水中撮影でフロートの効果は絶大

先月のリロアンでは怪我をして潜れなかったものの、講習用の海水プールで水中カメラセットの浮力を確認できました。あらかじめプールの中で仲間に受け止めてもらうよう頼んでおいて、中華フロート3個(以前より900gの浮力アップ)を付けたカメラセットから手を放すと勢いよく沈んでいきます。私はそんなカメラセットで片手撮りをしていたのか…。そりゃ肘も痛めるわけだ。

ビニー ABS製 水中A型フロート(底曳)新宿の水中カメラ専門店アンサーでは追加の中華フロートを貰えますが、そうやって数を増やすとかさばるので、代わりにこちらのMサイズ2個を取り寄せてもらい購入しました。2個で4,000円。世話になっているお店なので微力ながらたまには売り上げにも貢献しないとね。

これで+1.2kg、INONのフロートアーム M×2本と合わせて計1,470gの浮力が得られます。直径11cmの球体二つなので水中でもスーツケース内でもさほどかさばりません。浮力的にはLサイズ1個でもよかったのですが、直径が14cmありスーツケースに入れるには厳しそうだったのでパス。

そして今月のマクタンではこの構成でぶっつけ本番の撮影に臨みました。浮力具合は手を放すとゆっくり沈む感じ。理想的ですね。変に中性浮力を目指すとカメラを水底に仮置きした際(カエルアンコウにBCDに潜り込まれて脱着する羽目になった場合など)に流されかねないので、やや重いぐらいがベストです。

ちなみに不要になった中華フロートは別の人に譲るべく返却しておいたので、もしカメラセットの水中重量を軽くしたいなら新宿西口のアンサーで貰ってくるといいですよ。早い者勝ちです。漂着物の再利用なので次の入荷の目処もないし。

さて、水中カメラが軽いと、たとえばうねりがあるときに左手で岩を掴んで体を固定し、右手だけで撮影できます。しかも長時間OK。手振れ防止にも有効です。さすがにマニュアルフォーカスは使えませんが。

トゲツノメエビ
うねりの中で片手撮りしたトゲツノメエビ

ならば壁面から横向きに生えたシーファンのピグミーシーホースの片手撮りも楽になります。同じく、ムチカラマツに住むエビ類やガラスハゼを撮る時は左手でムチカラマツを摘んで固定できるし、ダンゴウオの場合も海藻を左手で摘めば撮りやすくなるはずです。

私はそこそこパワフルなため無関心でしたが、水中写真の腕前を向上させる重要なポイントの一つがカメラセットの水中重量だということに今さらながら気づきました。マクロ撮影の場合、両手が使えないことも多いですしね。

私の水中カメラセットもようやく完成に近づいたようです。

危険生物

私の中で海で特に警戒すべき生物の2番目がこいつ、モンハナシャコ。

モンハナシャコ

ちなみに1番はゴマモンガラ。何しろ凶暴かつ執拗だから。

3番はミノカサゴです。ミノカサゴ、岩場で写真を撮っている時に、ふと見るとそばにいたりするのですよね。しかももう少しで毒のヒレが触れそうって位置に。追い払おうにもなかなか逃げないし。

ミノカサゴ

もちろんイモガイやオニヒトデやらは殿堂入りクラスなのでランキングから除外してあります。

で、モンハナシャコ。鋭い牙や毒があるわけでもなく一見無害。たいていは巣穴に半身を隠しているし、襲いかかっても来ません。でも、だからといって接写を狙うと強烈な打脚の一撃を喰らうわけです。ハンマーを繰り出すかのようなシャコパンチは水槽のガラスやアクリル板を割るほどの威力があると言われています。だったら水中カメラのレンズポートにもヒビぐらい入り兼ねないですよね。

どアップを狙って不用意に近づいたらクローズアップレンズなりハウジングのレンズポートを割られ、ヘタすると水中ハウジングとカメラが水没ってことに。やっぱり危険だ。

長距離・中距離・短距離

私はINONのクローズアップレンズUCL-330とUCL-165M67を携えて海に入ります。そして先日のリロアン(マクタン島に近い方の)ではカニハゼ(体長約50mm)で撮り比べてみました。

素の状態の105mmマイクロレンズ(マクロレンズ)ではワーキングディスタンス(レンズ端から被写体までの距離)が20cm以上必要です。言い換えると20cm以内に近寄ったらピントが合いません。よって長距離撮影用ですね。

カニハゼ(素の105mmマイクロレンズで撮影)
素の105mmマイクロレンズだけで撮影。迫力が足りませんよね

そこでUCL-330を装着すると10cmぐらいまで寄れるようになります。それでいてピントが合う距離も前後数cmの幅があるので非常に使いでがいいです。中距離撮影用。多くの場合、私のデフォルト構成です。

カニハゼ(UCL-330を装着して撮影)
UCL-330を装着して撮影したカニハゼ。 尾びれが見切れているけど、全体的にいい感じです

そしてさらに近寄りたい場合はUCL-330からUCL-165M67に換装します。これだと5cmぐらいまで寄れるもののピントが合う範囲も前後約1cmに限られてしまうのでシビアです。短距離撮影用。

カニハゼ(UCL-165M67を装着して撮影)
UCL-165M67を装着して撮影したカニハゼ。 ピントが手前の目の1mmぐらい奥に合っちゃっているような…


訂正:

ここに書いているUCL-330関連の話は間違っているようです。後日確認したところ、105mmマイクロレンズとUCL-330の組み合わせでは、焦点距離を縮める効果はほとんどなさそうなので。

よってUCL-165M67か、もしくはUCL-165M67+UCL-330を組み合わせで使えってことですね。

ものもらいのスジモヨウフグ

いつもつぶらな瞳でニコニコしているスジモヨウフグ。

スジモヨウフグ(健康体)
いつも笑顔のスジモヨウフグ

でも、ときおり目の横にできものを持った個体を見かけます。

スジモヨウフグ(被寄生)
虫に寄生されて痛々しいスジモヨウフグ。 よく見ると瞳に私のカメラのストロボ光(x2)が映り込んでいます

このできもの、魚の生態に詳しい人に訊いたところ、寄生虫の影響とのこと。よってつまんで引きちぎってあげた方が魚の健康にはいいらしいです。今度やってあげようかな。