電子書籍元年の幻想

十数年にわたる前史を踏まえ、今年は電子書籍元年とも言われています。AmazonのKindleが海外で一定の成功を納め、iPadが鳴り物入りで発売され、Andoroid端末が各社から投入されようということで、いよいよ機が熟したのではと目されたわけですが、早いもので2010年も残すところ二ヶ月あまり。ちっとも電子書籍時代の幕開けとは感じられないのは私だけでしょうか。

もちろん中長期的には紙の本の需要は確実に減りますが、まだiPadさえあればという状況からは程遠い感じですよね。いつまで待てばいいのか見当すらつきません。

さて、先日SHARPが主導するガラパゴスが発表になりました。何とも自虐的なネーミングにも思えますが、私は意外にいけるのではと見ています。それこそePub規格やAppStoreよりも遥かに有望ではないかと。日本国内に限ってのことですが…。

結局、市場では有力作家なりコンテンツなりを多く抑えた方が圧倒的に有利だったりします。iPad版のガラパゴスアプリが登場するかは解りませんが、ともかく出版社以下を囲い込んで「日本の著名な作家の作品はガラパゴスを介さないと読めない」という状況を作ってしまえば、しばらくの間パラダイス鎖国は実現するでしょう。ガラパゴス陣営は外来種の勢力拡大を牽制しつつ、電子書籍時代への移行を自分達の主導によってソフトランディング的に進めたいのは当然です。

そうしてガラパゴスが思いのほか賑わう以外の可能性としては、電子書籍市場が一向に盛り上がらず何年も経ってしまうということも考えられます。いや、あながちこちらの予想も捨て難いのではないかと。日本の人々がiPadなりガラパゴスなりを所有し、さらに電子書籍を購入してそれで読むという習慣を身に付けるのは、まだまだ先のような気がしますので。

ノジマも横浜球団買収希望だってことなら…

プロ野球界が最も避けなけなければならない事態は球団数の減少です。これが週1~2試合ペースのJリーグならどこかのチームが対戦にあぶれても成り立ちますが、週5~6試合が前提のプロ野球では球団数が奇数になると運営が極端に難しくなります。

言うまでもなく、プロ野球の理想形はセパ8球団ずつの16球団制です。この数なら上位4球団によるプレーオフが組めるのでシーズン優勝チームが待たされて儲け損なうなんてことがなくなります。四国のようなプロ空白地帯も埋めるべきですし。

で、今回は住生活グループの他にも家電量販店のノジマが横浜ベイスターズの買収に前向きだそうですし、新規参入の条件さえ緩和すれば他にも手を上げる企業はあるはずです。ならばこの際、横浜は身売りの上であの地に温存させ、それとは別に新潟と愛媛に一球団ずつ配置して、セ・パどちらかのリーグを8球団にしてしまうってのはどうでしょうかね。ちょうどドカベンみたいに。当然、エキスパンショントレードを行って、ある程度戦力を割り当てる必要がありますが、今オフにはメジャーからたくさん選手が帰ってきそうですし。そして将来的には沖縄ともう一ヶ所にも球団を作ると。

もちろん球団数が増えれば選手の平均年俸は下がるでしょうし、相対的にはプレーレベルの低下も避けられません。でも、球団数が減ってプロ野球界が縮小均衡に向かい、興行体としてのプレゼンスを失い続ければ、もっと悲惨なことになります。

それに今のプロ野球は排他的競争原理主義。新規参入は認めたがらないが、経営難の同朋を助けることもしない。そればかりか強者が弱者から戦力を奪うだけ奪い、負ける方は努力が足りないと言わんばかりの。先週「巨人軍がリーグ4連覇を逃した」などと騒がれましたが、それってプロ野球は 「巨人軍と愉快な仲間達」みたいだと言っているようなものですよね。

かつて優良コンテンツであったはずの巨人戦ですら地上波で中継されなくなった今日、早々に16球団にして共存共栄を目指すくらいでなければ、プロ野球は確実、かつ急速に衰退していくと思います。

横浜ベイスターズ売却?

TBSが横浜ベイスターズの売却を検討しているのだそうで。私はもうプロ野球にはあまり関心もないのですが、それでもなるべくスムーズかつスマートに解決してもらいたいものです。

親会社が変わろうとも「横浜ベイスターズ」の名前が残るなら良し。あるいは新潟にフランチャイズを移すなんてことでもいいでしょう。球団名が「住生活ベイスターズ」とか「リクシル新潟ベイスターズ」になるのだとガッカリしてしまいますが。でも新潟だったらプロ野球もアルビレックスかな?

まあ、その辺は置いとくとして、おっかないのはこれが口火になって球界再編論が再燃すること。どうやら集客力のあるスター選手を留めておけないぐらい経営がひっ迫している球団も少なからずあるようなので。

フリューゲルスのマスコットそれに横浜の地には、かつてJリーグの横浜フリューゲルスが横浜マリノスに吸収合併されるという苦い思い出があります。現・横浜Fマリノスの「F」にまつわる騒動ですね。

あの時、マリノスがフリューゲルスから目ぼしい選手だけ選抜して合流させるなどという愚かなことをしてくれたので、以来私はJリーグの試合は一切観なくなりました。「百年計画」なんてものは何の重みもないのだろうと悟ったので。経営難で存続も売却もできないなら、単純にフリューゲルスは解散させておけば良かったものを…。

プロ野球でも数年前オリックスと近鉄が合併して、似たような自体が起こりましたが、あの時は楽天が参入して球団数が維持されたので助かりました。でも、週1~2試合ペースのプロサッカーとは違ってプロ野球の場合はチーム数が12を割ろうものなら2リーグの運営がほぼ成り立たなくなるため、必然的にもう1球団潰して10球団による1リーグ制に移行せざるをえなくなるでしょう。でも定期興行体として客の目に披露する機会を減らすのは自殺行為に近いものがあります。

本来なら逆で、球団の定数を16に増やして共存共栄体制を構築しておくべきだったと私は思うのですが、NFLのやり方を「共産主義」と言ってしまう困った最有力球団オーナーがのさばっていますからね。プロ野球の未来は暗いかも知れません。

SONY製iPhone用ヘッドフォン

Fisheyeのblogが更新され、NauticamのαNEX-5用ハウジングの価格が発表されました。 本体138,000円、ズーム用レンズポート24,000円、ズームギア13,000円(すべて税抜き)ですか。 また、以前から気になっていた点にも言及がありました。

光ファイバーケーブル差込プレートにより、外部ストロボの接続も簡単です。

着脱方式は相変わらず不明ですが、アタッチメントが用意されるみたいですね。 さて、今日はヘッドフォンの紹介。AppleのライバルでもあるSONYから「iPhone向け」と銘打ったヘッドフォンが発売されるようです。

前々からiPhoneにはSONY製がベストマッチという評判がありましたが、いよいよSONYもiPhoneビジネスに参入ですか。まあ、このヘッドフォンが売れたとしてもAppleをアシストしたりWalkmanの売り上げに影響を及ぼすことはないでしょうから、良い判断ではないでしょうか。

マイク付きで、ボリュームコントロールもボタン式。ダイヤルやスライダの方式とは違ってiPhone本体の音量をコントロールできるので快適です。

お値段も3,500円強と、同タイプのApple In-Ear Headphones with Remote and Micやradius RK-AHF11と比べてもリーズナブル。

私は度々ヘッドフォンを断線させてしまうので、次はこれを買ってみようかと思います。

電子書籍の時代は本当に来るのだろうか?

オンザウェイ・ジャーナルの佐々木俊尚さんの回(2週目)を聴きました。前回同様、過渡期にあるメディア論は大変興味深かったのですが、中でもちょっと気になった点が。それは「村上龍さんの『歌うクジラ』の電子書籍は、横書きにも関わらずぜんぜん読みやすい」との見解。いや、もちろんここで語られているのは佐々木さん個人の感想に過ぎないのですが、それでもきっとそうなのだろうなと。なにしろ今日の日本語の文章には横文字が多々含まれているわけです。古典文芸書などはともかく、今どきの社会的な背景の文章には断然横書きの方が向いているはずです。

で、今さらなぜそんな当たり前のことを書くかというと、電子書籍の主役的なフォーマットであるePubの難点として「ルビが表現できない」「縦書きができない」という意見がよく聞かれるから。

確かにルビは日本語の書き文字文化を豊かにしてくれる重要な要素となっています。もし仮に人気漫画「ONE PIECE」なんかをルビ禁止にしたら面白さが目減りしてしまうような気がします。人の名前にしても、平易に読める字しか使ってはいけないとなると、何とも味気ないことになりますよね。

でも、縦書きの方は、そんなに必須というわけではないんじゃないかと。古典文学や文芸書が横書きでは雰囲気がそがれる思いを抱く人は多いかもしれませんが、誰もが目にしたことがある教科書を始め、横書き文書はそこら中に溢れているわけですし、慣れればどいうとうこともないのではないかと。事実、IT用語のように英数字が混在する今どきの文章では、むしろ縦書きは不利なわけです。中国なんかでもとっくに縦書きから横書きに切り替えてしまってるそうですし。

結局、ePubの縦書きうんぬんは言い訳として便利に使われているだけなんじゃないかという気がしています。皆ケチやら注文を付けたいんじゃないかと。

例えば出版社や著作者は、電子書籍による収益性が未知数、もしくは懐疑的、あるいは受け入れがたいほど厳しそうなので、なるべく先送りにしたい。そしてIT側に身を置く人は、様子見の方便に使っているか、あるいは来るべき日に自身が有利に立ち振る舞うべく表向きは牽制しているとか。「日本ではまだまだですねぇ」などと言いつつも裏では着々と対応を進めているような。

そして、「ルビ振りと縦書きさえできるようになりさえすれば…」を真に受けて、キラー的なニーズと捉えようものなら痛い目に遭いそうな気がしないでもないです。案外、それらが実現しても、やっぱり日本の電子書籍市場は、ごく一握りの有名作家(紙でも電子でも売れるような)の作品のみが売れる程度という状況が続く可能性もあるのではないかと…。