ケータイのトリセツが薄くなっているのだそうな

asahi.comで『携帯電話の説明書、スリム化 「使えばわかる」主流』にという記事を見つけました。私は以前、いわゆるトリセツの制作を専門的に請け負う会社に勤務していましたので、ちょっと気になります。

と言うのも、私が見聞きした限りでは、たいていのトリセツはメーカーと守秘義務契約を結んだ制作会社で制作されており、制作費の請求額は基本的に「ページ単価(ランク分けあり)×ページ数」で算出されていたからです。これにライティングの有無(原稿支給かライターに書き起こさせるか)や、どれほどのクオリティの写真やイラストを作成するか、といったオプション要素が加わることになりますが、おおむね売り上げはページ数に比例することになります。

この記事によると、最近のdocomoケータイのトリセツは以前の500ページ規模から120ページ程度に圧縮されたとのこと。実際、トリセツは「製品構成の中で最も高価な部品」だったりするため、メーカーとしては是非ともそのコストを削減したいところなのでしょう。だとすれば、トリセツ制作会社の関連部門の売り上げも以前の1/4に減っているやも知れません。

余談ですが、一昨年iPhone争奪戦でdocomoが敗れた理由として「docomoが各ケータイメーカーに500ページ規模の紙トリセツの添付を義務づけていて、これをAppleが嫌ったからだ」という噂がありました。真偽の程は解りませんが…。

ケータイで言うならば、市場が飽和して久しく、新機種投入のサイクルもますます長くなっていくでしょうから、制作会社はこの先ダブルパンチで収益性が厳しくなりそうです。かつて苦楽をともにした元同僚が苦境に立たされることがなければいいのですが、国内の製造業は向こう数年の内にも産業規模が半減するのは避けられなそうなので、もはや難しいかも知れません。

もっともトリセツの厚みが減っている理由はコストの圧縮だけでなく、記事にもあるように、むしろ「使えばわかる」「トリセツを必要としない製品作り」がメーカーに求められている結果とのこと。近年、紙っぺらのトリセツしか添付されないiPod、iPhone、iPadなどのApple製品が次々にヒットし、多くの人が「これでいいんじゃやないか!」と悟ってしまったわけです。パソコンのMacですらそれで成り立っているのですから、いまだに分厚いトリセツを添付している製品は野暮ったく見え、メーカーはその方面の力が不足していると受け取られ兼ねません。もちろん製品が使いにくいままトリセツを減らすのは論外ですが。

まあ、メーカー各社がトリセツいらずの製品作りに注力するのはとても良いことです。いつまでもAppleに周回遅れでは拙いでしょう。各社横並びでひたすら高機能を追求し、帳尻を合わせるようにトリセツで使い方に言及しておくというガラパゴス指向から抜け出さないと、それこそ命取りになり兼ねません。

そのAppleにしても紙のマニュアルへの取り組みはそんな感じですが、代わりに動画をきっちり用意していたりします。これが最良解だとすると、この先メーカーにしろトリセツ制作会社のスタッフにしろ、要求されるスキルは変わってきますね。今までのように誤字脱字、語句統一などに神経をとがらせるエディットリアルよりも、動画と音声で簡潔に伝える感性やスキルが重視されるのではないでしょうか。 実際、紙の上で図と文章で説明するのはかなり回りくどい方法だったりしますし、オンライン動画であれば製品リリース後も継続的にメンテナンスしていくことも可能です。

メーカーにとって、もはやパソコンとセットで使う製品、液晶パネルやテレビ出力を持った機器類では、分厚い紙のマニュアルを付けた時点で負け、失格と捕らえた方がいいです。ワークフロー的にも、先ず製造部門が主導で製品を作り、製品リリースの直前になってトリセツ部門が突貫敵にトリセツを整えるといった開発手法は許されなくなるかもしれません。

PagesでePub出力が可能に

本日、PagesのアップデートでePub出力がサポートされました。iBooksがePubを採用している以上いずれそうなると予想はしていたものの、次期バージョンでの対応だろうと思っていたので意外でした。

Pagesのアイコン

それにしてもePubの作成ツール、いつの間にか増えましたね。ざっと挙げるとInDesign、Sigil、FUSEe、Calibre、ECUB、Word 2 ePub、Aspose.Words for Microsoft Word、Pagesなど。探せばまだまだたくさんありそうです。PDFをePubに変換するタイプとしてもStanzaや4Videosoft PDF ePub 作成なんてものが検索でヒットします。もちろん今風にWebサービスも見受けられます。

何というか、WinとMacの最有力ワープロでePubが生成できるようになったことで、日本ではまだ市場が立ち上ってすらいない内から、早くもこの分野は飽和状態のような気がします。そもそもePubとは圧縮やら文書構造の明示やらにややこしいルールがあるものの、本体は10年前のHTML生成ツールで事が足りそうな代物です。一応、CSS3を駆使すれば高度なレイアウトも実現できるとのことですが、それではePubに求められているものとは違ってくるような気がします。Pagesでもページレイアウトされた文書からのePub生成はできなくなっていますし。

私も独自のePub生成ツールの開発には興味があったのですが、もしこれから新たなePub生成ツールをリリースしようと思えば、それは「車輪の際発明」みたいな話になりかねませんね。実際にはInDesignにしろ何にしろ、車輪ほどの定番感、枯れ具合はないわけですが、それでも「タイヤは26インチよりも25.5インチの方が便利なはずだ…」みたいな、いかにも頼りない僅かな差違でもって差別化を試みなければならないかもしれません。ちょっと見込みが薄そうです。

詐欺メール

今日、iPhone宛てに妙なメールが届きました。まあ、早い話が詐欺メールですね。当然、無視しますが、ひょっとしたら誰かが不安感をかき立てられているかも知れないので、全文を掲載しておきます。検索してヒットしたら詐欺なのだと安心してもらえるかと。

(株)JP協同通信
TEL03-3833-3435
担当の浅野と申します。
早速ですが、本題に入らせて頂きます。

お客様がご使用中の携帯電話端末より、認証ネットワーク事業者センターを介し以前にお客様がご登録されました
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『特典付きメルマガ』
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等における無料期間内等で退会手続きが完了されていない為、ご登録料金及びご利用料金が発生しており現状で料金未払いとなった状態のまま長期間の放置が続いております。
当社はサイト運営会社より依頼を受けまして、 料金滞納者の個人調査、悪質滞納者の身辺調査などを主に行っております。本通知メール到着より翌営業日(営業時間内)までにご連絡を頂けない場合には、ご利用規約に伴い。

①個人調査の開始(悪質な場合は身辺調査の開始)
②各信用情報機関に対して個人信用情報の登録 ③法的書類を準備作成の上、即刻法的手続(強制執行対象者等)の開始、以上の手続きに入らせて頂きますので予めご了承下さい。

※退会手続をご希望のお客様は、担当浅野まで、本日中にご連絡下さい。

尚、本通知は最終通告となります。

営業時間
月曜~金曜 午前10時~午後7時迄
土曜午前10時~午後6時迄、
日曜日=休日

(株)JP協同通信
03-3833-3435
担当 浅野 昭一郎

iPhone 4の白はキャンセルされるのではという予感

iPhone 4の白モデル、一向に発売がアナウンスされませんね。待っている内に街で黒モデルをよく見かけるようになりました。

一説には白モデルの年内の発売はないだろうとまで言われています。でも、課題を解決できないまま向こう1~2ヶ月の内に確定情報が出せなければ、他ならぬAppleのことなので容赦なく発売自体をキャンセルしかねないのではと思えてきました。

ただし、それでは面目丸つぶれなので、新設計のiPhone 4.5的な製品を投入してくるやも。さしあたり最近の噂としては以下のような記事を読みました。

  • 年明けにはCDMA版が出るかも(Appleがチップを大量発注したらしい)
  • Appleが近距離無線通信技術の専門家を招き入れたらしい。いよいよお財布iPhoneか?
  • 来るiTVのリモコンにiPadが使えるらしい。ならばiPhoneも?

Apple関連の噂には裏付けのない願望が多分に含まれていることが多いので、どれもまったく当てにはならないものの、バンパーが最初から付いているぐらいでは消費者の失望感をかわすことはできないでしょう。

でもまあ特に2番目は、日本以外でのインフラが課題(方式が違えば日本でも整備し直し)なので、そうそう早くは実現しなさそうな気もします。いや、先に載せておいて「こんなことができる。さあみんなで取り組もうじゃないか!」という煽動はありかな…。

もっとも白モデルを無事発売できるようになれば、こんな弥縫策を取ることもないでしょうが。

日本通信、iPhone 4向けマイクロSIMよりも…

iPhone 4をdocomoの回線で使えるようにするサービスの詳細が発表されました。

確かに導入すれば通信エリアは改善するでしょうが、一方で速度は300kbpsかそこららしいので何とも痛し痒し。加えてSIMフリーのiPhone 4を入手する手間やサポート体制の不透明さを考慮すると私はあまり現実味を感じません。故障しても即時交換か、修理待ちの間、代替機を貸してもらえるぐらいの体制が整えば、そのときは改めて検討しましょう。

それよりも日本通信にはモバイルWi-Fiルータの方の注力に期待したいところです。例えば、iPhone 4向けのバッテリジャケットと合体させるとか。iPhone 4をセットしたまま一度にiPhoneとバッテリジャケットの両方に充電できれば、多少厚くなるにせよ見かけ上は単体で運用できるようになります。その上、専用クレードルが用意されればかなり便利そうです。