消費税は元気玉なんだから

wordpress-logoいよいよ今日、総選挙が公示されます。今回は難しいですね。やや収束したけど、何だか弱小団体が乱立するプロレス界みたいだし。

かくゆう私も支持政党がないので、なるべく自分の考えに近い党、候補を選ぶしかありません。

で、私のスタンスはこんな感じ。

脱原発依存
TPP交渉参加
消費税増税 ×

脱原発路線は歓迎。何かと問題の多い原発を騙し騙し使うより、原発の廃炉技術および、石炭、地熱、潮流、メタンハイドレートといった代替エネルギーの開発にシフトする方が健全です。それらは国産できるし先行技術の輸出も可能なので。

また、TPP交渉には「課題が多くとも参加した上で国益を損なわないように立ち回るべきだ」という意見。何よりも経済を回すことが重要なので。そんでもって、もし呑めない話ばかりなら、ちゃぶ台ひっくり返して帰ってくればいいと。そうなれば争点は「ポストTPP」に移るかもしれないので、まずは米国がどんな無茶な要求をしてくるのかを聞いて晒しましょうよと。

そして消費税の増税には絶対に反対。再来年度からの増税は、例えるなら「元気玉を序盤戦で使うような話」。そう、ドラゴンボールのあれですね。みんなから少しずつ元気を分けてもらい、それを攻撃力に変えて相手にとどめをさす必殺技の。

この場合の日本の敵は言うまでもなく財政赤字。ただし、高齢化と少子化が進み人口も減るので、どんなに上手くやったところで向こう数十年か、あるいは百年以上もかかる長い戦いになります。だったら失われた20年とやらを勘定に入れても今はまだ序盤戦かせいぜい中盤戦に指しかかったところ。ここで必殺技を使ってしまってどうするんだと。

消費税が安定財源で何かと理に適っている点は認めます。でも、使うタイミングは今ではありません。

一撃必殺の元気玉も、格闘術やかめはめ派級の小技を重ねてから、ここぞというタイミングで繰り出さないことには敵を倒せないばかりか、こちらが疲弊して次の一撃も小さくなってしまいます。残念ながら、この戦いにはドラゴンボールも仙豆もないのだし。

民主党政権が通した消費税増税法案は経済成長率の条件付きと言われていますが、あれは数字が達成されなければ上がらないのではなく、施行を停止する法案を通さなければなし崩し的に税率が上がる仕組みになっていたはず。仮に来年後半に政治が混迷していれば、どんなに経済状況が悪くとも自動的に再来年春の増税が実施されてしまいます。

というわけで、今回は元気玉(消費税増税)を温存し、まともな持久戦を戦う気概がありそうな投票先を選ぶつもりです。差し当たり早く元気玉を打ちたくてうずうずしている民主党と自民党は×かな。

ちなみに私の考えでは、消費税増税の代わりにやるべきことは「規制緩和による経済活性化の促進」です。これしかないでしょう。

コナミのダイビング事業を買い取って!

KONAMI SPORTS CLUBコナミスポーツが来春でダイビング事業をやめてしまうため、最後の思い出作りとばかりに3月までの発表済みダイビングツアーが異例のハイペースで埋まっているようです。これに味をしめて「前言撤回。こんなに儲かるんなら、やめるのやめた」となって欲しいところですが、さすがにそれはないか…。

どのツアーもインストラクター同行なので、もちろんお値段は高め。例えば「セブ(マクタン島ステイ)3泊4日6ボートダイブ付き」が178,000円とのこと。私の感覚だと2回分ですね。まあ、私が一人で行くときに使うような安ホテルやゲストハウスではなく、もっと★の数が多いホテルに泊まるらしいけど。

さすがに今回は最初で最後の閉店記念特需みたいなものですが、これまでもほとんどのツアーに多くの参加希望者がいました。なにしろダイビングのライセンスを取り立てのビギナーや体力面に不安のあるシニア、海外を旅慣れてない人などは、少々値段が高くとも自分の性格やスキル、諸般の事情も知ってくれている顔見知りのインストラクターに引率してもらえれば心強いので。

もちろん純粋に接客に長けたインストラクターも少なくありません。そのため「この人のツアーしか行かない」とか「この人のツアーなら必ず行く」という気合いの入ったお客さんもでてきます。

そう、これこそがサービスツーリズムの典型例。この先の厳しい時代において最も有望なビジネスモデルの一つです。「他では得られない経験」と「個別ニーズへの対応」の両方を満たしているので。その付加価値分はもちろん代金に上乗せできます。

逆にコナミスポーツの主業務であるフィットネスのようにマスを相手にした大括りな商売は他でも代替がきくため、際立った特徴があるか地域独占でもなければ、どんどん厳しくなっていきます。

業界最大手ということは、それだけ切り崩される素地が大きいとも言えます。まだ激変の時代の入り口とおぼしき今、特徴の一つであるダイビングスクールをやめてしまうのは、明らかな戦略ミスに思えるのですが…。

ダイビングスクールビジネスの優れたところは、自分たちで旅行商品の固定客を育成できる点です。とりわけコナミスポーツでは頻繁に広告を打ったり街頭で呼び込みなどをしなくても、フィットネスの会員を存分に勧誘できます。

もちろん関心を示さない人や既にCカード取得済みの人も大勢いますが、乗り気になってくれる人もポツポツ見つかるので、全店合計で毎年何千人もがコナミスポーツのダイビングスクールを通じてライセンスを取得してきました。

中にはライセンスは取ったけどもダイビングを止める人や、逆に完全にダイビングスクールから巣立つ人もいますが、一方でコナミスポーツに軸足を置く人や時たま使うという人が残り、そのまま先のようなツアーのお客さんになるわけです。

これが単なる旅行会社だとどうしても「参加者公募型」のビジネスになってしまいます。既にCカードを持っている人、もしくはCカード取得希望者を旅先に送り込むタイプの。いずれも広告を打って反応を待つ以外のアプローチは難しいわけです。

しかも客の方はあまたある会社のあらゆるダイビング込みツアーから選べます。あるいは航空券と宿泊だけのダイナミックツアーで現地に赴き、顔なじみのダイビングサービスを直で利用するとか。そしてもはや旅行商品もWebで簡単に比較可能です。当然、普通の旅行会社はダイビングスクールの同行ツアーほどの利幅は乗せられないばかりか、容赦なく価格競争にさらされることになります。

また、コナミスポーツの施設には例外なくスイミングプール(一部店舗にはダイビング用の深いプール)があり、施設内でプール講習も可能な点は街の小さなダイビングスクールにはない優位点です。学課講習を受けたそばからプールに移動し、耳抜きやマスククリア、中性浮力の取り方などを教われるので。いわゆる体験ダイビングも随時実施できますし。

ということで、どこかコナミスポーツのダイビングスクール事業を丸ごと買収しようという企業が現れてくれませんかね。

現状、コナミスポーツが売却先を探しているという話は私のところまでは聞こえてきませんが、どうせ来春には切り捨てられる事業です。交渉すればきっとお安く買えるのではないかと。彼らも営利企業。たとえダイビング事業を手じまう気でも、売れるものを売らずに葬り去って幕引きなんてことはしないはずです。

しかも今なら大勢の固定客を掴んでいるスタッフを丸抱えする形で譲り受ることができましょう。ダイビング業務のオペレーション全般も彼ら彼女らが熟知しているので、異業種からの参入でも大丈夫です。

当然、買う側の業種によってシナジー効果の有無、大小はありますが、それこそ大手旅行会社なんかが傘下に収めれば効果は大。なにしろ自ら新人ダイバーを養成して、自社の旅行商品のリピーター、ヘビーユーザーに仕立て上げられるので。

競争が厳しい中にあっても、人気インストラクターを立てれば集客力が増し、その同行(添乗)を付加価値としてツアー代金に上乗せできます。

また、同行者を必要としなくなり、ダイビングスクールを巣立って思い思いのツアーに行くようになった人も、ポイントサービスなどで囲こめば、依然として自社のツアーを選んでもらえる可能性は高くなります。

直前にキャンセルが出たり、見込みが外れて売れ残った南の島へのツアーがある際は、ちょっと値引きして「ダイビング会員の皆様だけに特価ツアーを案内します」なんてこともできましょう。

よって、事業買収にあたってコナミスポーツから「フィットネス会員の勧誘の許可」と「学科講習と接客用の場所」、そして「講習時のプールの使用権」さえ取り付けられれば、当座の成功は約束されたようなもの。早い話が経営権だけ委譲してもらい、これまで通りに営業すると。

それに、なにもコナミスポーツに限らず同業他社とも業務提携して、もっと手広くやることも可能でしょう。

これって例えるなら「ダイビング界の讀売巨人軍が廃業予定」みたいな話。またとないお買い得商品だと思いますよ。

今の経営者が内向き思考に陥って情熱を失ったものの、決してビジネスが行き詰まったわけではないばかりか、依然として同業他社よりも有利な立場にのあるのだし。

もし私が資産家だったら自ら出資して経営に参画したいぐらいです。

コナミスポーツが手放そうとしているもの

KONAMI SPORTS CLUBコナミスポーツが来春でダイビング事業をやめてしまいます

もちろん私は同社の内情を知る立場ではないものの、それでも拙い決断を下したように思えてなりません。なぜなら、よりによって底堅い事業を切り捨てて先細りしそうな事業にリソースを集中させようとしているように見えるので。

「サービスツーリズム」という概念がありますよね。中でも最も有名なのは医療ツーリズムでしょうか。例えば中国の富裕層が日本に来て、自国では受けられない医療サービスを受けるといった感じのものですね。

そう、目的を明確に絞った旅行分野は大昔から行われており、この先も有望です。たとえ取り巻く環境が悪化しようとも「そのためにならお金を払っても良い」と思ってもらえるので。

一方で、漠然としたお買い物ツアーなんかは先行き厳しいでしょうね。中国人観光客が大型バスで銀座やらに乗りつけ、各人が何十万円も買い物して帰るなんてことはいずれ減るのではないでしょうか。この先、貿易や物流が発展すれば目ぼしいものは来日せずとも買えるようになるので。

これからの時代のキーワードは「他では得られないサービスを提供しているか?」および「個別のニーズに柔軟に対応できるか?」です。それは何も旅行に限った話ではありません。

コナミスポーツの主たる事業はもちろん全国90万人規模の会員を誇るフィットネス。でも、同社のフィットネスクラブは定番の4大要素を中核に成り立っています。

  • 有酸素系(エアロバイクやトレッドミルなど)
  • スタジオ(エアロビクスやヒップホップダンス、ボディパンプ、ヨガなど)
  • マシンジム
  • 水泳

これらのニーズを包括的に満たすように設計されているわけですす。つまり、大勢が似通った価値観と運動意欲を持っていることが前提のビジネスモデルです。

でも、最近では女性専用フィットネスのカーブスや街のヨガ教室なんかが流行っています。既にフィットネスに対するニーズは細分化しつつあるわけです。なるほど泳がない人にプールは要らないし、筋トレが嫌いなら本格的なマシンジムも不要です。ヨガやピラティスでも、総合フィットネスクラブのお試し的なそれよりも専門点の方が良いでしょう。それでいて総合フィットネスクラブよりも会費が安かったりもしますし。

プールなど過剰な設備を持たず、商業ビルの1フロアで少人数を相手に展開できるそれらでは、マンツーマンに近い小回りの利いたサービスが可能です。一方、施設が大きく、大人数を相手にした総合フィットネスクラブは、どうしても「放牧監視型」になりがちです。各人の個別のニーズに対応するのは短時間だけ、もしくは有料オプションという感じで。

加えて、昨今の経済状況からしてこの先も福利厚生を絞る企業は増えるので、必然的に総合フィットネスクラブの法人会員は減ります。そして「自費なら安いところに行く」という人は多いはずです。

今後、総合フィットネスクラブのビジネスは、先に挙げたような目的限定型の小規模フィットネスに容赦なく切り崩されていくことでしょう。あるとき再開発で商業ビルが建つと、その中に小規模フィットネスがオープンし、そちらのサービス内容で満足できる会員が続々と移るといった流れですね。

ただし、総合フィットネスクラブにも対抗策、生き残る術はあります。それは「メニューを充実させること」です。よそにはない多くの選択肢から選べ、自由に組み合わせできることこそが大型店の存在意義なので。

中でもプールを使うものが有望でしょう。これだけは小規模フィットネスでは到底真似できません。逆に、他の有酸素系、スタジオ、マシンジムなどは既存の商用ビルにも出店可能です。

よって、コナミスポーツがダイビングスクールを手じまうのは得策ではありません。というか、厳しい時代を戦い抜くための武器の一つを自ら放棄するに等しい、明らかな戦略ミスです。フィットネスの会員をダイビングに誘い、自前のプールで講習を行うなんてのは、小規模フィットネスや街のダイビングショップにはできない優位点だというのに。

おまけにダイビング事業はサービスツーリズムそのものです。スタッフが同行するショップツアーは主にビギナー&シニア向けのものですが、慣れない人、誰かに頼りたい人にとっては、費用がが高くなっても利用したいと思ってもらえます。ライセンスを取るまではもちろん、取った後も遠くの海に出かけて実際に潜る際の手厚いサポートは付加価値として確実にお金になります。

従って、もし私がコナミスポーツの経営陣ならば、いきなり廃止するようなことは絶対にやりません。ローコストな小規模フィットネスと競争条件面で足並みを揃えてどうするんだと。

仮にダイビングスクールを社内に抱え続けられないにしても、いったん分社化して様子を見ますね。高齢化が進む日本では、例えば「もう運動はおっくうだけど、南の海でのスキューバダイビングならやりたいと思う」というシニア層が増えないとも限らないわけです。もし全国19店舗が負担過剰なら適切な規模に再編成すればよいだけなのだし。

どうも経済界ではリストラをすると株価が上がり、経営陣が高く評価されるような風潮があったりしますが、それも有望な事業を残せてこそのもの。それができなかった国内大手電機メーカーは、いまや存亡の危機に見舞われています。

後になって「実はダイビングスクールが意外に重要だった」「ダイビング部門を残しておけば、生存競争に有利だった」などと後悔してみても遅いのだし。

コナミスポーツが手放そうとしているものは、彼らにとっての生命線の一端のように感じられてなりません。

顧客を捨てるコナミスポーツ

コナミスポーツのダイビングスクールが来年3月末をもって終了する予定です。その後の受け皿も用意されないらしいので、我々会員は「お前らはもう客じゃないから、散らばってどっか行けよ」とばかりに見捨てられるのでしょう。コナミスポーツ、なんてとんでもない決断をしてくれる企業なのだろう…。

エグザスダイブカレッジのステッカー
秘蔵のエグザスダイブカレッジのステッカー。 コナミスポーツダイビングスクールの前身ですね

いや、同社のダイビング事業がどうにも不採算続きで、もはや存続が困難というのなら致し方ないと思います。でも、どうもそうではなさそうなのですよね。なぜなら年会費の値上げや店舗の再編、営業時間の短縮といった試行錯誤がまったく見られなかったので。馴染みの店長も「ちゃんと売り上げてた」そうですし。ならば「90万人規模のフィットネスに比べたら、せいぜい数千人が相手の商売なんぞちっぽけでやっておれん」ってことなのか、あるいは「設備とトレーナーを用意すれば大勢をさばけるフィットネスのような旨みがない」と見切ったか…。

より小さなところが頑張っている中で、規模や施設、集客力で圧倒的に有利な同社が我先にと逃げ出すわけですから、無理解な経営トップが突如へそを曲げたとしか思えません。きっと自社のサービスすら自らは使ったことがないような、お偉い方々なのでしょう。私の勝手な推測ですが…。

ああ、ダイビング事業を畳む理由として思い当たる点が一つ。今春、同社は不幸な死亡事故の当事者となったことがありました。確かにダイビングは人間が通常なら生存できない環境下のレジャーなので、ごく稀にそういうことも起ります。でも、それは他のスポーツやエクササイズでもあること。運動中に心臓発作で倒れるとか。確率から言えば、とりわけダイビングが危険とまでは言えないわけです。

しかもコナミスポーツはスパルタではなく、むしろ過保護的なサービスを提供してきた方です。だったら業界最大手としてやるべきことは、そそくさと事業を畳むのではなく、率先して更なる安全性の向上に尽力することでしょう。でなければ亡くなられたその方も浮かばれません。自身がきっかけで好きだったダイビングの事業体がなくなるなんて…。

そして何よりも拙いのが経済的なマイナス面。同社がダイビング事業からの売り上げを失うだけならまだしも、国内外の関連業界に少なからずダメージを与えます。

フィットネス業界最大手のコナミスポーツのダイビングスクールは全国に19店舗あり、その他の店舗にも随時分校を開きながら毎年大勢のダイバーを誕生させてきました。そして多くのダイバーが憧れるのは沖縄や小笠原、パラオ、モルディブなどの南国リゾートの海。そういった海へのツアーでは毎回十数万円~数十万円 × 人数分のお金が動きます。旅行社、航空業界、現地のホテル、ダイビングサービス、飲み屋さんなどが潤ってきたわけです。

もちろんコナミスポーツ以外にもダイビングスクールはたくさんありますが、紹介もなしに街のスクールには入りづらいという話はよく聞きます。中にはイジメのような過酷なトレーニングを課したり、何も解らないうちから何十万円もする機材一式を強制的に買わせる悪質なところもあるようですし…。その点、コナミスポーツには広く名が通っている安心感や敷き居の低さがありました。

それでも大手のコナミスポーツが退くことで他社が潤うなら良いのですが、そうはならないでしょう。なにしろコナミスポーツのフィットネス会員がスタッフに勧誘されたり、店舗やPOP類がふと目に止まって興味を持つというのが定番のコースだったので。そういった人たちは他所に流れることもなく、単にダイバーになる切っ掛けを失うだけです。

おそらくコナミスポーツの影響力、経済への貢献度は彼らが考えている以上です。コナミスポーツでライセンスを取った人たちがスクールを巣立ち、思い思いのダイビングサービスやツアーを利用しているのだから。ここで新たなダイバーの養成をやめれば関連業界に「コナミ不況」「コナミショック」が起こって少なからず恨まれるでしょうね。コナミスポーツのフィットネス会員にも、その業界の人が大勢いるはずなのに…。

いや、そもそもコナミスポーツの親会社のコナミは「いかにして人々の余暇を充実させるか」という観点から、そのための商品開発やサービス展開に日々腐心している企業のはず。にもかかわらず子会社が真逆な決断を下すとは…。

確かにイベントを見る限り日本のダイビングの業界は縮小傾向にあるようですが、その一方でダイビングは、この厳しい経済状況下でありながら、いまだ個人に数十万円単位の消費をさせる力を持っている希少な分野なわけです。年に1~2回の一点豪華主義的な消費意欲の受け皿需要をみすみす放棄し、関連業界を巻き添えにしながら撤退するのはあまりに身勝手でしょう。

大きく伸びることはなくとも底堅く売り上げる商品力が保たれていて、競争条件の優位性もある以上、経営的なテコ入れならいくらでもやりようがあるはずなのに。

てなわけで、コナミスポーツには、ちゃんとした引き継ぎを行ってから撤退していってもらいたいと切に要望します。

一番好ましいのはダイビング部門の分社化でしょうか。もしくは他社に事業売却して、改めて業務提携を結ぶとか。経営が変わってもおおむね体制が維持されれば、スタッフ、会員、関連業界も一安心できますしね。

ぜひ、そうしてもらえないかな…。

コナミスポーツ消滅

正確には「コナミスポーツのダイビング部門が来年三月末をもってすべて終了」ということらしいです。どの店舗も例外なく。11月1日の発表だったとのこと。

昨日、沖縄から帰ってきて、大浴場を利用すべくその足でコナミスポーツ新百合ヶ丘店に出向いたところ、店長から聞かされました。いや、沖縄滞在中も風の噂程度には伝わってきたのですが、半信半疑だったのですよね。過去にも店舗の移転や再編などは度々行われてきたし…。

帰宅するとその旨の書簡も届いていました。

コナミスポーツ新百合ヶ丘店ダイビングスクール終了のご案内
支店長の名前で出されていますが、全店舗が終了とのこと
コナミスポーツ ダイビングスクール サービス終了に伴う各種ご案内
この通り、何一つ残ることなく消滅します

悲しいです。私はかつてのXAX(エグザス)ダイブカレッジ時代から通算20年ぐらい世話になったので。その間、店舗は二子玉川→多摩センター→新百合ヶ丘店と移り変わり、もちろんスタッフも度々代替わりしたものの、ダイビングサービスは脈々と続いてきました。

私は元来フィットネスの会員ですが、ダイビングのカウンターに顔を出すとスタッフはもちろん誰かしら仲間に会えました。そこでしか会わない人も大勢いたわけです。でも、この先はそれがなくなり、コナミのダイビングサービスを通じた新たな仲間との出会いもありません。

東日本大震災や福島原発周辺の避難民の方々の気持ちが少し解った気がします。外的な要因で長年かけて築かれたコミュニティが崩壊していくという。今までの仲間ともどれだけ音信を保てるか…。

ただ、腑に落ちないのはサービス終了の理由。書面には「当社を取り巻く環境の激化」とあります。店長からは「将来性が見込めないと会社上層部が判断した」と聞かされました。

確かにダイビングの業界は年々縮小傾向にあるかもしれません。でも、ここでやめたら長年同社が担ってきた「ダイバーのすそ野を広げる」という役割、存在意義を自らが否定し、更なる衰退への引き金を引くことにもなります。

しかも製造業とは違い、韓国や中国のダイビングスクールの攻勢に太刀打ちできないなんて話はなく、聞く限りでは不採算事業だったわけでもなさそうです。いやそんな店舗があるなら、また再編してくれればいいわけです。時代に合った分相応なりの規模への縮小なら納得もします。

日本はこの先も高齢化が進むのだし、競技的な要素がなく年齢相応に楽しめ、体を動かすだけでなく自然を相手に趣味や観光も兼ねるダイビングはコナミスポーツの多様性の象徴的な存在だったと思うのですが。

スポーツクラブの客層にしても、決してエクササイズを目的とした人ばかりではありません。これまでもフィットネスの会員がダイバーになり、ダイバーがフィットネス会員として入会する相乗効果がありました。

しかもダイビングは機材販売、講習、国内外旅行と、スポーツクラブ業界にとっては珍しく大型の売り上げが立つ部門だったはずなのに。いまだ人々にお金を払わせる力を保っている事業をそそくさと畳むのは自傷行為みたいなものです。株式投資に例えれば目先の悪材料に躍らされた「狼狽売り」のような。

コナミスポーツの上層部が本当に「ダイビングスクール部門に成長が見込めない」という考えなら、ちょっと経営センスを疑ってしまいます。そういう大企業の経営者が日本の経済を縮こまらせ、それが人々の消費志向に水を差して悪循環を生み、不景気を長引かせているのだと思います。