東京オリンピックにはキャンセルされた過去がある

Olympic_flagかつて1940年の東京オリンピックはキャンセルされ、フィンランドのヘルシンキに変更になりました。第二次世界大戦の勃発前年ですからね。社会情勢的にも、さぞ異様な雰囲気だったんだろうな…。

さて、2020年の東京オリンピックにも不安材料がまったくないわけではありません。開催をキャンセルせざるを得ない状況はこんな感じかな。

  1. 世界規模の大戦争が勃発
  2. 福島原発の汚染水盛れがコントロールできていないことがばれて開催権剥奪
  3. 東北の沿岸が再び大地震、大津波に見舞われ、福島原発がいよいよ深刻な状況になる
  4. 富士山が噴火し、大量の火山灰が降って東京の都市機能が壊滅する
  5. 関東大震災が発生し、東京の都市機能が壊滅する
  6. 温暖化がさらに進行し、7月末〜8月上旬の東京では屋外競技が実施不可能と判断される

1. は、ないかな。もはや世界規模の戦争が起きる時代ではなさそうなので。もちろん局所的な戦争は起こり得るし、中国や北朝鮮の思惑次第では東京も巻き込まれなくはないだろうけど、そういう可能性は薄いですよね。

2. も今さらって感じがします。よほど深刻な数値が出なければないでしょう。

安倍首相がプレゼンの時に言った「コントロール下にある」が嘘なのは誰だって解った上で東京に投票したわけだから。何も実績がないのにオバマ大統領にノーベル平和賞が与えられたのと同じようなものです。「お前ら、ちゃんとやってみせろよ」と。

3. は、起こらないで欲しいと願うばかり。傷ついた人たちに追い討ちで鞭を打つような話だから。

4. と 5. は、あるかもしれないし、ないかもしれないし。なにしろどちらもずっと前から「遠からずいつかは来る」と言われていますからね。富士山の噴火が関東大震災の引き金になることも考えられましょう。あるいはその逆か。

火山灰も桜島のようにうっすらなら大丈夫ですが、5cmほど(ちょっとした積雪レベル)も積もろうものなら、もうその街は捨てざるを得ないそうです。主成分は微細なガラスの粉で、雪とは違って溶けないので、厚く積もると始末に負えないそうな。そうして都市機能が失われようものならオリンピックどころではなくなります。

しかも過去100年周期で噴火してきた富士山は300年噴火していないので不気味なのですよね。3倍返しを食らわないかと。

まあでも300年平穏だったのだから向こう7年ぐらいは大丈夫かも。そしてその後もしばらくは。

よって、もっとも切実なのは 6. でしょうか。開催に問題はなくとも台風やら酷暑による順延なんてことは十分に考えられますよね。特に陸上競技では涼しい国出身の選手なんかバッタバッタ倒れるんじゃなかろうかと。あと、客席の観客も。そうすると「最低、最悪の大会」って評価が下ってしまいます。

差し当たりマラソンなんかは朝4時スタートとかにするべきかも。それなら日中仕事を持っている日本人の多くも生中継を見られるし。

オリンピックと消費税と

wordpress-logo2020年の東京オリンピックが決まって一週間。私の身の回りでは誰も話題にしていないけど、そんなものなのかな。

シリアの内戦問題がこんな時期でなければ順当にイスタンブールに決まっていたはず。「戦争様々」とは言いたくないけど、東京は棚ぼたを拾いましたね。それでも当確は当確です。

正直なところ私は招致に消極的でした。東日本大震災を受けての仮設住宅の入居率はいまだ9割だし、もっと優先的にやるべきこと、お金の使い方があると思うのですよね。今、オリンピックなんか呼んだら被災地なんて報道されなくなり、なかったことのようにされかねないもの。これが「東北オリンピック」なんてことなら私とて無条件に賛成したのですが。ああ、東北は都市名ではないか…。

また、消費税増税も予定通り来年4月からの実施に落ち着きそうな気配。私は慎重論支持で、まだ早いと考えていますが、こちらは昨年の総選挙で自民党が大勝したのだから当然の流れですね。

民主党のあまりのダメっぷりの反動で、反射的に自民党に入れた人も多かったと思うけど。その結果が何を意味するかなんて考えずに。

私が消費税増税が時期尚早だと考えるのは、かつて盛んに言われた「穴の空いたバケツ問題」が一向に解決していないから。今増税しても本来の目的である財政再建や社会保障の充実には結びつかないどころか、穴から漏れていく分まで余計に税負担を求められると思うので。

増税賛成派は「ここで増税しないと国債が売り浴びせられて、たいへんなことになる」などと金利を人質をとった脅しにかかっているし、もう増税という手段が目的化しちゃってますよね。「バケツの穴」についてどう考えているのか訊いてみたいものです。

しかもオリンピックの招致が決まってしまいました。もう最悪のコンビネーションかも。片方で税負担が増え、もう片方で巨額の税金がインフラ投資に使われてしまうという。しかも東京に一極集中で。造ったインフラにはメンテナンスの費用が継続的に必要なので、またバケツの穴を新たにこしらえるような話にもなりかねません。

また、単純に消費税増税が景気に水を差すのは確実でしょう。前回2%上がった1997年は、人々の所得がピークにあった頃だけど、今は平均所得は下がり、低所得者は増え、貧困層も増加しています。このまま来年3%、再来年さらに2%の消費税増税がなされれば、多くの人が消費を控えざるを得ないので、また景気低迷の悪循環に逆戻りしかねません。

増税はするけど景気対策に5兆円だなんて、何だよそれ。アクセルとブレーキを両方踏み込むって?

オリンピックの経済効果は3兆円、波及効果は一説では150兆円とも試算されていますが、それもどうでしょうね。人々がオリンピックのために余計にお金を使ってくれればいいけど、オリンピックのために他を切り詰めるなら収支は変わらないのだし。

てなわけで、7年後のオリンピック開催で景気が上向くなんて期待しない方がいいと思います。浮かれて過大に投資すると、とんでもなく跳ね返ってくるので、我々国民はメディアの力も借りて政治やオリンピック関連団体の動きを注意深く見ていかないといかんです。まあメディアもあまり信頼はできないのだけど。

ワタミの会長が辞任

wordpress-logoワタミの渡邉美樹会長が辞任したそうな。参院選出馬に本腰を入れるのでしょうかね。

私も一私企業の人事に関心はないのですが、 ワタミは「ブラック企業大賞2012」の投票数が東京電力を押さえて堂々一位だし、ちょっと思うところもあります。

ブラック企業大賞はWeb投票だから逆美人コンテストみたいなものだけど、2013年もノミネートされたってことは、相応の背景があるものと推測されます。

もし日本で「飛び抜けた大金持ちになってやろう」と考えた場合、手段はこうではないかと。

小売りか飲食の事業を立ち上げて巨大フランチャイズチェーンに育て上げ、末端の人件費は安く抑える

言うは易しで相当に難しいことですが、それでもイチローや尾田栄一郎を目指すより遥かに現実的です。

で、ユニクロの柳井さんらもそうらしいけど、渡邉美樹さんにしても毎年数十億円もの収入(株主配当を含む)を得ているはず。もちろん彼らは並々ならぬ努力の積み重ねで今の地位を築いたのだし、他人の成功を嫉むと自身の心を蝕みそうだから気をつけなければいけないけど、ここで問題だと思うのは、

  • 多くの低所得者を生み出すことで財を増やしてきた側面もあるのでは?
  • ワタミやユニクロが今よりも勢力を拡大させたら、日本の労働者市場はもっと疲弊するのではなかろうか?

という点。その華麗なサクセスストーリーも、ある種の貧困ビジネスと背中合わせなのではないかと思えるわけです。

例えば、米国でWallmartが進出した地方都市は、既存の小規模商店がことごとく潰され、さりとて小さな街には他に職もないのでWallmartに勤めざるを得ないが、そこでの給料が安いため自身もWallmartでの安い買い物しか出来なくなるという悪循環が生まれているそうです。自らの手でより多くの低所得者を生み出すことでその企業が発展するというのは実に質が悪いですよね。

また、大企業のトップともなると強力な政治力を発揮し得るわけで、自分らに都合の良い法律を作り、行政を牛耳る術を得られます。

日本でもこれに似た状況があるのではないでしょうか。労働基準法は存在しているものの、往々にして法の抜け穴を突くことはできるし、逆に抜け穴のある法律を作る(あるいは塞ぐ改正をさせない)ように仕向けることも、当局の実行力を失わせて骨抜きにすることも、しかるべき役職にあれば可能です。

並々ならぬ努力をして成功を掴んだ人は他者にもそれを強いがちな傾向があります。渡邉美樹さんは昨年の東京都知事選にも出馬したので、政治家になって国や自治体を動かしたい願望も強いのでしょうが、彼の国政への進出が適ったとして、それが良からぬ方向に働かないように願うばかりです。

2020年の東京オリンピック消滅

2020年東京オリンピック・パラリンピック招致のロゴマークニューヨークでの猪瀬直樹東京都知事の不適切な発言によって2020年のオリンピック・パラリンピックの東京招致は事実上不可能になりました。猪瀬氏は「文脈が違う」などと反論しているようですが、論拠が伴っていないので説得力はありません。

よりによって石原慎太郎前都知事から悲願の夢を託され、先の都知事選では430万票あまりの最高得票で当選した彼が、招致に対して致命的な大失態を演じてしまったわけです。何とも罪作りな…。

もっとも彼は昔から独善的な発言を繰り返す人でした。今回も本性をさらけ出したということでしょう。

例えば東京の地下鉄が禁煙化された際には全国ネットのテレビ番組で「こんなことじゃ自由がなくなる」と言い放ったし。彼にとっては社会の規範よりも自身の欲求の方が重要なようで。

これが「喫煙室を設けろ」や「だったら駅ではたばこを売るな」とかなら理解もするのですが、彼の口ぶりは「他人が嫌な思いをしようが知ったこっちゃない」と言わんばかりでした。

一頃熱心だった道路公団の問題にしても、やはりテレビで「報酬も貰わず手弁当で取り組んでいる」などと誇っていましたが、彼はそれをメディアで話し、文章を書いて対価を貰うのだから、それって何のことはない作家の取材活動、ネタ作りの一環なわけです。それをさも無私の奉仕であるかのように喧伝するという浅ましさ。

オリンピック・パラリンピックとは人々の多様性の象徴でもあるわけで、さしずめ他人を認めない猪瀬氏は最も東京都知事に相応しくない人物だったのかもしれません。

とは言え、今回の彼の失言がなくとも2020年の東京オリンピック・パラリンピックの可能性はほぼゼロでした。なぜなら2018年の冬のオリンピックの開催地は平昌(ピョンチャン)だから。オリンピックで重視される放映権ビジネスおよび新たなマーケットの開拓・拡充という観点からして、韓国の次の開催地が日本なんてことはそもそもあり得ない話なわけです。

ではなぜ東京が候補地として残されているかというと、かつて南アフリカでワールドカップの際、治安などの問題で実施が困難になった場合は代替の開催地として日本が有力視されていたのと同じ。イスタンブールとマドリードの両方に不都合な事実(例えば経済破綻やテロの勃発など)が明るみになった際のすべり止め程度の位置づけですね。もちろん関係者はそんなことは重々解っているけども、結論が出るまでファイティングポーズを取り続ければ利権にあずかれると。

まあでもこれを機にオリンピック招致なんてギャンブル政治はすっぱりやめて、4,000億円とも言われる基金を社会福祉なんかに回せば、それはそれでより良い社会作りの切っ掛けにはなるかもしれません。

Dive Award 〜 新生ダイビングサービス 〜

春は無情な別れの季節。昨日でコナミスポーツのダイビング事業が終了しました。これがエイプリルフールのネタだったら良かったのだけど…。

私は1993年春からの会員で、過去20年間あったものがなくなってしまうのは非常に悲しいことです。近年はほぼ毎日立ち寄れたし、ジムや大浴場を利用した後に少し話してから帰るといった具合に、もはや生活の一部になっていたので。もちろん仲間が集える場所だったり、機材のオーバーホールや最新の海況情報交換など、ダイビングサービスとしても重宝していました。

これまでも数多くの歴代スタッフの旅立ちを見送ってきたものの、今回は完全消滅。しばらくは味気なさを覚える日々が続くのだろうな…。

コナミ側はスタッフ全員の雇用継続を約束したようですが、当然ながら職種は変わります。時に職場も。

それでも正社員はある種の配置転換ですみますが、アルバイトスタッフはせっかく何年もかけて頑張って時給を上げてきたのに、新たな部署では新人と同じ最低レベルからの再スタートを提示されたとのこと。これまでの貢献がなかったことにされ、培ったスキルも無価値と評価するような会社からは当然辞めていきますよね。

結局、新百合ヶ丘店の4人は散り散りになり、誰一人として残りませんでした。せめてアルバイトスタッフ2人の時給は例外的にでも維持してやれば良かったものを…。

さて、去るものがあれば新たに訪れるものも。コナミによる「受け皿すら用意しない全顧客切り捨て」という無慈悲な仕打ちを見兼ねた旧コナミスポーツ所属インストラクター有志によって新しいダイビングサービス《Dive Award(ダイブアワード)》が設立されました。

Dive Award logo

本日より浜松店が稼働し、今月中旬には津田沼店、そして6月1日から武蔵小杉店がオープンする予定とのこと。ツアーの予定表はひと月ぐらい前に貰っていました。残念ながら新百合ヶ丘店はないものの、武蔵小杉なら私もそう遠くないので時おり顔を出せそう。津田沼店と浜松店には縁がないかな。

武蔵小杉という場所はコナミのダイビングスクールがあった三店舗(横浜、川崎、新百合ヶ丘)の会員の利便性から割り出したのでしょうが、確かに神奈川県の拠点としては良い選択のような気がします。JRの湘南新宿ライン(葉山に乗り換えなしで行かれる)や伊豆急行のスーパービュー踊り子号(下りは3号のみ、登りは10号のみだけど)も通っているし、副都心線で埼玉方面とも繋がりました。まあ、海に行く各人は電車派ばかりではないし散り散りに住んでいるのだけど。

なお、東京店の計画は未定。順当に考えれば飯田橋ですが、都内はさすがに競合も多いのでどうなるか…。

Dive Awardの立ち上げに参加するイントラの面々はコナミ(東証1部上場企業)の100%子会社のコナミスポーツでそれなりの待遇を保障されていた正社員たち。それを捨てて新たな出発を決断したのだから肩入れしたくもなるというもの。

で、新しいお店は「Award(授与)」という名前からして、ライセンスはもちろんダイビングの楽しみを与えていくことを標榜しているのでしょう。私としても顔なじみのインストラクター達が始めたお店なので、微力ながら応援していくつもりです。

さしあたりナイトロックスがもう少し広く普及すれば(どこでも頼まないでも選べるぐらいになれば)、エンリッチのライセンス講習を受けても良いし、そこそこ魅力的なショップツアーがあれば代金が高くても参加しましょうかね。

近年、自分で空と宿と海を手配して、なるべく人が少ないタイミングを見計らって潜りに行くようになってから、新しい仲間が増えていないことに気づきました。ダイビングの仲間はさまざまな理由で次第に減っていく傾向にあるので、たまには補充しないと。

それと私が協力できそうなのは写真の提供。アマチュアながら私もフォトコンの末席にはコンスタントに加われるくらいにはなったので、宣材や雰囲気作りのためには惜しむことなく提供するつもりです。

そうしてお店を盛り立てれば、いつかは新百合ヶ丘店を出してもらえるかも知れないし、多くの反対の声を押し切ってダイビング事業を切り捨てたコナミにもちょっとは後悔させてやりたいから。

今回、コナミが密かに出資しているのでなければ、Dive Awardの立ち位置はフリー。つまりコナミのライバル関係にある企業やスポーツクラブとの提携も可能です。

それってコナミスポーツが20年以上にわたって自社(エグザス時代を含む)の元で培ったダイビング業務のノウハウと人脈、そしてユーザーコミュニティーをそっくり商売敵に献上するってことに他なりません。

やっぱ固定客がついてて、それなりに儲かる事業を切り捨てるなんてことはやっちゃいけないんだよ。本筋なら分社か、せめて事業売却して「経営からは手を引くけど顧客サービスはなるべくそのままに」ってのが良心的かつ無難な話だったわけで。

もっとも、コナミスポーツはともかく親会社のコナミにとってはスキューバダイビングはコアコンピタンスから外れてるってことかもしれません。その客も現役会員は数千人程度だから、たとえ恨まれようとも構わんとばかりに。

でも、人体や生態系と同じで、案外、無用と思える機関、種を取り除いたら予想以上の副作用が出たりするもの。ダイビングはコナミの主戦場であるエンターテイメントや余暇の充実といったジャンル、主力分野とも近しいのだし…。

まあ、そうじゃなくともDive Awardが向こう何十年も存続できるように。そう、信頼していたお店が無くなり、馴染みのスタッフと会員コミュニティが(不採算事業でもなかったはずなのに)雲散霧消する様を見るといった経験はもうしたくないのでね。

それはそれとして、今回、コナミに残ったダイビングスタッフが社内で発言力を得て、いずれまたコナミスポーツ内にダイビングサービスを復活させてくれると嬉しいのだけど。


追記(2014-07-02):

公開後1年以上が経っても、このエントリにアクセスがあるので書いておきます。Dive Award浜松店は昨夏よりbe Diveに生まれ変わり、今でも稼働中です。

一方、Dive Awerd武蔵小杉店は…、話が消えてそれっきりですね。でもDive Award津田沼駅前店精力的にツアーやイベントを行っているようです。

コナミスポーツ新百合ヶ丘店のダイビングカウンター跡地は応接スペースみたいになってますが、使われているところは滅多に見かけません。