTRO用ハウジングが出たら、少々高くても私は買ってしまいそうだ…)。

ならばPentax Q?。Nikon 1同様、レンズ交換式コンデジという感じのカメラですが、どうでしょうね。水中ハウジングという高価なオプション製品の対象としては、ちょっとマイナーな感は否めません。このカメラを水中で使いたい人がどれほどいるか…。最初からフィッシュアイレンズが用意されているところは感心しますが。

ということで、3番目はPanasonic LUMIX G3用かな。マイクロフォーサーズ向けにはNauticamも既に5種類のハウジング(LUMIX GH2/GF2/GF3、OLYMPUS PEN LITE2/3)を出していますし。


Panasonic デジタル一眼カメラ LUMIX G3 ボディ エスプリブラック DMC-G3-K

あるいは大穴としてCanon EOS-1DXって線も考えられます。LYTRO同様、発表から日が経ってませんが、プロユース志向のNauticamのこと、最上位クラス用のハウジングを出してみたいと思っても不思議ではないので。カメラ本体とハウジングだけでも軽く100万円を超えそうですが…。

Canon デジタル一眼レフカメラ EOS-1D X ボディ

待ってました!Nikonのミラーレスカメラが遂に見参

Nikonがミラーレス一眼カメラ(Nikonは「レンズ交換式アドバンストカメラ」と呼ぶようです)「Nikon 1 V1」と「Nikon 1 J1」を発表しました。

Nikon 1 V1
上位機種のV1
Nikon 1 J1
下位機種のJ1

CMOSの解像度はは10.1メガピクセルと比較的低目ですが、Nikonのことなのであえてその選択をしたのだと思います。イメージセンサーのサイズはマイクロフォーサーズよりもさらに小さいですし。感覚的にはPENTAX Qと同じく「レンズ交換式コンデジ」といったところでしょうか。

新しいカメラで一番興味深いのはレンズの規格とラインナップ。「Nikon 1マウント」なる新規格が採用されています。アダプタを介してFマウントレンズも使えるようですが、当然アンバランスになるので新マウント用レンズのラインナップが気になるところですが、プレスリリースから拾えたのはこれらの4本。

  • 1 NIKKOR 10mm f/2.8 ¥31,500(税抜¥30,000)

1 NIKKOR 10mm f/2.8

  • 1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6 ¥25,200(税抜¥24,000)

1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6

  • 1 NIKKOR VR 30-110mm f/3.8-5.6 ¥31,500(税抜¥30,000)

1 NIKKOR VR 30-110mm f/3.8-5.6

  • 1 NIKKOR VR 10-100mm f/4.5-5.6 PD-ZOOM ¥99,750(税抜¥95,000)

 1 NIKKOR VR 10-100mm f/4.5-5.6 PD-ZOOM

ちょっと偏った感じがしますが順次拡充されていくのでしょうから続報を待ちましょう。でも、J1のこの写真だとキットレンズにも各色が用意されるのですかね。

Nikon 1 J1 Color Variation
J1のカラーバリエーション

それから各社のミラーレス機にはお馴染みとなった売り文句「世界最速AF」がうたわれています。もっともAF性能は被写体やシチュエーションにも影響されるので実際のところは解りませんが、位相差AFとコントラストAFの両方を備えているそうで、その点は期待が持てます。

それと内蔵ストロボがあるのはEVFなしのJ1のみらしく、EVF付きのV1にはないようです。ならばV1には外付けのスピードライトが付属するのかと思いきやスペック表には見当たりません。別売のスピードライト「SB-N5」が発表されているので、こちらを使うことになるようです。

SB-N1スピードライト
SB-N5

さて、ダイバーとして気掛かりなのは水中ハウジング。さすがにNikonなので複数メーカーから発売されると思います。なにしろNikonosの頃から水中撮影といえばNikonでしたし。

ただし、このスピードライトを付けるとなるとハウジングが大振り&いびつになってしまうので、ハウジングメーカーにはEVF搭載のV1よりも下位機種のJ1の方が好まれそうです。もちろんオーダーメイドで作ればどうにでもなりますが。

また、当初は対応マクロレンズもないので割り切りが必要です。マクロを捨てるか10-30mm標準レンズにマクロコンバージョンレンズをかませてマクロ風に撮るか。

そう考えると、現時点のミラーレス機ではPanasonic LUMIX GH2が最も理想に近い気もしますが…。