ダイバーの習性

この3月、私はフィリピンのサウスレイテに行くつもりです。マクロが目当てでありながらジンベエザメ(やはりフィリピンのオスロブのように餌付けされているのではない)が高確率で出没する何とも贅沢な海なので、どうせならと何人かの仲間には声を掛けてみたものの皆都合がつかないとのこと。

その理由で一番多かったのが「休みが取れない」でした。なにしろ年度末なので。

そして次に多かったのは「パラオに行くから」。なるほど、2月・3月ならパラオに行きたいのも解らなくはありません。これはもうダイバーの習性かなと。私も昔はそうでしたし。

パラオのロックアイランド
確かにこの空の青と海の青はたまらんです

ただ、かつては「パラオのベストシーズンは2月」と言われていたものの、近年はまったく当てはまらなくなったとも聞きます。実際、私が最後に行った3年前の2月もブルーコーナーは流れが強すぎてサメ類すらまばらという有り様。しかもジャーマンチャネルはダイバーだらけ。何十人もがクリーニングステーションを囲むと、いざマンタが出ても楽しくないのですよね。写真や動画を撮ろうにも人の頭が邪魔だし。意図せず知らない人が写り込んだときはガッカリしますよね。

まあ、ベストな2月の海もあればワーストの2月もあるのでしょう。こればっかりはお天気と海況次第かな。あとは日取り。差し当たり今年の旧正月は2月の10日〜12日なのでその前後の日程で行くと中国系の旅行者に圧倒されるかも知れません。

でも確かに今でもパラオには極上のビーチリゾート感があります。印象的な青い海に点在するロックアイランドはそれだけで南国の雰囲気満点だし、ペリリューまで足を伸ばせば、まだまだ劣化が進んでいない元気な海が残っているわけです。

パラオの海と空
スコールがあるので、パラオではよく虹が出ます

ちなみに私がパラオに行く気にならないのは初めて行った16年前の記憶があるから。当時はまだカレントフックも存在しておらず、ブルーコーナは近年よりも遥かに魚影が濃くて、まるで無限の水族館に潜ったかのようでした。10年前(空港が整備され、カレントフックが普及してきた頃)もまだ保たれていたけど、その後は年を追うごとに…。

とはいえ、それは年寄りのノスタルジーみたいなものかも。例えば今の国産の鰻やら松葉ガニなんぞは昔のそれよりも味が落ちたなどと言われつつも、それでもまだ高級食材の地位を保っているわけです。お決まりの自然破壊、環境劣化によって多少損なわれはしても等級は最上位。パラオにしても良質のビーチリゾートである点は変わりません。

よって懐古の記憶を持たない新しいダイバーなら、今の姿のブルーコーナーとかでも十分に楽しめることでしょう。ダイビングのテクニカル面では昔よりも進歩しているので、ときに昔以上の感動を得られるかも知れません。

ならば私が「今のパラオなんかつまんないから、もっとマニアックなフィリピンの穴場に行こうよ」なんて言うのも無粋な話。いや、むしろダイビングを始めてから年数が浅い内にぜひ行って欲しい海と言えるかも。どうぞ皆、多くのリゾートダイバーの習性に倣って、飽きるまで何度でもパラオに行ってくださいな。

というわけで、サウスレイテには今現在その価値が解る人だけで行くことにします。

今さらパラオなんて

今年もダイビングの仲間が立て続けにパラオに行きます。ぜひ楽しんできてもらいたいです。

パラオには私も以前は毎年のように行ってたのですが、マクロ写真が楽しくなってからはパタリと足が遠のきました。大物狙いの中層ダイビングはどうにも大味に感じられて。なにしろ青い写真しか撮れないから。魚も概して黒、白、銀、グレーの組み合わせのものばかり。勇壮なマンタも1〜2分も見てると飽きてくるし。

おまけにブルーコーナーはカレントフックが普及したせいで棚のヘリがつんつるてん。人を入れ過ぎなんですよね。かつては中級者以上限定っぽかったのに、今やビギナーでも行かれるポイントに格下げされてて。直近の状況は知らないけど、かつては下りられた棚上の砂地にも、いつしかゴマモンガラが巣を作って接近不可になったし。

ってな感じで、「昔のパラオへの憧れはもうなくなったんだよなぁ」「もうパラオには行かないかも」などと書こうとしていた矢先、冒頭の人たちとは別の仲間からパラオ行きのお誘いがありました。もはやパラオは自ら進んで行きたい海ではなくなったけど、仲間でわいわいやるのが主目的なら話は別です。

しかも誘ってくれた人はよく解ってて、ペリリュー島もしくはカープ島ステイで検討しているとのこと。そうですよね。10年前の姿を知っている者からすれば今のブルーコーナーは…。

ペリリューのウミガメ
ペリリューのタイマイ

いや、でもカープ島に泊まっても潜るのはブルーコーナーやジャーマンチャネルとかか。だったら私からはペリリューをリクエストしましょうかね。夏の日程なのでカープ島ステイでも風向きの関係でブルーコーナーにすら行かれない可能性もあるけど。

あとは日程とツアーの金額、そしてメンバーの集まりかた次第か。まあ、その旅では作品撮りの目標は半ば捨てて行こうかな。

パラオかぁ…

仲間から来年2月にパラオに行かないかと誘ってもらいました。確かに2月は昔からパラオのベストシーズンとされていましたよね。今もそうかは知らないけど。一昨年の2月に行ったときはブルーコーナーやニュードロップオフが激流過ぎてサメ類すらまばらという大外れだったよなぁ…。

行くなら祝日の2/11(月)を有効に使いたいところですが、困ったことに2/10(日)~12(火)が旧正月なので台湾や中国からの旅行客でごった返すのではないかと。私とて彼ら彼女らに悪感情はないけど(※)、その前後は目ぼしいホテルを軒並み押さえられてしまうのでしょうね。

※ 尖閣の問題は石原都知事の「要らんことしい」と野田総理以下、政府の大失態にほかならないです。

JALのチャーター便で行くとすると2/7(木)~11(月)はその期間にあたるので、2/15(金)~19(火)の方が無難でしょうか。どちらのツアーも競争率は高そうです。4ヶ月も先だけど早めに申し込まないと厳しそう。とはいえデルタの機内食は飛びっきり不味いし、ユナイテッド(旧コンチネンタル。グアム経由)や大韓航空(仁川経由)では時間のロスが多くて。

それにパラオの海って個人的にはつまんないのですよね、どうにも大味で。今の私は完全なマクロ派なので中層の生き物にはさほど、地形に関してはまったく関心がありません。パラオにも魅力的なマクロ生物はわんさかいるものの、ハイシーズンだと私だけマクロダイブってわけにもいかないし。これがシパダン・マブール方面ならワイドダイブとマクロダイブをほぼ半々にもできるのですが…。

パラオのマンタ
マンタは久しぶりだと興奮するけど、次第に飽きるのですよね。あんまり近寄れないし…

加えて、もはやブルーコーナーも昔ほど賑やかではなくなった印象があります。10年前はまだ棚上は果てしない水族館に潜ったかのような魚影の濃さだったのですが…。

おそらく元凶はカレントフックの発明ですね。かつてブルーコーナーは中級者以上のポイントと言われていたものの、いまやCカード取り立てのビギナーでも行かれるそうだし。登山ルートの開発みたいなもので初心者でもOKのダイビングプランが確立されたことで誰でも潜りやすくなったのでしょうが、反面カレントフックが棚のフチの岩や珊瑚を削るものだから生物相が悪い方に変わってしまって。とは言えシパダンのような入域制限はパラオではできなさそうだし…。

私の父にパラオ人の友人がいたこともあり、かつてパラオは私にとっても憧れの地だったけど、今では特に魅かれる海ではなくなってしまいました。まあ、大物好きの人やそれこそビギナーかパラオ暦が浅い人ならけっこう楽しめるかもしれませんが。海の劣化といえば沖縄もそうだし。

てなわけで、もし大人数でわいわいやるのが旅の目的なら行ってもいいけど、少人数でってことなら今回はパスさせてもらおうかな。それだったら一人ででもマクロダイブ前提のフィリピンに出向いた方がいいので。

パラオのゴマモンガラ
シュノーケリングポイントは楽しいです。 それまでできなかったジャックナイフを急きょ練習してスキンダイブで撮ったゴマモンガラ

今どきパラオには3泊4日で行かれるらしい

馴染みのダイビングショップに出向いたら、パラオ3泊4日のツアーが出ていました。もちろん中2日潜れます。デルタ航空の直行便を利用するとこれが可能なようです。かつてパラオで2日潜るには最低でも5日間必要だったはずですが…。 フライトスケジュールはざっとこんな感じ。

  • 1日目:成田発18:30 → コロール着23:30(月・水・金)
  • 4日目:コロール発04:20 → 成田着09:15(火・木・土)

確かに月→木、水→土の日程なら3泊4日で行かれますね。帰国前日のダイビングを午前中で切り上げればまず大丈夫でしょう。これなら仕事が土日休みではない人にとってはグアム、サイパン、セブ並の手頃さでパラオに行って潜って来られます。土日休みの人は金曜日出発の火曜日帰りの5日間コースがお手ごろでしょうね。

デルタ航空の機内食は抜きんでて不味かった印象があるものの、まあそこは我慢。ユナイテッド航空(旧コンチネンタル)のグアム&ヤップ経由便(一番眠い時間帯にヤップ空港で叩き起こされる)なんかよりは圧倒的に楽だから。

差し当たり今の時期は風向きの関係で外海(ブルーコーナーなど)には行かれない確率が高いはずですが、あえてこの時期にして、ハイシーズンには積極的には行かないマクロ系のポイントを重点的に攻めるというのはありのような気がします。

パラオの朝の風景
パラオの朝の風景

あぁ海に行きたい

昨日、仲間の一人がパラオから帰国し、入れ替わりに別の仲間がセブ・マクタン島に旅立ちました。ああ、もっと前に声をかけといてくれれば私も行ったのに…。

私は12月の初旬にピグミーシーホースを撮りにそのマクタン島に行って以来、3ヶ月以上潜っていません。当然、水中写真の新作もありません。寂しい。

セブのピグミーシーホース
12月のピグミーシーホース

とは言えドライスーツを買う気も借りて潜る気もないので(そもそも胸囲110cm対応のレンタルドライスーツはあんまりないかも。腕も太いし…)、行くとしたらダイビング抜き(釣り?クルーズ?)か、もしくは沖縄以南に飛ぶか。

3月下旬となると離島はもちろん沖縄本島もそろそろ水温が20℃を超えてくる頃。20℃あれば私は3mmウエットスーツでも快適に潜れます。那覇なら海外みたいに一人で行ってもホテル代が上がることはないし、木曜の夜出発で金曜日だけ休んで二日潜って日曜日に帰ってこられます。

うん、その線で検討してみるかな。仲間の誰かが行くんならそのプランに便乗させてもらうんだけど、私が言い出しっぺになんなきゃだめだろうな。