東京はやっぱり狂ってる

wordpress-logo今年11月、築地市場が豊洲に移転します。問題山積みらしいけど。

なお、築地の跡地は五輪まではバスターミナルとして利用し、その後にスタジアムやショッピングモールに再開発する建設計画がていますね。なんと愚かしい。スポーツ報知が報じたってことは巨人軍も東京ドームから移転させたいのか。

でもその頃の東京圏には後期高齢者が175万人増加しており、65歳以上の人口が26%も占めると予想されています。まあ足らないからとわざわざ銀座に介護施設を作る必然性は薄いので商業的な再開発自体は否定しないけど、大規模な介護施設はどこかには建てなきゃいけないわけで、もっと先に検討することがあるはずなのに。

結局、商業効率が最優先で金儲けには熱心だけど福祉はそっちのけ。こんなことだと団塊世代が皆後期高齢者となる2025年頃の東京圏では介護離職者が大勢出ていることでしょう。

東京消滅

東京消滅―介護破綻と地方移住

増田寛也元岩手県知事の新著『東京消滅―介護破綻と地方移住』を読みました。人口統計などに関するデータを元に分析されており、2025年後には東京圏で介護破綻が始まるのだそうな。由々しき事態です。

とは言え、ちょっと論理的におかしいと思う箇所もあります。何だか東京圏の高齢化問題を、どうにかして地方の問題に拡大解釈しようとしているような。

例えば表紙をめくった折り返し(ONE PIECEなら尾田栄一郎さんのジョークが載っているところ)にはこのようにあります。

若者の集まる街、東京。そんなイメージは過去の物になるだろう。2015年から25年にかけて、東京圏では75歳以上の高齢者が約175万人増加する。東京圏には医療・介護施設が不足しており、将来、介護施設を奪い合う事態になりかねない。地方の介護人材がさらに東京圏に集中すれば、「地方消滅」に拍車がかかる。東京発の日本の危機を脱するため、地方への移住を含めた解決策を提言する。鎌田寛氏らとの対談も収録。

途中までは良いけど「地方の介護人材がさらに東京圏に集中すれば」って前提がおかしいでしょうよ。そもそも低賃金の介護士は不人気職業なのだし、その担い手に地方の人材を見込まれてもなぁ。

また、ページiiにもこうあります。

東京圏における後期高齢者の急増は、東京圏における介護人材の需要を著しく高めるが、東京圏だけでその需要を満たすことは不可能に近い。仮に、地方から介護人材を得ようとすれば、これまで以上に大量の若者が地方から流出することになり、結果「地方消滅」が一気に加速する。東京圏の高齢者問題は、地方の存続をかけた問題でもある。

これにも疑問。「東京圏だけでその需要を満たすことは不可能に近い」という理由はP.21に書かれていて、もちろん土地の制約です。東京圏は地価が高いし、そもそも入手可能な土地が少ないから。でも、どうにかして待遇を上げて地方から介護人材を集めようにも受け皿がなくては無理なので、やはり施設の拡充が専決事項。それが解決しない内は「東京圏の高齢者問題は、地方の存続をかけた問題でもある」はずがなく、単に東京圏が介護破綻するだけです。

そしてP.26にはこうも書かれています。

一方、地方の一部地域では、近い将来、高齢者人口も縮小する中で医療・介護需要が減少していくことが見込まれており、地域雇用を担ってきた医療・介護分野の縮小により、人材の東京圏への流出に拍車がかかるおそれがある。

でも、これも穿った見方です。そもそも地方で介護をやっている人は実家があったり家族がいたりしてその地に愛着があるから低賃金でも働けるのであって、「お前ら職に溢れたんだから東京圏に来て介護しなさい」なんて誘いにはおいそれと乗れません。何とか地元に残る手段を探すか、東京に出るにしても家族を養えるように介護よりも待遇の良い別の仕事を探すことでしょう。今後は様々な業種で人手不足が起こるのだし。

増田氏は以前に『地方消滅 東京一極集中が招く人口急減』を出したものだから、強引でも地方が消滅する方向に話を持っていきたいのでしょうかね。元岩手県知事といっても東京都出身だし。

なお、彼は日本創生会議の座長でもあり、「東京圏高齢化危機回避戦略」として高齢者の地方移住を提言しました。一部から「姨捨山」などと揶揄されたあれです。そりゃそうでしょう。名指しされた地方にしてみれば「東京圏の尻拭いのように、要介護高齢者を押し付けられても…」って気にもなります。これまで地方の過疎化、高齢化を尻目に一極集中の恩恵をさんざん享受しておきながら、いざ東京に危機が迫ってきたら地方にも分担させて希釈しようという魂胆が透けて見えるので。つまるところ彼はどこまでいっても東京目線、東京優先の人なのでしょう。

ちなみに私の予想は増田氏の言い分とは逆です。いや、東京の介護破綻は確実に起きるけど、それで地方が消滅することはなく、むしろ急速に暮らしにくくなった東京圏に見切りをつけて地方に本社を移す企業や東京を避けて起業する人がポツポツ出てくるのではないかと。そう、率先して移住するのは要介護の高齢者ではなく主に現役世代とその家族です。誰だって希少な医療機会を高齢者と奪い合うような生き方はしたくないだろうから。他にも保育所が足らない待機児童の問題もあるし。

とはいえそうして移るのはほんの一部。潤うのも中堅都市の中心部ぐらいだろうけど。

東京の繁栄は続かない

12月12日、NHKスペシャル「私たちのこれから Our future #介護危機」が放映されました。

NHKスペシャル 2025年 "大介護時代" がやってくる!
NHKスペシャル 2025年 “大介護時代” がやってくる!

団塊の世代が75歳を越える2025年、後期高齢者の数が2,200万人に膨れ上がるそうな。それにつれ以下のような問題が湧き上がるとのこと。

  • 要介護認定者が現在の614万人から826万人に増加する
  • 介護費用も10兆円から21兆円に増加する
  • 介護人材が38万人不足する

拙いですね。未来予想の話は外れることも多いけど人口統計に基づいたものは確度が高いし。残念ながら番組でも具体的な解決案は示されませんでした。まあ、そうでしょうね。

他方、その頃の東京圏では医療・介護のキャパシティが大幅に足りなくなるという予測があります。新設しようにも土地の確保などが難しく、なかなか解決できそうにないので、日本創成会議では高齢者の地方移住を提唱しました。

これ、ともすると高齢者の問題と捉えられがちだけど、そうではありません。例えばこんなことが起こるわけです。

  • 体調が悪くなり医者にかかろうにも、どこの病院も高齢者でいっぱい

そうなると現役世代や子供達にも直接の影響が及びます。

他にも都市の高齢化によって東京圏では以下のような状況が出てきます。

  1. 税収が減る
  2. 現役世代の社会保障負担が増える
  3. 介護離職する人が増える
  4. 消費活動が低調になる
  5. 利用者の減少で電車の運行本数が減り運賃が上がる
  6. 街のインフラ維持が行き届かなくなる
  7. 労働者の減少と不動産余りから老朽ビルなどがスラム化する
  8. 住宅向け不動産の流動性が失われ、売ろうにも売れなくなる
  9. 一等地以外の地価が下がる
  10. 高齢ドライバーによる交通事故の件数が増える(自動運転が実現していない場合)
  11. 高齢者向けビジネスばかりが増える

このような理由から、転居が可能な人や福利厚生を重視する企業の中には東京脱出組も出て来るでしょう。場合によっては大学なども続きます。誰も老人と医療機会を取り合うような生活はしたくないだろうから。

まあそうは言っても東京は相変わらず日本の政治・経済の中心なので、営業拠点だけ東京に残して本社を地方に移すパターンが増えるのかもしれません。

戦後政府は東京に国内の企業を集約し、地方から労働力をかき集めた人口ボーナス効果で発展してきたけど、その反動です。本来なら地方で生涯を終える人がことごとく東京圏で老いていくいくという。

残念ながら対策はありません。高齢者を排除することも、若い世代を数十万人規模で増やすこともできないので。やれるのはせいぜいインバウンドの来日客を増やして経済的な痛みを和らげるくらいでしょうか。

よって私も10年以内に九州に帰るか、フィリピンあたりに移住したいと思っています。間違っても東京圏に家を持とうなんてことは考えません。「思い切って35年ローンでマンションを購入したけど資産価値は激減。10年後にその半値で買った人が隣の部屋に越して来た。こちらはまだ利息分を返しているのに…」なんてことは往々にしてありそうだし。

マイナンバーへの疑問

マイナンバーの通知がようやく私の元にも届きました。番号は特に面白い並びでもなく、まあこんなものかなと。

私はマイナンバーには肯定的で、プライバシーやらのデメリットよりも、富裕層の課税対象を正確に補足したり貧困層への生活保護の受給基準の明確化といったメリットの方が大きいと思うのだけど、そうはいっても、この先は様々なトラブルが発生するのでしょうね。

そこで思うのは「なぜこれを国中で一斉にやるんだろうか?」という疑問。例えば国家公務員(100万人)とか公務員(400万人)で先行導入して、各種システムがそこそこ枯れてから全国民規模で実施すればいいのに。

下手するとかつての住基ネットみたいに莫大な税金を投じて大々的に導入したものの、企画倒れでほとんど活用されないなんてことになりかねないので。

東京のアキレス腱

小田急電鉄のロゴ今日の夕方、新宿から新百合ヶ丘に帰ろうとした際、小田急線が運休してました。新百合ヶ丘駅で線路の点検が発生したのだそうな。しばらくたつと復旧したものの、おかげでノロノロ運転の満員電車に乗るはめに。これ、東京のアキレス腱ですね。

昨今、世界のあちこちでテロが勃発しています。そしていつぞやの安倍総理の外交上の失言もあって、いつかは日本でもISの手の者によるテロが発生するかもと言われています。さすがに日本で銃の乱射事件が可能とは考えにくいので、テロリストはきっと鉄道を狙ってきます。

思い起こされるのは今年の7月、低年金を逆恨みした老人が新幹線で焼身自殺した事件。もしテロリストが自爆覚悟なら、鉄道に乗って走行中にプラスチック爆弾を起爆して大惨事を引き起こすなんてことは簡単でしょう。

ひょっとしたら新幹線には手荷物検査や巡回警備員を配備できるかもしれないけど、小田急みたいな基幹路線では無理。例えばテロリストがJR山手線や中央線、あるいは私鉄の各線に分散して複数件の爆破テロを引き起こそうものなら日本中パニックになり、都市機能が麻痺しますよね。それこそ地下鉄サリン事件どころじゃないほどの恐怖が巻き起こされるでしょう。

もしくは…。いや、これ以上書かないことにします。そんな感じのテロが起きたら私も容疑者になってしまうし、それを望んでいるかのように思われるのも不本意だから。

でも何というか、東京圏一極集中は、やっぱ拙い状態なのだと思います。