IMFが消費税増税を提言?

国際通貨基金(IMF)が日本に関して、2017年までに消費税を15%に引き上げるよう提言したそうで。アホな…。

IMFがバランスシートの概念を持ってない増税万能主義者の集まりとは考えられないので、提言の裏には別の力学が働いているのでしょう。つまり、日本の増税を望んでいる勢力(しかもIMFに影響力を行使できる)があるのだと。

話は単純です。この財政難の折りに増税を敢行しなければ、財源捻出の矛先は必然的に既得権益の解体、切り売りに向かいます。JT株や公務員宿舎の類い、その他国有資産の売却、事業仕分けでもやり過ごした「無駄ではない」とされる事業予算の見直し等々。それらがなされなければ公務員への一律報酬カットの恒常化です。

事業仕分けのときは弱体政権を煙に巻くこともできましたが、今度の場合どんなに力のない政権であっても、いや、力のない政権だからこそポピュリズムに押し流されて、その方向に突き進むことになります。官僚叩き、公務員バッシングは受けがいいですから。

逆に増税がかなえばそういった事態を何年か先送りにできるということで、財務省関係者がIMFに対する見え透いた裏工作を働いたのでしょう。

大連立っておっかねーよ

先週の国会での茶番劇から週をまたぐと一気に大連立ムードが高まってきました。法案がちっとも通らない状況なので無理もない気はしますが、やはりそれはまずいだろうと。

「期間限定で大連立を組み、その後解散総選挙を行えば問題なかろう」という向きもありますが、それだと選挙民は何をもって投票対象の政党を選べばいいんでしょうか。いやまあ、大連立政権内で政党間の決定的な対立が見て取れれば何とか選択できなくはないかもしれませんが。

それと大連立なら懸案の消費税増税などがほとんど電車道状態で可決、施行されてしまうのではないかとも。復興支援、財政難という大義名分がありますし、民主・自民・公明、一蓮托生の総与党なら所属議員は選挙民の目を気にしなくても良くなりますので。いったん上げた税率は下げないでしょうし、消費税を上げるということは本来の改革を先送りにしてよけいに傷を深めることを意味しているとも思いますし。

くたばれ!消費税増税論者

菅首相は6月下旬にまとめる「社会保障と税の一体改革案」として2015年まで に消費税を5%引き上げたいのだと報じられました。まったく大事なことは何もせずに要らんことばかりやってくれるお方です。大阪大学の小野善康教授とやらが言うところの「増税してお上が再配分すれば景気が良くなる」という程度の低いファンタジーを本気で信じ込んでいるのでしょうかね。

ちまたでは有識者と呼ばれる人ほど消費税に活路を見出そうとするようですが、私は現段階で消費税増税を口にする人を信用しません。それは「増税が不要だから」ではなく「増税が有効策ではないから」です。消費税率を5%上げたとして12.5兆円の税収増。一方で毎年の財政赤字は40〜50兆円にも上ります。税率を上げれば万事解決とはいかない以上、消費税ばかりを取り上げるのは愚かだろうと。しかも増税は景気に悪影響を及ぼし、よけいに財政を悪化させかねません。

それに消費税の問題は、つまるところ「いつからどれだけ上げるか」に尽きます。テクニカルな課題はせいぜい生活必需品は税率を変えるかどうかぐらい。国民の一定の理解と国会での多数派工作さえできればすぐさま可決できます。だったら今やるべきことは消費税を上げるための画策ではありません。

例えばかつて事業仕分けの際、「科学技術関連の予算を削ろうとするのはけしからん」という声が高まりましたが、ノーベル賞受賞者のどなたかが「末端の研究者に下りてくるのは予算の1割ぐらい」とも嘆いておられました。実に9割もの金額がピンハネ、中抜きされているわけです。まるでオリンピックに参加する際、試合を控えたガタイの良い選手達をエコノミークラスに詰め込んでおきながら協会のお偉いさんがファーストクラスで移動するような話。それでいて「メダルを取れ」と。だったら、ピンハネ分をゼロにすれば予算を半減させても5倍の研究費を渡せるようになります。今やるべきことは、そういった税金の使い道の最適化です。

冒頭の小野理論で言えば、あれが絵空事に聞こえるのはそうした行政の摩擦係数、伝導ロスが考慮されていないこと。まるで税金を集めさえすれば神様が無給で公平に分配してくれるかのように。でも、これまでを振り返ってみれば、「震災復興税」などと名前を変えて消費税率を上乗せするとともに「独立行政法人復興支援機構」なんぞができて役人が天下り、極めて広義の「関連事業」に不効率な税金の使われ方が横行するのは目に見えています。

いや、結局、消費税を上げたいと言う人たちの背後では既得権を手放すのを先送りにしたいやからが暗躍しているのでしょう。毎年1兆円ペースで増え続ける社会保障費の財源負担を消費税に求めれば、しばらくは利権構造を延命できます。ちょうど原発事故の賠償問題で資産にはいっさい手を付けないうちから政府に支援を求めようとした東電のように。

言い換えると、もし「天下り役人がいる法人には公共事業の入札参加資格を与えない」といった法律ができて実践され、ひたすら税収が純粋な目的に使われる土壌ができ、それでも税収が足らないということであれば、私も消費税増税に賛成しますが。

復興増税より期限付き減税じゃないかな

震災から2週間あまりが経過し、復興支援の財源として「国債の増発」と「増税」の2案が聞かれるようになってきました。確かに今なら支援名目の増税も国民に受け入れられやすいでしょう。大前研一氏なんかは一年限定の消費税増税を提案しています。でも、それをやっちゃうと巷では買い控えが起きるのではないかと。「車なり何なり、大型の支出は増税期間が終わってからの方が。復興支援とは言え余計に税金を払うのはどうも…」と。

先週、ホリエモンが寄付金の手数料にうるさい人たちに対して「慈善活動にだって経費はかかる」と一括していましたが、まったくもってその通りで、仮に寄付金が100万円集まったとして、そっくり100万円分の救援物資を届けられるわけがありません。単純に考えてトラックのレンタル代やガソリン代などの必用経費、それから活動員の生活もある程度保証されなければ支援もままならないのですから。その観点で言うと、増税ではNPO、NGO、ボランティア団体なんかよりもはるかに高額な手数料(利権)を官僚が抜くことになってしまいます。

ならば増税よりもむしろ期間限定の消費税減税の方が望ましいのではないかと。今年度後半から半年間だけ消費税率を3%にするとか。駆け込み需要喚起ですね。こんなときだからこそ、お金を回すこと、消費をもり立てることが重要なはず。逆に経済が停滞すれば、それこそ復興支援も頼りないものになってしまいます。

世間では過剰な自粛ムードが高まっり、その煽りを受けたレジャー産業やエンタメ、イベント関連の人たちの悲鳴が聞こえてきます。「不謹慎」という美徳も度が過ぎれば不遇な人を増やす感染症のようです。何が被災者のためになって、何がならないのかを考えて発言や行動をしないと。

消費税論議は封印すべし!

まさかの参院選の結果を受けての国会もあっという間に閉幕。いったい何だったんだか…。

さて、民主党の敗因は唐突に消費税論議を持ち出したことだと言われています。「増税しても景気は良くなるんだ」は、まるで「脂分を余計に取っても元気が出るから痩せられる」みたいな無茶な風説のような気がしますが、それを信じた菅首相の不用意な発言がマスメディアの餌食となり、結果多くの議席を失ったような格好でしょうか。

とあるアンケートの結果では、国民の過半数は消費税増税に否定的ではないのだとか。ただし、それを「財政が厳しいのを知って、多くの国民が理解を示している」と捉えるのは間違いで、むしろ国民の思いは「政官はさっさと身ぎれいになったところを見せてみろ」なのだと思います。「その上でなら増税も甘受してやろうじゃないか」と。だからこそ行政改革一本槍のみんなの党が一人勝ちしたわけです。

現実問題、高級官僚の天下りが1件でもクローズアップされるたびに消費税増税議論は振り出しに戻って、それを持ち出した政権与党はことごとく選挙で負けます。尽きない政治家の不祥事も問題ですが、こちらは一応、国民が選挙で落とすことも可能です。でも、いわば国の間接部門である国家公務員が身分保障されたエリート集団と化している現状は、鬱憤のはけ口、批判の対象、ひいては増税の障壁になり続けることを意味しますので。

公務員叩き、官僚バッシングを受けて「優秀な人材が集まらなくなる」と批判する向きもありますが、優秀な人材を集めた結果がいまのこの没落しゆく日本なのですし、「優秀な官僚と凡庸な民間勢」と「凡庸な官僚と優秀な民間勢」の組み合わせなら、後者の方が経済力は伸びやすいのではないでしょうか。違う言い方をするなら、中央省庁が優秀で将来有望な人材を厚遇で迎え入れるために、この国の経済力が尻すぼみになっているかもしれないのだと。

この先消費税増税が避けて通れないことくらい国民は皆解っています。解っているからこそ、消費税増税の論議は一旦封印して、まずは国民に納得してもらえるだけの行財政改革を断行すべきだろうと私は考えます。遠回りだろうが何だろうが、その順番じゃないといつまでたっても増税なんかできっこないです。「国が破産するのが嫌なら消費税率を上げさせろ」みたいな脅しは、長引く不景気ですっかりすれてしまった今の国民に対しては通用しませんや。