空港リムジンバスはぼったくり

先日、飛行機好きの友人と話していて、「成田に行くときの空港バスはぼったくりだよな」という話題になりました。「LCCで成田→福岡が2,000円〜って時代に、東京や神奈川からの陸路が3,000円ではバカ高だ」と。確かに言われてみればそんな気がします。計30kgにもなるダイビング機材を持って空港に行く手段としては楽なので私は気にしたことがなかったのですが。

で、ここからは政治についての野暮な話。

その友人との会話は「同区間を2,000円で走らせるという業者が名乗り出ても許認可が下りないんだろうな…」と続きました。なにしろ国交省の役人がリムジンバスの東京空港交通だかに天下りしてて規制をこしらえているからと。まあ日本の縮図ですね。民主党政権になってからも八ッ場ダムに始まり、最近では危険度の高い原発まで利権に屈して再稼働しました。そりゃ国の借金が際限なく積み上がるのも当然でしょうよ。ベンチャーの芽もことごとく摘まれてしまいますしね。

こうなってしまう理由は明確で、お役人や政治家には建設的な方向にインセンティブが働かないから。多少の例外はあるにせよ、基本的にはどれだけ国の借金が増えようとも自分たちの懐は痛まないわけです。せいぜい期限付きで報酬の数%をカットして見せればいいだけなので。だったら組織ぐるみで利権の確保と維持に邁進した方が得ってことになります。「費用対効果が低くても公共事業で利益誘導ができればOK」「原発は危険性には目をつぶって無理にでも再稼働してしまえばどうにでもなる」とばかりに。

ならば処方せんは単純明快。財政の悪化が自身にも如実に跳ね返るように法改正をすればいいわけです。「国家公務員報酬バランスシート比例化法案」なんてものを通して。国の借金が増えたら国家公務員の給与、ボーナス、退職金、そしてOBの年金も応分に減らすという制度ですね。

野党だった頃の民主党、そして民主党からはじき出された小沢一郎は今でも「国家公務員の給与2割カット」などという絵空事を掲げていますが、そんな乱暴な案では多くの賛同が得られず実現しっこないわけです。そもそもなぜ2割なのかの根拠も怪しいわけで。

でも、「国の借金が増えているときは、国家公務員にも相応の報酬引き下げを飲んでもらう」なら、まともな人間は反対しないでしょう。仮に引き下げ率の上限を年3%としても、バランスシートが改善されないまま7年も経てばば80.7%、ほぼ2割減になります。しかもそれで終わりではありません。もし失われた10年なんてことになれば73.7%、15年だと63.3%の水準まで落ち込みます。

単年度のバランスシートだけを見れば税率を上げて税収を増やす手もありますが、いずれリバウンドすれば自身の将来展望が危うくなるわけです。

そいういう現実に直面すれば、さすがにお役人も目が覚めて、天下りや野放図な補助金行政にも自発的に歯止めをかけ、規制の緩和すら模索せざるをえなくなるでしょう。自分たちの利権を確保するどころか、国の産業をもり立てないと足下が揺らぎ兼ねないと。

そうやって優秀とされる持ち前の頭脳を、安易な増税などではなく、既存の産業を活性化させつつも新たな産業の勃興を促し、健全な形で税収を伸ばすことの側面支援に費やしてもらいましょうよ。バランスシートに改善が見られたなら、また報酬を引き上げてくれていいわけで。

早ければこの秋、遅くても向こう1年以内には総選挙が行われます。どこかの改革指向の政党に、この手の政策案を掲げて選挙に望んで欲しいものです。この法案一つ通せれば、日本の財政は劇的に回復すると思うのですがね。

嫌いでも今だけは小沢一郎を支持しようよ

上野動物園の子パンダ、死んじゃいましたね。残念ですが、石原都知事の「センカクと名付けてうんぬん」という血迷い事が実現しなかった点だけは良かったかな。「尖閣を中国に返す」では国賊的に拙かろうと。


いわゆる小沢新党『国民の生活が第一』が発足しました。私は好きでも嫌いでもないのですが、世の中には小沢一郎が大嫌いな人が多いようです。

まあ、解らなくはないものの、そうやって反小沢、嫌小沢的論調でもって野田内閣デタラメぶりが覆い隠され、増税にしろ原発にしろ、このまますべてがなし崩しに進んでいくことは拙いわけです。

霞が関の息のかかった大手メディアの世論調査では「小沢氏支持しない80%」なんて伝えられていますが(おそらく恣意的な設問で訊いているはず)、だとしても「小沢不支持=野田支持」ではなかろうと。

で、私の考えとしては「この際、我々国民は小沢一郎を存分に利用すべきだ」というもの。つまり消費税の参院可決を阻み、総選挙に向かわせるためのツールとして。それこそ一回だけ、これっきりの使い捨てで構わないのだから彼の後押しをしようじゃないかと。そうして早期に総選挙まで持っていければ小沢一郎もお役御免。総選挙では小沢新党に限らず思い思いに投票すれば良いわけで。

差し当たり野党議員をかき集めれば内閣不信任案を提出できます。もちろん自公が民主党政権と一蓮托生を決め込むなら否決されますが、連立政権ではないのだし、賛成か棄権すれば野田内閣は終わりです。消費税法案もいったん白紙に戻ります。そしてその可能性は大いにあるでしょう。民主同様、支持率ジリ貧の自民党は表向きは解散を求めながらも本心では時間稼ぎがしたい一方で、こんな野田内閣を信任したとなればますます選挙で戦い難くなるのだから。

もっとも解散総選挙ではなく内閣総辞職ってパターンもあり得るものの、もはや民主党の政権が行き詰まっているのは明らか。ここは解散して、民主も自民も増税路線を貫くなら貫くで、それぞれ新たに練り直したマニフェストなりビジョンを掲げて国民の信を問うてもらうと。

野田総理は「マニフェストに書いてなくても、国民のためにやらなければならないことがある」と言うわけですが、それほど急務で重要なら増税を掲げていても勝てるはず。国民は決して負担が増えるのが嫌で消費税増税に反対しているわけではないのだから。まあ、いまさら民主党の言い分を真に受ける馬鹿正直な国民はいなさそうですが。

将来の消費税増税は避けられないとしても、この政権による「何に使うかは言えないけど、とりあえず税率だけは上げさせてもらうよ」というやり方はまことにけしからん話。消費税の増税に肯定的な人であっても、今回のこの騙し討ち増税は承諾できないのではないでしょうか。上げるにしても、少しでもましな政権下で、ちゃんとした展望と将来像、計画性を示してからの手続きにしてもらわないと。このままでは財政再建にも社会保障の充実にもならず、増税のツケを更なる増税で埋める悪循環に陥るのが目に見えています。

そういった事態を避けるために、まずは野田政権を一刻も早く倒さないと。そのための使い捨てのツールとして最も使いでがあるのが小沢一郎だと思うのですよね。本来なら野党第一党の自民党が倒閣に動かなければならないところですが、これまたいかにも腰砕けで…。

野田政権は日本を壊そうとしている

消費税増税法案が衆議院を通過しました。これで本決まりではないけど、まったく腹立たしい限りです。まるで「消費税増税ができれば国が潰れても構わん」と言わんばかりなので。野党が賛成して与党の数十人が反対って何なんだよ…。

そもそも「消費税は上げない」というマニフェストで獲得した議席をたのんで消費税増税にまい進するってのは恥知らずのデタラメもいいところ。国民を愚弄しています。

私とて「長引く不況下で増税してくれるな」なんて言う気はありません。昨今、かなりの国民は「将来の消費税増税はやむなし。筋道さえきっちり示してもらえば賛成」と考えているわけで、だったら増税の必要性を説いて解散総選挙に臨むのが筋。ちゃんと理を説いてそれに説得力があれば選挙にだって負けないはず。でもそれをしないってことは、社会保障改革も行政改革も規制緩和も一切決めないまま消費税だけ上げたがっているということ。増税が手段ではなく目的になっているわけです。

これって東電が資産を差し出さずに賠償金を電気代に転嫁する話と同じで、お手盛り政治を続けるための掴み金を確保したということ。「増税分は社会保障に使う」と言いながらも社会保障が充実する保証はどこにもありません。

百歩譲って消費税増税を受け入れようにも、増税で経済なり財政状況を好転させる方策がなければ何ら得ることもなく、ただただ国民生活を疲弊させるだけに終わります。だいたい財政赤字垂れ流しの原因は消費税率が低いからではないわけです。闇雲に増税して10兆円ほど税収を増やしても焼け石に水。このままだと野田佳彦は「日本を破壊した男」として後世に名を残すことになるでしょう。

自由民主党との出来レースによる増税なだれ込みは、どうにもあのブラックジョークを彷彿させます。北朝鮮が崩壊したら無理やり開発した核兵器が手土産となって韓国が核保有国になるという。野田氏は民主党を立ち直れないほどに壊した上で消費税増税を手土産に自民党入りするんじゅやないかと…。

ショー・ヒ・ゼーの不思議

政治の話。今月末からの通常国会の争点の一つが消費税の増税議論。野田政権は「税と社会保障の一体改革」を掲げ、何としても増税にこぎ着けたいようですが、どうにも「増税に頼った社会保障のいったん改革」にしか見えません。財政危機と言いながら既得権は極力温存した上で帳簿の帳尻を取り繕うという魂胆が見え見えです。

残念に思うのは、一般的に有識者とされる人に賛成者がなんと多いことか。経済的に恵まれた立場の人は消費税の負担感が比較的小さいので、国の財政のテクニカルな面に目が生きがちなのでしょう。彼らはメディアで財政危機と増税の必要性を説けば仕事が増えますしね。

また、良く言われる「増税の前に自分たちが身を切れ」という論調も変な話だと思います。いや、もちろん議員定数の削減も公務員の給与引き下げもやってくれて良いのですが、それらは増税の前提条件としてはハードル低すぎですしょう。それで減らせるコストなんてたかが知れてます。

なお、私が見聞きした中でもっとも賛同するのは宮台真司さんの見解。「行政改革、産業構造の変革なしに増税したところで、お先真っ暗なだけ」というもの。

例えば、かつての事業仕分けの「2位じゃダメなんですか騒動」の時、ノーベル賞受賞者の小柴さんが「科学者には予算の1割しか下りてこない」と嘆いておられました。実に予算の9割が中抜き、ピンハネされていたわけです。仮にこれをゼロにできれば予算を半額にしても5倍の費用を科学者に渡せます。そんな例はそこらじゅうにわんさか眠っているはずです。いまだに続く天下りの因習(当然、多額の税金が注ぎ込まれている)や補助金ばらまき行政にメスを入れて切り落としてからでなければ増税による増収分も早晩食い尽くされ、経済にしろ財政にしろ負の連鎖でいっそう悪化するのは解りきっています。

聞くところでは、野田総理は自身の政治生命と引き換えに増税法案を通して朽ち果てる覚悟だとか。それが本当なら「死刑を覚悟に殺人を犯す人」みたいでタチが悪いよなぁ。かといって増税反対派とされる議員連中も信用できないし…。

2012年の政局展望

うん、来年の春には解散総選挙になりそうですね。別に私が立候補するわけではないけど。

昨日、民主党は消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる方針を決めました。どうやらこの政権は悪魔に魂を売ったようで…。

もはや国民の多くは将来の消費税増税は避けららないと思ってますよ。それでも賛成しないのは増税が嫌なのではなく「上げ損」になるのが解りきってるから。財政再建のためと言うのなら、ちゃんと増税の効果が上がるような条件づくりが優先かつ絶対条件であって、そちらは一切やられてないのですから。

では、なぜ野田総理以下の面々がダメージそっちのけで消費税増税に意欲的なのかは町田市在住のジャーナリスト町田徹さんが解説しておられました。不正確ですがこんな感じだったかと。

財務省の本分は財政の収支を取り繕うことで、増税によって国が疲弊しようともそれは自分たちの管轄外という意識なのです

彼らが職務に忠実なのは当然ですが、本来なら政治家が大局的に見て特定の省庁の突出を押さえ、経済や国民生活の実態とを踏まえて最良の解を得るべきなのに、野田総理は財務大臣時代に彼らからレクチャーされ、財務省のロジックを熱心にお勉強したらしくて…。

また、有識者とされる人たちが言う「1,000兆円もの借金を子や孫の世代に残して良いわけがない」という常套句も奇弁で、本当に後世に残してほしくないのは莫大な借金ではなく、経済発展の阻害要因の数々の方。借金の負担感は収入が増えれば軽くなるものだし、だいたい消費税率が上がればその負担は子や孫の世代も負うことになります。

結局のところ「増税の効果が上がるような条件づくり」や「経済発展の阻害要因」とは、役人や元役人の既得権に切り込むという話に尽きます。例えば、公務員宿舎を廃止するだけでも民間の不動産市場には追い風になるのに、それはせず税金で自前の宿舎を建ててしまうわけです。とっくに財政破綻状態の東電を破綻処理して新体制で再スタートさせようとしないのもそう。あるいはSoftBankに割り当てられそうな900MHz帯の周波数にしても、SoftBankから徴収する周波数の立ち退き料から270億円総務省の天下り団体に流すのだそうな。こんなことをやっていれば消費税の増税なんて焼け石に水です。駆け込み消費で1年だけは税収が増えるにしても、その後は凄まじいリバウンドに襲われます。

ということで、来年の春にも解散総選挙という運びになるでしょう。台風の目は橋下徹大阪市長と組んだみんなの党。選挙テーマは「行政のコストカット」ですね。言葉は違うかもしれませんが、今の国民は「破壊者」を求めていますので。

他方で民主党は悲惨なぐらいに議席を減らすことになりそうです。まあ、その前に党が大きく割れているかもしれませんが…。