安保法案より派遣法改正の方が気になる

wordpress-logo安保法案が与党の強行採決で衆院を通過しました。まあそうなりますよね。前々回と前回の総選挙で自民党に巨大議席を与えてしまったのだから。私は自公には投票しなかったけど。

ちなみに私は集団的自衛権には賛成で、これを戦争のための法案というのは的外れだと思うものの、憲法改正が前提であるべきという立場です。解釈で乗り切ろうとするのは裏口入学みたいな反則。時の政権の思い込みで自衛官に命を懸けて活動してもらうわけにはいきません。

でも、この法案が2ヶ月後に参院から差し戻されて成立しても憲法裁判のステージが待っているし、自衛隊が即座に紛争地域に出て行くことはないと思われるので、むしろすっかり話題にされなくなった労働者派遣法の改正案の方が気になります。

こちらにも私は反対です。いや、労働市場の流動化などメリットも言われているけど、企業がさらに派遣労働者を使いやすくなれば、10年後、20年後に「家も貯金も持ってない人」を大幅に増やす結果になるだろうから。

特に東京圏は地方から労働力をかき集める形で繁栄を続けてきた反動で将来は大勢の生活に困窮した高齢者を抱えることになります。でも個々人に生活保護を給付しては財政が持ちません。ならばとホームレス対策のシェルターを造れば地方から貧しい高齢者をかき集めることになるかもしれません。東京圏が象の墓場ならぬ困窮労働者の行き着く場所と化いすと。厄介なことになりますよね。

ならば、ここらで発想の転換が必要ではないでしょうか。例えば、派遣労働者を使いにくくして所得の底上げを図るような。

働かざるものも食うべし

mascot of FROGFISH.JPご存知の通り、先日71歳の男性が東海道新幹線内で焼身自殺テロを敢行しました。女性乗客一人が巻き添えになり、各方面にも多大な損害を与えた許しがたい行為です。

犯人は「月6万円の年金では暮らせない」と周囲にこぼしていたそうですが、何をか言わんや。その額未満で生活している人は大勢いるし、生活保護を受ける選択もあっただろうから。

ただし、考えさせられることもあります。その一つは「高齢者の貧困」。一説では日本の高齢者貧困率は19%もあるそうで。もちろん貧しい高齢者が必ずしも犯罪を犯すわけではないものの、中には貧困から誰かや社会を逆恨みしたり、自暴自棄になって良からぬことを引き起こす輩が出ないとも限りません。

あの新幹線のテロ犯は高度成長期やバブル期にも現役だったのだから生活の困窮には自業自得感がなくもないけど、近年は派遣労働など不定期かつ低賃金労働者が増えているので必然的に老後に資産を残せない人も確実に増えていきます。ただでさえ後の世代の年金給付開始年齢は先送りにされ、額も減らされていくのに。

加えてテクノロジーの進歩で、ある種の職業は縮小もしくはなくなる可能性も。

例えば先日GUの某店舗に立ち寄ったらレジが自動精算機に置き換わっていました。半年前はレジカウンターに販売係が何人も張り付いていたのに、今では数台の自動精算機の近くに一人いるだけ。まあGUはそもそも低価格路線なので必然的だし、人件費の圧縮が物価高騰の抑止になればありがたいけど、応分の頭数の雇用が失われたわけです。

別の例では自動車市場。遅くとも20年後ぐらいには完全自動運転車が走行しているでしょう。今はまだ不安が大きいものの、実用性が一定の水準まで達したら、むしろ当然視されると思います。何しろ飲酒運転やスピード違反、その他人為的な危険運転の可能性がなくなるから。街で酒を飲んでも自動運転車に乗り込むと後部座席で寝てる間に自宅前まで送ってくれると嬉しいですよね。あるいは海外にダイビングに行く際、レンタル自動運転車に迎えに来させ空港で乗り捨てるとか、深夜に帰国した際も寝ながら帰れると。

そんな時代になればタクシーや長距離輸送トラックのドライバー職はかなり減るはずです。路線バスはそれ自体が無くなるかも。そればかりか人々の所有欲がなくなって自家用車向けの市場も縮小し兼ねません。その時々で都合のいいタイプの自動運転車を借りて自宅に送迎させれば、わざわざ自分用の車を持つ必要はないのだから。結果、自動車の運転や販売関連の雇用はかなり縮小するのではないかと。運転免許を取る人も減るので教習所の多くは潰れるでしょう。

まあ、この予想通りになるかはともかく、今ある仕事が将来もあるとは限らないわけです。この点でも老後に向けた資産形成の環境はますます厳しくなっていくでしょう。

折しもEUはギリシャのデフォルト問題で揺れています。でもお荷物だからと安易にギリシャを切り捨てればEUの存続も危うくなります。増してや日本は国内の貧しい高齢者を見捨てることなどできません。

話が長くなったけど何が言いたいかというと「お金がない人も暮らしていかれる道を作っていかないとたいへんな事になるのでは?」ということ。

解決策は健康ランドみたいなシェルターとフードスタンプでしょうかね。最低限、寝る場所とお風呂と食事だけは保障すると。あるいはもっと他の施策があるのかな。

ともかく国立競技場にギリシャの債務額以上のとんでもない建築費を浪費するようなことをしていられる場合じゃないです。

沖縄の人に訊いてみたいこと

5月29日放送の朝まで生テレビを見ました。テーマは『激論!“沖縄基地問題”と日本』です。

折しも米国訪問中の翁長知事の作戦は「普天間基地の存続にNO。辺野古基地の建設にもNO。日本政府の頭越しに米国と掛け合って沖縄からの撤退を要請する」です。これが功を奏するかは解らないけど、そういうことなら米軍が撤退した場合のプランは考えておくべきですよね。普天間は小さい基地だけど、一つ実績ができて跡地の商業利用が成功しようものなら、次も次もってことになるだろうから。

そこで私がこの問題で沖縄の人たちに訊いてみたいのは「もし米軍が撤退すれば代わりに重武装した自衛隊の配備が必要だと思うが、自衛隊ならOKか?それとも自衛隊もNOなのか?」ということ。

「基地があるから戦争になる。基地がなければ危機はない」なんてのは戯言。もちろん仮に米軍が沖縄から撤退したら人民解放軍が沖縄に攻め入って武力で占領するなんてことはないでしょうが、中国漁船がこれまで以上に沖縄近海の漁場を荒らしまくったり、どこかに人工島やら活動拠点を作ったりはし兼ねません。南沙諸島と同様、沖縄にとっても日本にとっても極めて不都合な状況に追い込まれるのは目に見えています。その内、尖閣だけでなく他の島々も中国領だと言い出し兼ねません。

よって米軍を退かせるならそれに変わる抑止力が必要です。「米軍関連の経済効果は5%だから何とでもカバーできる」なんてことでは、残念ながら済みません。

ならば選択肢は自衛隊しかないですよね。それにだって法改正やら予算、人員面など課題も多いものの、まあ「米軍はダメだけど自衛隊ならいい」ってことなら解りやすくはあります。基地問題が純粋な内政問題となるので。議論は紛糾するにしても、国会は野党が機能していないし。

ちなみに、有名なbloggerの永江一石さんの案は「巨大空母を数隻、沖縄近海に浮かべ、レクリエーション船もはべらせる」だそうです。これ、私も考えたことがありました。スタートレックのD型エンタープライズみたいな感じですね。軍艦でありながら士官や兵の家族の居室があり、各種娯楽施設や保育・学校機能も有しているという。

まあ、そこまで本格的でなくても例えばサイパン沖には米海軍の船が停泊しています。以前聞いた話では、サイパンは米国領ではないためそうしているのだと。ほんでもって週末の夜はライトアップしているから船でパーティが開かれているのでしょう。

ただし巨大空母の案はお金と時間がかかりすぎるので非現実的かも。

私も沖縄の人たちの肩を持ちたい思いはあるけど、在沖米軍基地の撤廃を訴えるなら米軍抜きでやっていく展望があるのか訊いてみたいです。なければ残念だけど米軍の駐留は認めつつ、活動縮小を訴えるしかないと思うのですよね。

大阪都構想が頓挫

大阪都構想大阪都構想の住民投票で反対多数。否決されました。

大阪に住んだこともない部外者の私はどちらがいいとかはなかったけど、この結果には何となく改革が止まったような印象を受けます。

とは言え反対票を投じた人たちが皆既得権者なわけがないから、都構想の説得力が足りなかったのでしょう。実は二重行政の解消によるコスト削減効果は僅かしかないという説も聞かれたし。

ただしこれで大阪の没落トレンドは加速していく気がします。何しろもう橋下徹氏を看板に使えなくなるので。良くも悪くも彼の求心力は強力だったけど、これで市長の任期満了後は弁護士に戻ってしまうのですよね。大阪の注目度は一気に落ちるのだろうな。東国原さんが知事を辞めてからの宮崎県と同じ様に。

昔は大阪は我々九州人にとって東京よりも近い巨大都市のイメージでした。でも今や地方都市の一つといった印象です。博多から新大阪まで新幹線で2時間半、しかも片道1万5千円。それが博多⇄羽田の飛行機なら1時間半、成田でも2時間です。LCCだと往復2万円もしません。

それに大阪の人口は約885万人。隣接の京都・和歌山・兵庫・奈良を加えても約1,800万人。対して東京と神奈川・埼玉・千葉の合計は約3,600万人。そりゃ首都圏の方が求心力が強く働きますよね。下手すると他の地方からだけでなく関西からも首都圏に人が流れるわけです。

まあ富士山や箱根山が大規模に噴火したり首都直下型地震が起きれば首都圏の機能が麻痺し、復旧を待てない政府機関や企業などが目ぼしい各地に移転するかもしれません。そうなれば大阪も有力地だけど、我々が生きている間にあるかどうかも疑わしい話。それを望んでもいけないし。

ひとまず都構想ってギャンブル風の荒療治は退けたものの、じわじわと体力が失われていく状況は変えられないので、これからが本当の正念場ですね。

禁煙条例が東京でも

2020年の東京オリンピックに向けて東京都議会でも罰則付きの禁煙条例が検討されています。反対派も多いようだけど遠からずやらざるを得ないでしょうね。なにしろ公共施設の禁煙はオリンピック開催の付帯条件なのだから。

実際、2004年のアテネ以降、トリノ、北京、バンクーバー、ロンドン、ソチ、そしてリオデジャネイロと平昌でもすでに禁煙条例が施行されています。もし東京がIOCの方針に刃向かった場合に開催権を剥奪されるかは解らないけど、いい恥さらしにはなりましょう。よってやらざるを得んでしょうから、あとは落とし所の問題ですね。差し当たり他国並に飲食店は例外なく禁煙もしくは完全分煙にしてもらわないとな。

条例反対派の中には「喫煙する権利もある」などと言う人もいるけど、もはや無理筋。賛成派の言い分は「吸うな」ではなく「他人を巻き込むな」だから、それに反対するなら「加害者の権利を認めろ」と言っているのと同じだもの。「空調完備で煙が漏れないところでのみ吸える」が妥当な線でしょう。空港みたいに。

また喫煙室を設けられない小規模飲食店にとっては死活問題だという声も聞かれるけど、それも屁理屈。もしくは迷信です。なにしろ日本の喫煙率は今や20%未満。仮に禁煙義務化で喫煙者の客足が遠のいても、逆に受動喫煙が嫌で敬遠していた非喫煙者は入りやすくなるのだから、むしろチャンスと言えます。なにも自分の店だけが禁煙化を課せられるわけではないのだし。いや、そもそも禁煙化で喫煙者の客足が遠のくという論理が間違っています。だって彼らだって外食はするのだから。喫煙できなきゃ弁当を買って会社の喫煙室で食う人なんていないでしょう。それにこの問題は「喫煙者 vs. 非喫煙者」ではなく「ダメな喫煙者 vs. 非喫煙者 & 良識的な喫煙者」なので、反対派はまったくもってラウド・マイノリティです。

まあ私は東京オリンピックは返上してくれても構わんですが。国立競技場の立て替え問題一つにとっても後々に禍根と多大な維持コストを残してくれそうだし。でもせっかく競って決まったのだから他国並の禁煙条例ぐらいさっさと可決して懸案事項を減らした方が得策だと思うけど。

てなわけで今年の議会で法案が決まるかは解らないけど、遅くとも5年後までには東京、というか日本もようやく飲食店の禁煙化が実現することでしょう。

ちなみに下図は世界一受けたい授業2015年5月2日放送分の1シーン。

喫煙のリスク(世界一受けたい授業2015年5月2日放送)
喫煙のリスク(世界一受けたい授業2015年5月2日放送)
喫煙のリスク(世界一受けたい授業2015年5月2日放送)
喫煙のリスク(世界一受けたい授業2015年5月2日放送)

だそうです。受動喫煙はストレスも伴いますしね。