Adobe製品を安く買う方法

adobe-flash先週、AppleがiPhoneアプリ開発の制約を緩めたため、にわかにAdobe FLASH CS5の搭載機能である「Packager for iPhone」が気になってきました。昔プログラマ職を経験したこともあったのですが今の私は基本的に絵描き(UIデザイナ)なので、Xcode & Objective-CよりもFlash & ActionScriptの方が取っつきやすかったりします。

私が個人的に所有しているのはCreative Suite 4 Design Premiumです。こちらをCS5にアップグレードすればPackager for iPhoneが使えるようになるのですが、どうにも気が進みません。会社では既にCS5(Design Standard)を使っていて、CS4→5にアップグレード料金98,700円(Adobe Store価格)に見合うだけの価値が見出せないためです。実質FLASHのためだけに10万円払うなんてことには抵抗を感じます。

ちなみにFLASHの旧版からCS5へのアップグレード費用は26,250円。これぐらいの価格なら手ごろなのですが、残念ながらDesign PremiumからFlashだけアップグレードすることはできないようで。

そこでFLASH単体で買うとどうなるかを調べることにしました。通常価格が88,200円ですが、Googleの広告で見つけたのがこちらのサイト。FLASHのパッケージ(アカデミック版)と動画講座付きで57,270円とのこと。この場合の動画講座はかつてのDSP版のWindowsにくっついてきたFDDみたいなものでしょうか。CS5には対応できていないそうですし。

確か放送大学はOKだったと思いますが、この手の通信講座でもアカデミック版の購入資格が得られるとは知りませんでした。販売規定のあるアカデミック版を卸している以上、Adobe社も容認しているはずです。なるほど、考えてみれば、高いからと買い控えられれば売り上げはゼロなので、学割価格でも売れてくれる方が実入りが大きいという算段ですね。製品の使用に期限はなく、その後のアップグレードも可能とのことなので、あわよくば常客になってくれるやも知れませんし。

ただし、皆がこの手段で買うようになったら、さすがにAdobeもストップを掛けることでしょう。本来なら買わなかった人が学割で買う分にはOKでも、買うはずだった人までが通常版ではなく学割で買えば総売り上げは減少し兼ねませんので、この手段が使えるのは今の内のような気がします。

さて、FLASHは買ったものかどうか。57,270円は高いような、お得なような…。取りあえず一ヶ月お試し版で凌いでみましょうかね。

 

ePubねぇ…

私もIT業界人の端くれなので、いわゆる電子書籍ブームにはアンテナを張っています。差し当たり流通のための主要フォーマットは三種類。

  • ePub
  • PDF
  • アプリケーション

大ざっぱに分ければ、ePubが文芸書、PDFが雑誌、アプリがインタラクティブですね。そして自身のビジネスチャンスという観点から見るとePubに目が行きます。なにしろPDFは利用ツールと作り方がほぼ決まっていますし、アプリは企画開発品なもので。

AppleがiBooksに採用したことで一気に認知度が上がったePub。半年前、私もePub制作ツール、具体的にはワープロ類の開発を本気で検討していたのですが、ePub規格の実情を知れば知るほど戸惑いが大きくなってきました。当初見込んだ複雑な表現が何もできないのですよね。本当にテキストと挿し絵程度のものにしか使えない感じだったので。

ならば、ePub制作用ワープロなどという代物に需要があるのかは疑問です。書籍を送り出したい人々は「ePubが作成できる新たな何か」ではなく、使い慣れたワープロなりテキストエディタで作品を書いてから、何らかの手段でePub化する方法を好むのではないかと。要するに新たな製品はWordに代表される定番アプリと張りあう必要があるわけです。Wordが良いツールだとは私には到底思えないのですが、それでも到底勝ち目のない勝負のように感じられます。

Pagesのアイコンさて、ePub生成機能を備えたツールとしてはInDesignやSigilが有名ですが、ここにきてPagesもその機能を持つに至りました。Word向けにもePub生成機能を追加するプラグイン製品が出ていますね。フリーのツールもわんさかリリースされています。HTML→ePub化やバリデーションを提供するWebサービスなどは既にあるか早々に登場しそうな気がします。あるいはHTML同様「仕上げはやっぱり手打ちでなければ」ということになるのかも知れません。

もはや電子書籍への流れは止まりませんし、ePubそれ自体は爆発的に広まるでしょう。腕の立つ編集者なら形が紙からePubに変わろうとも活躍の場を得られるはずです。オンライン書店もそれなりに賑わうかも知れません。でも、それに乗っかってePub関連製品で一山当てるなんてことは難しそうだというのが私の現時点での見解です。それこそ開発に一千万円かけて売り上げは500万円がやっとみたいな話に終わりそうだと。それでもiPadの発売間もない6月ごろにリリースできれば、物珍しさや先頭ランナーとして一定のプレゼンスが得られる可能性も考えられたのですが。

もっとも、ePubにチャンスが無いといっても、どこかの業界団体がやろうとしているように日本独自フォーマットで囲い込もうなんて話はもっとナンセンス。確かにAppleやGoogleと同じ土業での戦いを避けたいのは解らなくもないですが、こちらはガラパゴス化にすらならず、早々に絶滅に追いやられる可能性が高かろうと。

FROGFISH.JP開通までの顛末

このたび、ようやくFROGFISH.JPのURLでサイトを開設できたので、その顛末を書くことにします(今まではFC2ホームページで暫定的に運用していました)。

はじめに

7月、独自のサイトを開設しようと思い立ち、せっかくなら加入済みのmobilemeのディスクサービスを利用しようと考えました。

ただし、mobilemeの素のサービスのままではURLに自身のアカウント名(兼メールアドレスの@の前)が含まれてしまうので、独自のドメインを介在させるパーソナルドメイン機能を使って運用することに。

ちなみにドメイン名は表紙ページに使おうと思った写真の被写体から取りました。

ドメイン申請

「mobileme パーソナルドメイン」でググってヒットしたこちらを参考に、先ずはFC2で「frogfish.***」をチェックし、空きがあった候補の中から「frogfish.jp」を申請。

そして先のサイトに倣ってmobilemeを設定。ログイン後、所定のフィールドに「frogfish.jp」と入力するだけなので数十秒で完了。

驚愕の事実

次にFC2にログインし、mobilemeと紐付けすべくDNSレコードにCNAME値を設定しようとしたところ「汎用JPドメインではDNSレコードの設定はできません」という表示が。何ともピンポイントの嫌がらせのような仕様。これは予想できませんでした。

どうにかならないものかとFC2に問い合わせるも、どうにも的外れな返答が戻ってくるだけ。「汎用JPドメインでもDNSレコードの設定ができるようにしてほしい」とリクエストするも、音沙汰なし。

代替手段を模索

とは言え今さら別のドメインを追加取得する気にもなれないので対策をググったところ、世の中にはフリーのDNSサービスを提供するサイトがあることが解りました。

Appleのディスカッションボードで相談し、EveryDNSを使うようアドバイスを受けるも、どうやらEveryDNSはDynDNSに買収され新規ユーザ登録ができず。ならばとDynDNSを試そうとしたものの、どうにも要領を得ずどこに何を設定をしていいやら。他のフリーDNSサービスも同様で、門外漢には敷居が高いものでした。もう少し気合いを入れて調べれば解ったのかも知れませんが、労力や時間が惜しくなってきたので断念。

ドメインを移転

ドメイン申請から2ヶ月経てばFC2から別の業者に汎用ドメインの管理を移転できるとのことなので、それぐらいなら待っても良かろうと、一先ずFC2が提供する無料ホームページサービスでサイトの仮運用を始めました。まだ検索エンジンの巡回も届いていませんでしたし。

そうやって、誰が訪れるわけでもないBlogを小まめに更新しながら時がくるのを待っていたのですが、8月のある日、ふと思い立って移転先にと見込んでいたムームードメインのサイトを覗いてみると、ドメインの管理を移すには二種類の手段という手段があることを発見。

  • 汎用JPドメインの移転
  • 指定事業者の変更

両者の違いは忘れてしまいましたが、ともかく後者の方法なら2ヶ月間待つ必要もなく、費用も発生しないとのこと。条件にも合致していたのでさっそく申請しました。

CNAMEを設定

10日後、ムームードメインより移転完了のメールが届きました。

さっそく「ムームーDNSセットアップ」のページにアクセスし、念願だったCNAMEに「web.me.com」と設定。FC2でもこれができれば何の苦労もなかったのですが。

さて、DNS設定が反映されるまで最大2日間ほどかかるとのこと。健気に待ちつつ何度もwww.frogfish.jpと打ち込むも一向に繋がりません。困ってムームードメインに問い合わせると、CNAMEの設定だけでなく、メニューの「ネームサーバ設定変更」で「ムームードメインのネームサーバ(ムームーDNS)を使用する」にチェックを入れる必要があるのだそうで。

言われた通りにチェックを入れ一時間ほど待つと遂にwww.frogfish.jpが開通!!

長い道のりでした。

まとめ

  • 汎用JPドメインではなく、.comなどを取得した方が無難(FC2でも問題なく運用できるのでは?)
  • FC2は不親切
  • もしFC2で汎用JPドメインを取得してしまった後なら、すぐさま「指定事業者の変更」手続きでCNAMEが設定できる他社に乗り換えた方が良い
  • ムームードメインはそれが可能だった

驚くべき新製品は発表されたのだろうか?

昨夜(厳密に言うと今日)はうとうとしながら午前2時からAppleの新製品発表会のストリーミング中継を見ました。感想は「あれっ?それだけなの?」。どうにも拍子抜けした感じで。

今回、久々にApple自身が中継を行う(かつてQuickTimeでストリーミングをサポートした頃にはやっていたような記憶があります)ということで、さぞ気合いの入った発表があるのだろうと踏んでいたのですが、フタを開ければ総じて当たり前の新製品ばかりだったなぁと。自社でのストリーミングは、それこそ新Apple TVサービスの実証実験を兼ねるのだろうと。

もちろんフルモデルチェンジとなったiPod、小さくなったApple TV(ケーブルを繋ぐとコケそうだ)、SNS対応を果たしたiTunesなど、どれも決して悪くないとは思うものの、ほとんど事前のリーク情報通りでしたし、この内容だと誰も驚かないですよね。

ってことは、まだタマは残してあるのでしょうかね。とは言えクリスマス商戦に投入するためには来月中には発表しておきたいところでしょうから、もうしばらくお財布に余裕を持たせながら待ってみることにしましょう。

電子書籍の時代は本当に来るのだろうか?

オンザウェイ・ジャーナルの佐々木俊尚さんの回(2週目)を聴きました。前回同様、過渡期にあるメディア論は大変興味深かったのですが、中でもちょっと気になった点が。それは「村上龍さんの『歌うクジラ』の電子書籍は、横書きにも関わらずぜんぜん読みやすい」との見解。いや、もちろんここで語られているのは佐々木さん個人の感想に過ぎないのですが、それでもきっとそうなのだろうなと。なにしろ今日の日本語の文章には横文字が多々含まれているわけです。古典文芸書などはともかく、今どきの社会的な背景の文章には断然横書きの方が向いているはずです。

で、今さらなぜそんな当たり前のことを書くかというと、電子書籍の主役的なフォーマットであるePubの難点として「ルビが表現できない」「縦書きができない」という意見がよく聞かれるから。

確かにルビは日本語の書き文字文化を豊かにしてくれる重要な要素となっています。もし仮に人気漫画「ONE PIECE」なんかをルビ禁止にしたら面白さが目減りしてしまうような気がします。人の名前にしても、平易に読める字しか使ってはいけないとなると、何とも味気ないことになりますよね。

でも、縦書きの方は、そんなに必須というわけではないんじゃないかと。古典文学や文芸書が横書きでは雰囲気がそがれる思いを抱く人は多いかもしれませんが、誰もが目にしたことがある教科書を始め、横書き文書はそこら中に溢れているわけですし、慣れればどいうとうこともないのではないかと。事実、IT用語のように英数字が混在する今どきの文章では、むしろ縦書きは不利なわけです。中国なんかでもとっくに縦書きから横書きに切り替えてしまってるそうですし。

結局、ePubの縦書きうんぬんは言い訳として便利に使われているだけなんじゃないかという気がしています。皆ケチやら注文を付けたいんじゃないかと。

例えば出版社や著作者は、電子書籍による収益性が未知数、もしくは懐疑的、あるいは受け入れがたいほど厳しそうなので、なるべく先送りにしたい。そしてIT側に身を置く人は、様子見の方便に使っているか、あるいは来るべき日に自身が有利に立ち振る舞うべく表向きは牽制しているとか。「日本ではまだまだですねぇ」などと言いつつも裏では着々と対応を進めているような。

そして、「ルビ振りと縦書きさえできるようになりさえすれば…」を真に受けて、キラー的なニーズと捉えようものなら痛い目に遭いそうな気がしないでもないです。案外、それらが実現しても、やっぱり日本の電子書籍市場は、ごく一握りの有名作家(紙でも電子でも売れるような)の作品のみが売れる程度という状況が続く可能性もあるのではないかと…。