橋下徹 vs. 野田佳彦

大阪市長に橋下さんが当選しました。多数派の市民が望んだのですから、この先の大阪市政、ひいては国政のキーワードは「行政改革の断行」になるのでしょう。

他方、消費税増税論者の常套句に「莫大な借金を孫子の代に残していいわけがない」というものがあります。一見正論に聞こえますが、その実は「改革はしてくれるな」と言っているに等しかったりします。彼らに問うてみたいものです。「負の遺産は財政赤字だけなのか?」と。

野田総理は是が非でも消費税増税への道筋をつけたいようですが、財政赤字が1,000兆円にもなろうというとき、そもそも税率5%UPで税収が12兆円ばかり増えても、それで万万歳とはいかないはず。たとえ社会福祉が目的であろうとも病人に献血を迫るような増税では、ますます景気が悪くなるのは目に見えています。

一方で借金の負担感は収入が増えれば軽減されます。景気が改善すれば財政の深刻さは軽くなるわけです。

ならば、先にやるべきは社会運営コストの圧縮であり民間の経済活動支援のはず。具体的には高級官僚の天下りの禁止や独立行政法人の廃止、規制緩和の類いですね。何のことはない、民主党が政権交代前に掲げていた政策だったりします。たとえば電力問題一つとっても東電はひとまず破綻させ、新規参入組との競争を促せば経済効果は大きいというのに。

でも、民主党にはそれができないこと、やる気もないことは明らかです。そこで橋下徹さんとそのの賛同者の出番になります。「増税よりも行政改革の方が先」とばかりに大阪市民、府民だけではなく、国全体が彼の破壊力に期待する機運が次第に盛り上がってくるのではないでしょうか。

差し当たり向こう一ヶ月以内に民主党からどれだけ離反者が出るかが注目です。所属議員各氏の志はともかく、もはや泥舟感も強い民主党に残れば「政権公約を翻して消費税増税に賛成した人」という肩書きで次の選挙を戦うことになりますし、今回は大人数が動く可能性もあるのではないかと。

東電を破綻処理しないと日本が破綻する

経済産業省で干されている改革派官僚の古賀茂明さんによれば、東京電力を破綻させなかったことの本当の要点は、一向に収束しない事故原発や遅々として進まない被害者救済、それでいて東電がのうのうと存続していることの不条理さもさることながら、この先我々が払う電気代が際限なく値上がりする可能性が高いということだそうな。

事故当時、放射性物質を含む汚染水を海に流してしまったことで先々近隣諸国から莫大な損害賠償を請求されることが予想されるものの、当事者である東電を破綻させていないために無限の賠償義務を免れないと。

しかも電気料金は法律に基づいて自動的にコスト+利益で算出するため、損害賠償の分が我々の電気代に無限に上乗せされてしまいます。おまけにその利益分はコストに対する割合計算なので賠償額が大きくなればなるほど東電の儲けも増えるという、とんでもないからくりだったりします。

つまり、先の東電救済法案によって日本は国全体が東電の連帯保証人になったも同然なわけです。しかも東電の賠償義務は数十兆円規模にも上る可能性があります。

まあ、さすがに電気代が何倍にも値上がりすれば家計も企業も立ち行かなくなるので、東電が賠償で焼け太りする前に日本の経済が破綻するでしょうが…。

いつ、どこの国からどれぐらいの賠償請求がなされるかは不明ですが、そうされてからでは遅いので、早急にやり直して速やかに東電を破綻させて賠償能力がない状態にしておかないと。

さもなくば「東電守って国は滅ぶ」ってなことにもなりかねませんや。

小宮山厚労相のたばこ増税案は迷惑だ

小宮山洋子厚生労働大臣が年100円ずつのたばこ増税の案をぶち上げました。健康対策と言いつつも実際は「吸わない側の怨念」でしょうね。小宮山氏は以前からたばこ増税の必要性を訴えていたので、厚生労働大臣に任命されたことでいずれこの話が出るとは思っていましたが、さっそくですか。

私も吸わないのでたばこ税は目一杯上げてもらっても一向に構いません。常々マナーをわきまえている良心的な喫煙者には気の毒ですが、歩きたばこをはばからないような連中への逆風が強まるのは大いに好ましいと思います。悪質な喫煙者はたった一人でも周りの大勢に嫌な思いをさせますし。

ただし、民主党議員全般に言えることですが総じて発言が不用意。ただでさえ野田総理は「増税がしたくてしたくてしょうがない人」と見られているわけで、皆が増税先行を警戒している中で軽々に発言しようものなら本来は通る法案も通らなくなります。その意味で小宮山厚労相のたばこ増税案はありがた迷惑です。もっと周到に事を運んでくれないと。

そうそう、ダイビング業界には喫煙者がけっこう多いですね。何かを吸うのが癖になっているのでしょうか。もちろん喫煙は個人の自由ですが、職業的には考えものです。喫煙は血管を収縮させるため血行が悪くなって寒さにも弱くなるので。無類の暑がりの私としては、ガイドが寒いからとファンダイブを早めに切り上げられては敵わんですし。

国家公務員宿舎は全廃しましょうよ

朝ズバッ!ロゴ

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今朝TBSの『みのもんたの朝ズバッ!』を見ていたら、埼玉県朝霞市の米軍基地跡の緑地に国家公務員宿舎建設(建築費104億円)が明日にも着工されると報じられていました。かつて事業仕分けでストップがかかった案件のはずなのに…。

番組では「せっかくの自然を壊すな」的な地域住民のメッセージが強調されていたと印象ですが、その地に縁のない私が気になるのはいわゆる既得権益が拡充されようとしていること。高度成長期ならともかく、終わりのない不況、財政難の時代にありながらTAX EATERがまたぞろ税金で特権階級的な優遇を推し進めようとする姿は異様だと思います。

折しも増税を掲げて党首選を勝ち抜いた野田氏が総理に就任したわけですが、こういうことがほぼ水面下で行われているから国民は政管に不信感を抱いて消費税増税にも否定的になるのですよね。「増税を言い出す前に身ぎれいなってみせろ」と。

毎年一兆円規模で増えていく社会保障費からすれば小さい話に見えますが、全国に21万戸もある国家公務員宿舎相場相当の家賃を課せば、年間数十億円かそれ以上の規模の財源が捻出できます。財政再建には小さくても被災者支援の財源としては十分に有用な額です。

また、そうして国家公務員が民間の賃貸住宅を借りれば、お金が民間に流れます。言い換えるなら「国がが経済の足を引っ張っている」ということです。こんなことやってたら本当にこの国は沈んでいくだけですよね。国家公務員宿舎は即刻廃止した方がいいと思います。

遅くとも2年後には総選挙が行われます。それまでに小さな政府を標榜し「社会保障も削るけど公務員もどうにかして減らす」「徹底的な規制緩和、民業圧迫要因の撤廃」を掲げる政党、政治グループが現れることを望みたいものです。

野田政権誕生で民主党の終焉が早まったな

民主党新代表に野田佳彦氏が選ばれました。彼が次の総理大臣ですか。私の予想は「これで民主党再興の可能性がなくなった」「彼が民主党政権にとどめを刺す」です。まあダチョウクラブの上島さんは引っ張りダコになるかもね。

党首選の顔ぶれを振り返ってみるとこんな感じ。

・野田佳彦・・・・松下政経塾A。財務省に魂を売った人
・前原誠司・・・・松下政経塾B。若いけどスネに傷がたくさんある人
・海江田万里・・・小沢一郎氏の操り人形
・鹿野道彦・・・・それって誰?
・馬淵澄夫・・・・シルバーバック(雄のゴリラ)

私はこの中では馬淵氏が唯一の適任者だと考えていました。他の人は政治屋色(しかもアマチュアの)が強いのに対して、彼だけは経営者の思考とスキルを持ち合わせているので。情報さえ正確に入れば、数々のこじれた難題に向き合う上でも最も有能な手腕を発揮するだろうと。

だから小沢一郎氏が馬淵氏を推せば話は早かったのですが、彼は自分の言うことを聞かないと見たのでしょうね。意のままに操れそうな海江田氏を担いだところに小沢一郎氏のケツの穴の小ささを感じます。ほんでもって結果的に勝負に負けたわけで、何だかなぁ。

さて、展望予想。当然ながら野田政権では消費税増税の早期引き上げを目指すことになるはずです。財務大臣は与謝野氏ですかね。官房長官は蓮舫氏かな。でも、民主党内でもその路線を嫌う人は少なくありません。「不況下で増税をチラつかせれば経済がいっそう萎縮しかねない」は建て前で、本音は「不況下の増税先行では選挙に勝てない」と。そもそも彼が掲げる財政再建は「健全な方向にもっていくんだ」ではなく「改革の代わりに増税で帳尻を合わせよう」とも聞こえますし。

そうして経済問題には有効策を打てず、原発処理や震災復興にも軸足が定まらずに迷走。

で、本来ならそこで党を出るという人が続出してもおかしくないわけですが、小選挙区制の下、新政党を作ってまでという気骨のある憂国の士は現れず、何とも煮え切らないまま党内もまとまらず、野党の突き上げの度に傷を深め、その後はもうグダグダ。

破れかぶれの解散も打てずに民主党政権はおろか民主党そのものの存亡すら危うくなっていく…。これが私の予想です。

せめて政党交付金がカウントされる年内に民主党から馬淵澄夫、自由民主党から河野太郎らが離党して「共和党」でも作れば、日本の政治にもまた明るい光が差し込む可能性があろうというものですが…。