50%は圧倒的多数?

さらば白人国家アメリカ先日、とあるWebメディアサイトで米大統領選について議論になりました。

発端は米国在住の映画評論家町山智浩氏の「トランプ氏の当選は、白人の代弁者を大統領に据えられる最後のタイミングだった」という分析。今はまだ白人が人口の60%を占めるけど、この先は移民や人種における年齢構成や出生率の違いから、その割合が次第に小さくなっていくというのが理由です。

これに対して一人のユーザが異を唱えました。なんでも「60%が50%になっても相変わらず圧倒的多数だ」と。私が「そんなことはない。白人票は割れるのだから」と言っても、その人には理解できなかったようです。

もちろんここで言う「割れる」は共和党と民主党に投票先が分かれるという意味ですね。ひとえに白人といっても保守派とリベラル派(加えて、状況次第で揺れる人)に分かれるわけです。

そして単純計算で割合が60%あれば半々でも30%。対して非白人は全部で40%だから30%に対抗するには3/4の意思統一が必要。随分高いハードルです。でも白人が50%になれば半分は25%。対して非白人も50%だから拮抗するのに半分の意思統一ですみます。非白人の各グループの割合は白人の50%に比べればちっぽけでも、選挙の上では徒党の組み方次第でキャスティングボートを得るのは容易くなります。つまり、60%と50%では重みが大きく違うし、50%が圧倒的多数というのは敵兵の数まで味方にカウントしている初歩的なミスですね。

まあ最初の半々というのは大雑把な勘定だから場合によっては6:4や7:3になるかもしれないけど、だとしても非白人には白人のリベラル派の票が加わるので勝負は見えています。

よって今後も白人の大統領は数多く誕生するでしょうが、非白人マイノリティを尊重しない言動の候補者が最後まで残ることはないでしょう。

それでいいのかアメリカ?

ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選挙に勝ちました。下馬評ではヒラリー・クリントン氏が優勢だったのでトランプ勝利を言い当てた人は勝ち誇っているけど、所詮は二択だもんな。

で、「トランプ氏の毒舌はあくまでも選挙戦略で、当選したら豹変するから大丈夫」なんて言う向きもあったけど、問題はそこでないですよね。彼自身は真っ当な路線に切り替えられるとしても、彼の言動に煽られて熱狂した半分の有権者たち、特に今のアメリカ社会に不満を持つ層は移民やら宗教に関して焚きつけられてしまったのだから、要らぬ火種を植え付けてしまいました。

格差が広がり暮らし向きが悪くなっていると感じる人たちが変化を望んだのは解らなくもないけど、人間生きていれば思想や価値観の違う他者と何かしら折り合いをつけながらやっていく必要があるもの。トランプ氏のこの勝利は禁じ手によるものだったと思えてなりません。これがきっかけでテロや暴動の多発などの治安問題に発展しなければと願うばかりです。

それにしても一介の実業家がいきなり世界最強国の元首になるのは有史以来初めての出来事ではなかろうか。2200年前の秦の呂不韋にしても、相国と呼ばれる関白みたいな権力者止まりだったわけだし。これをアメリカン・ドリームといえばそうかも知れないけど、私の感想は「何だ、アメリカもフィリピンと変わんないな」です。本当にこれでいいんでしょうかね?

東京死ね

仕事の都合で朝の満員電車に乗るようになりました。小田急線は成城学園前から下北沢間が異様に混みますね。新百合ヶ丘から下北沢の間には停まらない快速急行が7時台にも走ってくれるといいのに。

再来年の春には東北沢~世田谷代田の複々線化が完了して所要時間、混雑ともに多少は改善されそうだけど、それまでは自身で乗り方を工夫しないと。比較的空いている車両を見つけるか、もっと早い時間帯の電車を使うか。

でも満員電車に乗るたびに思います。「東京死ね」と。まあそれは単なる反発心で本意じゃないものの、「こんなのに支えられている東京は異常だ。経済のためにドーピングしているようなもので、いずれ手痛いしっぺ返しを食らうんだろうな…」とは感じます。

もちろん職場の近くに住めば満員電車に乗らずに済むけど、郊外からの通勤者がこぞって都心に引っ越すのは無理。私のように郊外の方が好きな人も少なくないだろうし、やっとの思いで買ったマイホームが郊外の物件だったというのもよくある話。よって東京は大勢が満員の電車でストレスを抱えながら長時間通勤することが前提の都市なわけです。

新百合ヶ丘駅周辺
新百合ヶ丘駅周辺(小田急のWebサイトより)。都市景観100選に選ばれたのだそうな。確かに高層ビルや細い路地もなく、圧迫感や窮屈感のない街です。

そこで小池都知事は知事選の際に電車通勤の問題緩和策として「車両の二階建て」を提唱していたけど、実現性はゼロ。地上はともかくトンネル内の天井を上げたり地面を下げるのは不可能だろうから。いや、JR東海道線には二階建ての車両も走っているか。でも、乗り降りの混雑緩和を狙うなら、車両内に階段を設けるのではなく、ドアも上下フロアごとに分けて停車駅の乗り場も二階建てにしなければならないので各駅の構造を根本的に見直す必要が出てきます。

また、小池知事子飼いの音喜多都議は「容積率緩和による都心住居の高層化」を提唱しているものの、こちらも見込みなし。理屈では可能だけど、それには低層建築物を建て替えるべく関係当事者への立ち退き・建て替え交渉の上、巨額の解体・建設費用を捻出する必要があるから。加えてゴミ処理が間に合わなくなったり物流網がパンクするだけでなく、子育てに適さない都心にもっと人を集めるのも国の将来を考えれば得策ではないはずです。

まあ、それでも向こう数年の辛抱ですね。五輪後の東京では急速に超高齢化が進むので様々な変化が出てくるはずだから。

さしあたり団塊の世代とそれに続く年代が順次リタイアしていけば電車の混雑も緩和されましょう。同時に東京の凋落も始まるのですが…。

そう、五輪後の東京は急速に痛んでいきます。最大ボリューム層が所得税を払わなくなる上、高齢者サービスを受ける側になるインパクトは大。これまで一極集中で栄えてきた副作用ですね。本来なら地方で生涯を終えるはずの人まで東京で老いていくという。

結果、相変わらず人口は多いのに消費が鈍くなり景気は低迷するでしょう。医療・介護施設は奪い合いです。介護離職する人や認知症の徘徊高齢者も増えます。そして資産も身寄りもない高齢者も増加するけど、それらの面倒もみざるをえないので東京の財政は次第にひっ迫し始めます。

よって都民の税金は上がるでしょうね。社会保障費がかさむ上、五輪の競技会場整備費やら維持費で負の遺産を膨らませてしまうから。豊洲市場もこのままだと不良資産になり兼ねない雰囲気だし。

そうして求心力が衰えて人口が増えなくなれば露見するのは不動産余り。なにしろこれまでデベロッパー任せで大型マンション類が無制限に建てられてきたので。最も影響を受けるのは都心から離れた地の物件、つまり中低所得者が35年ローンとかで買ったマンションです。いや、資産価値が下がってもローンを払い続けられるならいいけど、所得も下がろうものなら勝ち組でいられなくなります。ならば手放そうにも買い手がつかず、大きく値崩れするという地方では人口減少による需要不足で起きたことが東京近郊では供給過多によって引き起こされると。インフレになればローンの返済は助かるけど、人口が減少する中で果たしてそうなるか…。「数年前に新築のマンションを購入した我が家はローンがたっぷり残ってるのに、お隣に引っ越してきた人は半値で買ったらしい」なんてケースも増えるでしょうね。

有史以来、災害や空襲、テロによるダメージはあっても東京の凋落など誰も経験したことがないので想像できないかもしれないけど、人口動態に基づく未来予測は確度が高いので必ずそうなります。目に見えて暮らしにくくなれば地方に移転する企業や大学もポツポツと出てくるでしょう。ただしその恩恵を受けられるのは福岡市や仙台市など一部の有力地方都市と近辺だけで、その他は存続すら危うくなり兼ねないとは思うけど。

それに腐っても鯛。東京は政治経済の中心であり続けるし、羽田・成田の二大空港は健在で各種レジャー施設も東京圏に集結したままだろうから覚悟の上で住み続けるのもいいでしょう。仕事や家の都合でどうにも動けない人も多いだろうし。

でも私はもともと九州出身の田舎者。幸か不幸か東京にしがみつくだけの大きな拠り所も持っていないので、東京圏に住むメリットが薄れデメリットの方が目立つようになる頃には逃げられるようにしておくべきだと思っています。

たばこ一箱1000円にする案に賛成

たばこ一箱1000円にする案に私は賛成です。愛煙家の人や何であれ増税に反対な人は反発するだろうけど、何かを変える際に賛否が分かれるのは世の常。ならば以下の観点で結論が出されるべきです。

  • どちらがより国策に適うか
  • どちらが未来に向けて相応しいか

一箱1000円に値上げしても吸う人は吸い続けるので税収は減らないと試算されています。よって論点は国として喫煙率を下げたいのか放置したいのかってだけ。

私は反対派を強引に押し切ってでも大幅に増税して喫煙率を下げて医療費の抑制を目指す方が理に適っていると思います。

喫煙と肺癌の因果関係はないなんで説を唱える人もいるけど、仮にそうだとしても心臓に悪いのは確実なのだから十分な理由づけになります。

アリとキリギリスはどちらが偉い?

総選挙が近いと噂されています。中には11月解散説を唱える人までいるようですが、さすがにそれはないかな。来月じゃ主だった争点が見当たらないので。まあ蓮舫&野田の嘘つきコンビ率いる民進党が相手なら、いつ選挙やっても自民党が圧勝するだろうけど。

さて、どこの党でも良いので私が打ち出して欲しい政策の一つは年金改革。具体的には生活保護みたいにして欲しいのですよね。つまり現役並の収入がある人や預貯金、金融資産が一定以上ある高齢者には支給しないと。

そういうと「若い頃に散々浪費して貯蓄しなかった人が優遇されて、真面目に貯金してきた人がバカを見るじゃないか」なんて言う人が出てきそうだけど、ちょっと待てよと。道徳的には快楽主義のキリギリスより禁欲的なアリが模範的に思われがちだけど、どちらが経済に大きく寄与してきたかといえば断然キリギリスの方でしょうよ。アリは消費を抑えて蓄えるわけだから、見方を変えれば「経済貢献は他人任せ。自身の老後さえ安泰ならそれでいいと」いう利己的な行動とも言えます。

よって収入や預貯金が一定額以上ある人に年金を支給しなければ年金財政が改善される上、人々の消費意欲を高める効果もありましょう。