セブに避暑に行ってきます

東京はくそ暑いので今日からセブに涼みに行ってきます。気温はさほど変わらない(東京の方が少し高い)ものの湿度が低い分、あちらの方が過ごしやすいのですよね。まあ、実のところマイレージで行く関係で日程が限定されてこの時期になっただけですが。

ちなみにセブは東京よりも体感的に涼しいけど、インドネシアまで南下するとどうしようもなく暑かったりします。

さて今回は一人旅。無論、行きつけのダイビングショップ(もちろんミリ単位の被写体を見せてくれるマクロ写真派御用達の)を使います。運が良ければゲストが自分一人に対して目利きのガイド3人という体制で潜れるでしょう。レアだったりフォトジェニックな生き物が見つかる度に三方からお呼びがかかる嬉しい悲鳴のパターンですね。

前回も一人で行ったので、リクエストを出して2日連続でピグミー団地(8匹のピグミーシーホースが付いた1枚のシーファン)で粘ったり、体長15mmのニシキテグリの幼魚などを独り占めできました。

ニシキテグリの幼魚(15mm)
ニシキテグリの幼魚(15mm) 諸星大二郎さんの漫画に出てくる妖怪みたいな毒々しいカラーリング

マクタンの海はそれこそ沖縄と比べてもそういった生物の個体数が目に見えて多いのでマクロ写真の練習や作品作りにはうってつけ。私もあの海に通うことで写真の腕前を飛躍的に向上させることができました。それでもまだまだ修業中の身ですが。

先日、久しぶりに再会したかつてのダイビング仲間は「わざわざ海外にマクロダイビングに行くなんて」と言いますが、私からすると逆です。国内では望めないほど充実したマクロダイブが楽しめるからこそ海外に出向くわけです。水温が高く1ダイブ60分越えでも平気で潜っていられますしね。伊豆あたりで透視度が悪いがために消去法的にマクロダイブになるのとは根本的に違います。

てなわけで今回もいい写真がたくさん撮れますように。

人の好みは千差万別

週末、かつてのダイバー仲間との飲み会がありました。メンバーの大半とはご無沙汰だったものの、皆元気にダイビングも続けていて何よりです。

ただし、会うことのなかったここ2年ぐらいの内に私の立ち位置がマクロに定まったのとは裏腹に、彼らの多くは典型的なワイド指向。「粟国島でギンガメアジのトルネードが…」「ハンマーが…」「イソマグロの群れが」などと話していましたね。

一人なんかは私に対して「外国にまでマクロダイビングに行く気持ちが解らない」とも。彼には「南国リゾートは大物を見に行くべきところ」という認識のようです。

でも私にしてみれば、マクロ生物を見るため、写真に収めるためにフィリピン、マレーシア、インドネシアあたりに出向くのは至って当然のことなのですが。ギンガメなんかはどこで見ても代りばえしないと思うし。

私の代表作のカエルアンコウ
こんなにキュートなカエルアンコウの幼魚よりも…
バラクーダのトルネード
バラクーダのトルネード写真なんかに食いつかれては悲しいものがあります

もちろん誰が水中の何を好きだろうが構わないわけです。スキューバダイビングはそれだけ奥行きが広いレジャーということでもありましょう。

ただまあ、そうまで指向性が違ってくると、この先はもう彼らと一緒に潜る日は来ないかもしれません。私の1個の根で60分みたいなマクロフォトダイブにつき合わせれば彼らは退屈するだろうし、私は水中を長々と泳ぐダイビングが大嫌い。地形ダイブに至っては、何が面白いのかまったくもって理解できません。

いや、リロアンやシパダン方面など、マクロもワイドも両方が充実している海だったら折衷できなくはないかな。

リロアンの海のイメージ

先日私が潜りそこなったリロアンの周辺で見られる生物はマクタン島の近海と大差ないと伺っています。そんなに離れていませんしね。

とはいえ生物相は同じでも場所によって何が見やすいかは違うわけです。通常は近寄るのが難しいハゼの類でも妙にダイバー慣れした固体がいれば、ビギナーでも十分に寄って写真を撮ることもできるでしょうし。

で、仲間が撮ってきた写真を見せてもらうと、こんな生き物が多かったですね。以下は私の過去のストックで再現した「偽・リロアンの水中写真」です。

ハルゲルダ・バタンガス
ハルゲルダ・バタンガス(交接中)
ニチリンダテハゼ
ニチリンダテハゼ
アザミカクレモエビ(ヒッポリテ・コメンサリス)
アザミカクレモエビ(ヒッポリテ・コメンサリス)
オランウータンクラブ
オランウータンクラブ

ああ、でも、かつてリロアンの名物とされていたメタリックシュリンプゴビーは最近では見られなくなったそうで。

メタリックシュリンプゴビー
メタリックシュリンプゴビー

なお、私が期待していたユタというマクロポイントも半年ぐらい前に土砂崩れがあってから回復していないとのこと。生物相豊かな海ではあるものの変化にも富んでいるようなので、もし特定の生き物が見たいならツアーを申し込む前に直近の状況を確認しておいた方が良さそうです。

Nikon 1という選択

Nikon 1というミラーレスカメラが密かな人気です。なぜこの機種がそんなに売れているのか私には解らないのですが。さほどコンパクトではないのに、イメージセンサーは他のミラーレスカメラよりも小さいし。これを買う人の動機はきっと画質優先ではないのでしょうね。

さて、そんなNikon 1シリーズにも水中ハウジングがあります。一つは上位機種Nikon 1 V1向けのNauticam V1 for Nikon V1。香港のNauticam製の全部入りの堅牢な製品ですね。高価な値段に見合うだけの作りをしています。

もう一つは東京の杉並に居を構えるZillionのNikon1J1専用水中ハウジング。下位機種のNikon 1 J1向けですね。今回はこちらに着目しましょう。なぜかというと、AF-S Micro-Nikkor 60mm F2.8D対応のレンズポートが用意されているから。

Nikon1J1用水中ハウジング

今まで私がNikon 1に注目していなかったのはイメージセンサーの小ささに加えて、対応レンズのラインナップが乏しかったため。現時点では以下の4本です。

レンズ 焦点距離 (35mm判換算) 最短撮影距離 撮影倍率
1 NIKKOR 10mm f/2.8 27mm 0.2m 0.16倍
1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6 27-81mm 0.2m
0.21倍
1 NIKKOR VR 10-100mm f/4.5-5.6 PD-ZOOM 27-270mm 0.3-0.85m
0.34倍
1 NIKKOR VR 30-110mm f/3.8-5.6 81-297mm 1.0m 0.28倍

この内、水中でまともに使えそうなのは上の二本だけ。三番目の10-100mmを広角側だけ使うのではメリットと必然性が乏しいし、四番目の30-110mmはよほど透明度が良くなければまったく使い物にならないので。

残りの10mmと10-30mmにしても、言ってしまえば「コンデジの上位機種並」です。なにしろ今年に入ってミラーレスとコンデジのスペック的な境界は曖昧になったので。

でも、一眼レフ(Nikon Fマウント)用のAF-S Micro-Nikkor 60mm F2.8Dが使えるとなると話は違ってきます。別途マウントアダプター FT1が必要になるものの、そこは目をつぶりましょう。なにしろ待望かつ唯一のマクロレンズなので。

ただし、60mmを35mm判で換算すると162mm相当。スイカに例えるなら中心の甘いところしか食べないような贅沢な使い方になります。周りの控えめな甘さの部分は捨ててしまうので、いかにも一眼風のボケ味には期待できないかも。あるいはぼかすには撮り方に工夫がいるとか。

逆に言うと、小さな被写体をどアップでぼかさずくっきり撮りたい用途には向いてそうです。

以下はのイメージセンサーのサイズ別(レンズが同じ絵を捉えたと仮定した場合)の撮影イメージ。このようにセンサーが小さくなるほど使う部分が狭まり、捨てる部分が増えます。

画角(フルサイズ)
↑フルサイズ(Nikon D800など)の画角(1.0倍)
APS-Cの画角
↑APS-C(Nikon D7000など)の画角(1.5倍)
1inchの画角
↑APS-C(Nikon 1 V1/J1)の画角(2.7倍)

ま、被写体への距離を調整すればもちろん広く写すことは可能です。

それにNikon1J1は同社製の一眼レフカメラよりは小振りだし、Zillion製の水中ハウジングは樹脂製なのでNauticam製のものよりも軽量で取り回しも楽だったりします。

一眼風のマクロ撮影を最小サイズのカメラセットで楽しみたい人にとってはこのセットは良い選択かもしれません。

Dreams come true ?

Dreams come true、言わずと知れた「夢は叶うものだ」という意味の英語。そして公言した方が夢は叶うと聞いたので、ここで書いておこうと思います。

今の私の夢はエビ・カニ類がメインの水中写真家になること。願わくば会社の仕事は早くセミリタイヤして、業務のスケジュールや休暇の都合を気にすることなく好き勝手に撮りに行かれるような。

エビ
エビ カクレエビの一種。よく見ると奥にももう一匹こちら向きに写っています
オランウータンクラブ
オランウータンクラブ。 周りの黄色いのはエビの幼生かな? せいぜい1mmかそこらなんで、撮ってるときはまったく気づきませんでした

とは言え、さすがに水中写真がありふれた現在では、それを本業にするのは難しそうですが、趣味の範疇から出なくても好きなものの写真を撮ることに人生の多くの時間を費やできるなら幸せです。

さしあたり、そのための写真の腕前の方は少しずつ向上していると思うものの、やっぱり先立つものが…。 エビ、飼おうかな…。