もっと良いフロートを発見

私の水中カメラセットは陸上で7.41kg。水中でも2kg以上ありそう。私もそこそこパワフルな方ですが何分間も片手撮りを続けるには辛い重量です。なにしろただ持つだけではなく手ブレを押さえなければならないわけで。

よって現状のINONのフロートアームを2本ともメガフロートアームに換装して水中重量を1kg減らそうと考えていたのですが、もっといい商品を見つけました。

ビニー ABS製 水中A型フロート(底曳)

どうやら漁師さんが底引き網なんかに使う浮きのようです。こちらのお店で買えます。

浮力もSサイズで300g、Mサイズで600gとなかなかのもの。Mサイズでも直系約10cmの球体なのでスーツケースの角に収まります。ならば運搬時はメガフロートアームよりも都合がいいですね。

INONのメガフロートを試す

私の右肘は一向に治る気配がありません。日によって良かったり悪かったりです。よって私の最近のテーマは 水中カメラの重量対策。何か手を考えないと。プロでもないのに職業病ってのも悲しいので。

スーホーシーミグピ
昨年12月にこれらの片手撮りを続けた後遺症が長引いています

ということで、馴染みのダイビングショップに頼んでINONからメガフロートアームMとSを借りることができました。現在はフロートアームM2本なので、その片方もしくは両方をメガフロートアームに交換したらどれぐらい浮力が変わるかをチェックするのが目的です。

フルセットで組み上げたカメラセットをお湯を張ったお風呂に沈めてみます。本来なら海水の比重を再現したかったのですが、真水150リットルだと5kgほどの塩が必要らしいので諦めました。よって真水でやや浮き気味ということなら浮力オーバーという風に判断するしかないですね。

で、結論を先に言ってしまうと、私のカメラセットでは以下の4本全部(浮力合計1,310g)を装着してもまだ沈みます。

フロートアーム3種
フロートアームM(両サイド)、メガフロートアームS(中央左)、メガフロートアームM(中央右)

ちなみにこの3種類の重量と浮力は以下の通りです。

  フロートアームM メガフロートアームS メガフロートアームM
重量 181g 219g 295g
浮力 135g 390g 650g

現在はフロートアームM2本なので浮力270g。海中での感覚はわからないものの、おそらくメガフロートMを2本付けても浮くことはなさそう。 陸上での総重量が7.7kgほどになりますが、水中での肘の負担はずいぶん減るはず。頃合いを見て、こちらを2本買うことにしましょうかね。 でも、こんなに太いとスーツケースに収まるかな?


以前、わざわざカリフォルニアから取り寄せたフロートは効果を確かめる前に紛失しちゃいました。カメラに装着して海に持ち込んだものの水中で気づいたときには取れちゃってて。よってもし購入を考えている人に何か言うとしたら「しっかり紐で結びつけとけ」ですかね。そこそこ浮力があるのは確実なので。ただし紐はセットに付いてこないので自力で適切なものを調達する必要があります。

超・初心者向けデジイチ水中写真入門(5) 使えるレンズの見分けかた

私のダイビング仲間の一人がOlympus OM-Dの購入を検討中です。ゆくゆくは水中ハウジングも買って水中写真にも使いたいとのこと。どうやらお得なダブルズームレンズキットに魅かれているようです。でもこのレンズキットって存在は案外曲者だったりします。

OM-Dのダブルズームキットに付いているレンズは以下の2本。

  • Olympus M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6II R
  • Olympus M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6R

スペックを比べるとこの通り。ここでは水中撮影用で特に重視すべき点だけを抜き出してあります。

  M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6II R M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6R
最低撮影距離 25cm 90cm
最大撮影倍率 0.19倍 0.16 倍

まず、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6R(上の表の右側)は水中ではまったく使い物になりません。なにしろ最低撮影距離が90cm、それ以内ではピントが合わないということです。そして90cmというと、よほど透明度が高い海でもなければストロボ光が減退して届きにくくなる距離。そもそも海の中では遠くはどうしても青く不鮮明になります。よってこのレンズでは何を撮っても楽しくないはずです。既製の対応レンズポートもないでしょう。

もう一方のM.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6II Rは使えなくはないものの、14-42mmを35mm判に換算すると28-82mm相当。そう、今どきのコンデジと同じような画角です。しかも25cm以内(レンズの先からは約20cm)はピントが合いません。よって小さなウミウシやカエルアンコウの幼魚、ダンゴウオなんかを撮るには微妙です。

もちろんコンパクトデジカメ(Canon PowerShot G1 Xを除く)よりはセンサーが大きいため画質面では有利だとしても、コンデジの水中セットの方が圧倒的にリーズナブル。しかもコンデジにはマクロモードもあります。

つまりこのダブルズームキットの2本のレンズは「まったく水中向きではないレンズ」と「ミラーレスにしたメリットがないレンズ」の組み合わせということです。

もっとも陸上で使うのが主目的で、水中では何となく撮れればいいってことなら構わないのですが、それにしては値が張りますよね。カメラ、レンズ、水中ハウジング、レンズポートの4点セットは20万円を超えちゃうわけで。だったら水中用には別途コンデジの上位機種を買い、OM-Dは陸上用に留める方が良いいかと。

もし、マクロ重視なら現時点ではCanon PowerShot S100がお勧めです。対応する水中ハウジングも知る限りで4社から発売されています。

ちなみに私がとりわけ水中撮影に向いていると思うマイクロフォーサーズ用レンズは以下の2本。

  • Panasonic LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm
  • Panasonic LUMIX G FISHEYE 8mm F3.5
  LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm Panasonic LUMIX G FISHEYE 8mm F3.5
最低撮影距離 15cm 10cm
最大撮影倍率 1.0倍 0.2倍

どちらも最低撮影距離が近く(ストロボ光が十分に届く距離まで被写体に寄れる)、かつコンパクトデジカメでは撮れない絵を写し出してくれるので。

ああ、そうだ。ズームレンズの14-42mmとマクロの45mmでは似たような焦点距離の数字が付与されているので、初心者は何となく「どちらも同じように写せるんじゃないか」「42mm側にズームをかければマクロに近い絵が撮れるよね?」と思うかもしれません。私も最初はそうでした。でも違うのですよね。

この場合、重要なのが最大撮影倍率。MACRO-ELMARIT 45mmが1.0倍なのに対して14-42mm F3.5-5.6II Rは0.19倍。早い話がズームレンズだと被写体がマクロレンズのときの1/5以下の大きさにしか映らないわけです。クローズアップレンズを外付けすれば焦点距離を短くしつつ拡大率を上げられますが、それでもマクロレンズの拡大率と使い勝手の良さには追いつきません。よってマクロ写真が撮りたければマクロレンズを選ぶべきです。

それともう一つ。コンデジのマクロモードには範囲が設定されていて被写体から離れるとピントが合わなくなりますが、一眼のマクロレンズにはそれがありません。手前から無限遠までピントが合うので、接写だけでなく人物のスナップを撮る用途なんかにもけっこう有益です。

それでもズームレンズが好みなら以下の2本はまあ悪くはないかと。

  • Panasonic LUMIX G VARIO 7-14mm F4.0 ASPH
  • Olympus M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
  Panasonic LUMIX G VARIO 7-14mm F4.0 ASPH Olympus M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
最低撮影距離 25cm 25cm
最大撮影倍率 0.08倍 0.10倍

どちらもコンデジにはない画角を持っているので。 あれこれ長くなりましたが、水中撮影ようにレンズを選ぶときは以下を目安にすると良いでしょう。

  • マクロ指向なら迷わずマクロレンズ
  • ワイド指向ならコンデジにはない画角のレンズ(35mm版換算で20mm未満が目安)

私の写真のFacebookページ:FROGFISH.JP

フルーティーなウミウシ

先日、録りためていた探偵!ナイトスクープを観たら「ヤマトメリベというウミウシはグレープフルーツの匂いがする」という説の検証をしていました。

串本のダイビングショップに協力してもらい、たむらけんじ探偵と依頼者が水温19℃のビーチでシュノーケリングしながら探したものの見つからず。でも、代わりに近縁種のムカデメリベの採取に成功。匂いをかいでみたら、やはりグレープフルーツ臭がしたそうです。自分でも試してみたい…。

私もメリベ類は一度だけ見かけたことがあります。こちらの動画の18秒目からと47秒目からがそれです。

この動画を撮ってビデオライトの必要性を実感しました

でも事前にこの話を知っていても何もできなかったでしょうね。水中で何かの匂いをかぐのは至難の業だから。かといって30cm級のこの子を抱えて水面まで上がるってのも…。

今度もし浅場で見つけたなら匂ってみることにしましょう。

キイロイボウミウシ
これなんかはトロピカルスイーツのような…。 キイロイボウミウシ。2012年5月、宇佐美で撮影

OM-D用の水中ハウジングにはこちらを買うべし

関連エントリ:

OM-D用水中ハウジングの選び方

OM-Dの純正ハウジングがより魅力的に

今朝のNIKKEI NetによるとOlympusはSONYからの出資を受け入れると決めたそうで。提携先としてはミラーレスカメラで協業関係にあるPanasonicが有力視されていましたがSONYですか。確かに同じ規格を採用する一見相性の良さそうなPanasonicとは重なる部分も多いわけで、Lumixとの兼ね合いから先々PENラインナップの縮小や淘汰を強いられ兼ねませんしね。だったら業務上の関係性が遠いSONYと組む方が、まだカメラ事業を持ったまま生き残れる可能性が高いと見たのかな。


私はミラーレスカメラがあまり好きではないのですが、Olympus OM-D E-M5にだけは魅かれます。最高速とうたうEVFの反応も良好だし、何といってもクラシカルな見た目が素晴らしいので。買うなら絶対シルバーですよね。

さて、OM-D用の水中ハウジング(水中プロテクター)としてはOlympus純正のPT-EP08が発売される予定です。

でも、このハウジングは微妙です。何がって2種類用意されているレンズポートPPO-E01(フォーサーズレンズ用)とPPO-EP01(マイクロフォーサーズレンズ用)はどちらもフラットポートなので。

せっかくフルHD動画も撮れるカメラなのだからフィッシュアイレンズを使いたいですよね。だったら当然ドームポートが欲しいところですが、残念ながら用意されていません。

というわけで、OM-Dを水中カメラとして使いたい人にはこちらをお勧めします。私も愛用しているNauticam製の水中ハウジングです。

NA-EM1 NA-EM1 Housing for Olympus OM-D E-M1 Camera FOR OLYMPUS OM-D E-M1 CAMERA

製品紹介ページのレンズポートバリエーションの説明には、

14-42mm標準ズームレンズのみならず、水中撮影に適しているパナソニック社製45mmマクロレンズや、8mmフィッシュアイレンズ等、様々なマイクロフォーサーズレンズに対応する豊富なポート群をラインナップしています。

とあります。そうですよね。確かに水中撮影向きなのはそのマクロレンズとフィッシュアイレンズの2本です。そしてこのハウジングにはフィッシュアイレンズ用のドームポートが用意されています。

NA EP100ドームポート
NA EP100ドームポート

しかもハウジングはアルミ合金製で耐水水深が100m。ちなみに純正品は45m。まあ、レジャーダイブでは滅多に45mまで潜らないはずですが、この手の製品は丈夫に越したことはないので。

そして圧巻は私も愛用しているスーパービューファインダが使えること。

Nauticam スーパービューファインダ

視度調整ができるので、これさえあれば先々老眼になっても安心。私はまだですが、いずれファインダが見られなくなるであろうことを見越して買って付けてあります。できれば一生ものとして付き合って行きたいので、今のうちから使い慣れていた方がいいと思うし。

なお、このハウジングの発売日は7月12日だそうです。仕事が遅いNauticamのことなのであてになりませんが、新宿の水中撮影機材専門店アンサーあたりで予約しておけば、純正ハウジングの発売(7月下旬予定)よりも早くOM-Dの水中カメラセットが組めるかも。


追記: 純正のハウジングはマイクロフォーサーズではなくフォーサーズ系のレンズポートと8mmフィッシュアイレンズなんかが使えるそうです。 関連エントリ:

OM-D用水中ハウジングの選び方 OM-Dの純正ハウジングがより魅力的に

私の写真のFacebookページ:FROGFISH.JP