ライトフィールドカメラを水中で使いたい(マクロ撮影編)

LYTRO社のロゴいやあ、ライトフィールドカメラ(Light Field Camera)、非常に気になります。特にマクロ撮影は劇的に変わりそうな予感。

マクロ撮影で難しいことの一つは被写体との距離。例えばコンデジの像は小さいので、ウミウシなどを大写ししたければUCL-330やUCL-165M67といったクローズアップレンズを使うことになりますが、そうすると今度はピントが合う距離が限られてしまうのですよね。ズームの掛け方次第では「レンズ端から15cm〜16cmの間だけ」なんてシビアなことに。

マンジュウイシモチ
マンジュウイシモチ クローズアップレンズを使ってテレ端側で撮ったマンジュウイシモチ。 トリミングなしで大写しにはできたけど何ともビミョーな出来栄え…

ビギナーダイバーのマクロ写真はえてしてピンボケ(と手ブレ)が大量だったりしますが、ライトフィールドカメラは撮影時にピント合わせをする必要がないらしいので、ライティングと手ブレに気をつけて高解像度で撮っておけば、まあまあ及第点の写真にはなるはず。不要な部分はピント合わせの後でトリミングしてしまえばいいわけです。もちろん絵作りの部分だけはセンスが問われますが。

とは言え、「ピント合わせが必要ない」は「像がぼやけていてもOK」ではないはずなので、ライトフィールドカメラならクローズアップレンズを何枚も重ねて拡大し放題とはいかないだろうことは心得ておかないと。どうやってもクリアに写らない状況なら、さすがに後からのピント合わせも効かないと思うので。

INON(イノン)UCL-330

INON[イノン] UCL-165M67

ライトフィールドカメラを水中で使いたい(ピント合わせ編)

LYTRO社のロゴLytroのライトフィールドカメラ(Light Field Camera)の話を聞いてからというもの、そのことで頭がいっぱいです。

原理がよく理解できないのですが、従来のカメラはどかにフォーカスされた(もしくはどこにもされていない)像を保存するのに対して、ライトフィールドカメラはその瞬間の光の具合を保存する感じでしょうかね。そのため撮影時にはピント合わせをしなくてもいいのだそうで。差し当たり、これを水中撮影に使えば思いっきり歩留まりが上がるのではなかろうかと期待します。

最近の私の水中カメラはNikon D7000 & AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED。いわゆるハゼ撮り用の中望遠セットです。性能的には満足しているのですが、なにぶん私(デジ一初心者)のスキルが追いつかず…。

実際、海の中ではオートフォーカスが結構迷います。まあ無理もありません。海底にはサンゴだのイソギンチャクだの、いかにも機械には判別がつきづらそうな模様に満ちていますので。魚や甲殻類にしても変な形だったり風景に溶け込んでいたり。そのためシャッターボタンの半押しだけではフォーカスが迷いまくって一向に落ち着いてくれないことも。マニュアルフォーカスの修業をするべきですね。

でも、ライトフィールドカメラならそういった苦労も要らなくなるはずです。ピント合わせは後からなので。それこそiPad用上で「ここが見たい」「次はここ」といった感じのタップだけで思い思いのフォーカシングが可能になるのではないかと。だったらオートフォーカスで撮った際にイソコンペイトウガニを狙ったつもりがウミトサカにピントが合ってたなんて失敗もなくなりますし、「魚の場合は目に、ウミウシの場合は触角にピントを合わせるべし」という基本テクニックも簡単にクリアできます。

ピグミーシーホース(黄色)
ピグミーシーホースの黄色個体。サウスレイテで撮影。 この通り、周りのシーファンに溶け込んじゃってますが、 こんな感じの写真でもタップすればバッチリ目にピントが合うんだろうな…

本当にライトフィールドカメラが触れ込み通りの写真撮影ができて、かつ我々にも手が届く価格帯で販売されるとしたら、写真の世界はひっくり返るんじゃないでしょうか。

もちろんピント合わせだけが良い写真を撮るための極意ではありませんが。

これでもうピンボケ写真はなくなる???

LYTRO社のロゴ米国のLytroって会社が年内にもライトフィールドカメラ(Light Field Camera)なるものを発売するそうな。

あちこちで紹介されたので詳しい説明は譲りますが、要は「後からフォーカス位置を変えられる写真が撮れる」ということらしいです。

サイトのサンプルで試した限り、1枚の写真からこんな感じのバリエーションが得られます。

写真1(手前)写真1(中間)写真1(奥)

写真2(手前)写真2(中間)写真2(奥)

どちらも元の写真に対して手前、中間、奥の被写体にピントを合わせてみました。なかなかいい感じです。今の世の中にこんなに凄いテクノロジーが存在し、しかも市販まであと一歩という状況だとは知りませんでした。

当然ながらライティングと手ブレまではケアしてくれないにしても、ピント合わせの問題から開放されるなら実に画期的ですよね。特に水中ではNikonのD7000(最新の位相差ロジックを搭載しているはずですが)でもかなりフォーカシングに迷うことがありますし。

どうやら資本には困っていないようなので、この時期にこの情報が流れたということは製品化に目処が付きつつあるといったところなのかな。Lytro社によるとカメラを一般消費者にも手の届く価格で売りたいそうなので、高くても数千ドルってところでしょうか。自身が買えるかどうかはともかく、その時が楽しみです。