ミラーレス水中カメラの本命

CanonのミラーレスカメラEOS M用の水中ハウジングがNauticamから発売されたようです。

 

NA-EOS-M
NA-EOS-M EOS M用ハウジングはEpoq社も今年のダイブビズショーでアナウンスしていたけど、あの会社は信頼がおけないのですよね。かつて水没するハウジングを売っておきながら、修理に出すと「検査してやるから検査代をよこせ」と迫ることもあったらしいので。メーカー保証の概念すら理解していないのでは?

さて、Canon EOS Mですが、実は私は水中ミラーレスカメラの本命だと考えています。なぜなら最も総合点が高いから。さすが大手最後発ですね。

また、Nauticamの水中ハウジングも絶妙な仕様。マウントアダプタを使うことで一眼レフ用のCanon EF-S 60mm f2.8 Macro USMとCanon EF 8-15mm f/4L Fisheye USMという二つのレンズが利用可能です。

私見では、水中撮影に向いた交換レンズはマクロレンズとフィッシュアイレンズのみ。あとはせいぜいワイドレンズ(35mm判換算でも20mm未満)が加わる程度です。だとするとEOS MのキットレンズであるEF-M18-55㎜ F3.5-5.6 IS STM(35mm判換算28.8mm〜)とEF-M22㎜ F2 STM(同35.2mm)はどちらも不適当。もちろん写真が撮れなくはないけど、大して寄れず、かといって画角が狭くダイナミックさも乏しい面白みに欠けた写真にしかなり得ません。

でも、マクロレンズとフィッシュアイレンズが揃っているミラーレスカメラは少ないのですよね。先行したマイクロフォーサーズ(Panasonic & Olympus)にはどちらもありますが、マイクロフォーサーズはセンサーサイズが小さいので、APS-C(SONY or Canon)よりも画質やボケ味の面で不利になります。

SONY のα NEXシリーズもやはりマウントアダプタを介して一眼レフ用のαレンズが使えます。しかもNEXはCanon Mよりも微妙に大きなセンサーを搭載しているので良さそうに思えますが、悲しいことにαレンズは非インナーフォーカス仕様。レンズのフォーカスリングを回すとレンズの長さが変わってしまうため水中撮影には向きません。NEX用のマクロレンズ(30mm、35mm判換算45mm相当)はあるもののフィッシュアイレンズはなし。超広角レンズSEL1018は水中でもそこそこ使い出がありそうですが。

ということで実用的かつ画質面でも有利なマクロレンズとフィッシュアイレンズが使えるEOS Mが最も有力な水中写真用ミラーレスカメラということになります。

欲を言うと、高精細EVF搭載モデルを待ちたいところですが。気合いを入れて写真を撮る際は、やっぱファインダーを覗きたいですよね。

Nikon 1 V2にも心ひかれる

先日、Nikonがミラーレスカメラの上位モデル「Nikon 1 V2」を発表しました。これ、いいですね。形がクラシカルなカメラっぽくなりました。ホワイトモデルのグリップが黒なのも、OLYMPUS OM-Dの成功に倣ったのでしょう。

Nikon 1 V2

前モデルのV1ではストロボが外付けだったものの、V2では内蔵されています。それでいて意外にもV1より軽量化されています。

ただし、小型化に伴いバッテリーが一眼レフのD800・D600・D7000と同じEN-EL15(1900mAh)からEN-EL21(1485mAh)に変更されました。消費電力が大きく向上しているのでなければ撮影の枚数や録画時間は減りますね。

また、気になる点はISO感度が160~6400に変更されていること(V1は100~3200)。ひょっとしたらこのシリーズでは160も絵は変わらないのかも知れませんが、上位機種なのに100を維持していないのはちょっと残念な気がします。

逆に面白いのはオプションの「ワイヤレスモバイルアダプター WU-1b」を付けることで、無線LAN機能が追加される点。今風の順当な機能ですね。

ワイヤレスモバイルアダプター WU-1b

というわけで、このカメラ用に水中ハウジングを作成するのであれば、是非ともこのアダプタを接続した状態で収納できるように作って欲しいところです。そうすればハウジングにカメラをセットしたまま撮影した写真をスマホやiPadに転送できるので。

もっとも、ミラーレスカメラはバッテリーの減りが早いので、無線による写真の転送はダイビングの合間の休憩時に限られそうですが。

また、惜しむらくは拡張バッテリーパックのようなギミックが用意されていないこと。筐体が大きくはなるものの、バッテリーパックを+2個搭載して3日間ぐらいハウジングを開けなくてすむなら、ダイバーにとっては大きなメリットです。もっともそれが用意されているOLYMPUS OM-Dにも、そんな仕様の水中ハウジングはまだないようですが。

まあでも、これでNikon 1シリーズにもようやく本命の機種が登場してきた気がします。

Olympus OM-D用の水中プロテクタが微妙すぎる

今週末、920hPaというとてつもない台風が沖縄本島を直撃しそうな気配。波高12mなんて予報も。さすがのプレフリもしばらくはお手上げのはず。

街では街路樹が倒れたりするでしょうが、大事に至らないでほしいものです。


アンサー野本の水中天国 Vol.16が公開されました。今月2本目ですね。気合い入ってるなぁ。

今回紹介するのはOlympus OM-D用の水中プロテクタ(水中ハウジング)「PT-EP08」とマイクロフォーサーズ用ズームレンズ「ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ」。

このレンズは35mm判換算で24〜100mmと水中使用では特に何てこともない、まあまあ広角のズームレンズですが、「マクロモード」とやらが付いているそうで。あくまでもモードなので最大撮影倍率も0.72倍止まりですが(通常、マクロレンズだとフルサイズ判なら1.0倍、APS-Cなら1.5倍)、上手く使えば面白いマクロ写真が撮れるでしょう。

ただし、動画の中でも触れられているようにカメラとプロテクタの仕様が…。

プロテクタにカメラをセットする際、なぜかストロボを畳んでおく必要があり、その状態でストロボを光らせるのは強引すぎます。しかもそのために特殊な設定を要するなんて、ヒューマンインターフェースの考え方からして邪道中の邪道、下の下。設計思想や開発力すら疑ってしまいます。

近年、Appleがどうしてここまで躍進できたのか、未だに理解できていないようですね。もはや「扱いが難しい高機能製品」は「簡単で必要十分の製品」に惨敗するのは周知の事実なのに。

私は以前からOlympusのカメラは使いづらい、ユーザーフレンドリーではないと思っていたのですが、その点をまた再認識させられました。

折しもOlympusは資本提携先の選定が難航しているようですが、引く手あまたの医療機器部門はともかく光学機器部門の先行きは不安です。個人的にはテルモがベストパートナーだと思うものの、その場合、不要な光学機器部門は他社に売却でしょうね。

そうそう、野本さんが撮影した動画に映っている魚はバンガイカーディナルフィッシュ。ならば撮影地はインドネシアのレンベですね。今私が一番潜ってみたい海です。

Nikon 1かCanon EOS Mか

アンサー野本の水中天国 Vol.15が公開されています。今回紹介するのはZillion製のNikon 1 J1/J2用水中ハウジング。9月発売だそうな。

このハウジングで注目すべきはマウントアダプタを介して一眼レフ用のAF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDレンズが使えること。Nikon 1はセンサーサイズが小さいため、162mm相当の画角で写せます。水中天国でもゼブラガニのどアップなど多津丸さん撮影の作例が紹介されていますね。

ちなみに私のカメラ(Nikon D7000)はAPS-Cなので105mm Microレンズで157mm相当。より大きくて重いレンズを使いながら倍率では負けてます。

しかも60mm Microレンズなら105mmより10cm以上被写体に接近できるため、私が知る限りNikon 1 J1/J2は最大の撮影倍率が得られる水中カメラセットです。もちろんコンデジでズームを掛ければもっと拡大して写せるものの、その場合は手ブレも拡大されてしまいます。私の過去の経験だと3倍ズームが限度でした。

さて、来月にはCanon EOS Mが発売になります。こちらもマウントアダプタを介して一眼レフ用のEFマウントのレンズが使えるようになっています。ならばEF-S60mm F2.8 マクロ USMレンズあたりをセット可能な水中ハウジングが発売されるでしょう。差し当たりNauticamの製品はDEMA Show(11月の14日〜)でお披露目かな。

ただし同じ60mmクラスのマクロ(マイクロ)レンズでもCanon EOS MのセンサーはAPS-C(Nikonのそれよりはやや小さい)なので96mm相当。EF100mm F2.8L マクロ IS USMを使えば160mm相当になりますが、60mmの場合よりも被写体から10cm余計に離れなければなりません。

もっとも、撮影倍率が大きいということは、レンズで捉えた像の中央しか記録できないということの裏返し。せっかく周りが良いボケ味をかもしだしていても容赦なく捨てることになります。

よって、この二択の場合にどちらを選ぶかは写真撮影の指向、スタイル次第。

  • 価格優先 ⇒ Nikon 1 J1/J2(Canon EOS Mはダブルレンズキット以外はストロボ別売)
  • スーパーマクロ指向 ⇒ Nikon 1 J1/J2
  • 画質優先 ⇒ Canon EOS M
  • 先々、フィッシュアイレンズで動画も録りたい ⇒ Canon EOS M (Nikon 1ではせっかくの外側の湾曲を捨ててしまう。超広角の中央だけを写すのはナンセンス)

といった感じでしょうか。私なら高画質かつ何かと無難なCanon Mを選びますが、もちろん好き好きです。いや、Canon EOS Mの将来機種を待つかなぁ。きっとEVF(電子ビューファインダ)付きの上位機種が出ると思うので。

ちなみにNikon 1 J1/J2にはNikon純正の水中ハウジングも発売されますが、レンズポートが固定なので気合いを入れて写真が撮りたければ止めた方がいいでしょう。