凄い時代になったものだ

私も愛用しているNauticamから凄いハウジングが発表されました。Panasonic LX-100用です。Fisheyeのページにも掲載されていますね。

NAUTICAM NA-LX100

LX-100は4/3インチという大型センサーを搭載し、4K動画も撮れる最強クラスのコンデジ。そしてそのハウジングも最強の仕様で登場しました。筐体左側のマニュアルフォーカス用ダイヤルは使いやすそうですね。

そして何よりも画期的なのはレンズポート交換式であること。コンデジ向けハウジングとしては初でしょう。正確にはレンズポートの筒部分はハウジング筐体に一体成型されていて、前面パーツをスタンダード(フラット)・ショート・ドームのどれかに交換できる仕組みです。

NA-LX100 レンズポート

従来のハウジングで魚眼の絵を撮る際には、ハウジング本来のレンズポートとドームポートの二重構成になるため明るさは微妙に損なわれ、画質もいくらかは劣化します。でもこのハウジングなら1枚なので有利です。

差し当たりスタンダードポートとドームポートは中層の動画撮影に、ショートポートはマクロ撮影に向いていそうです。でもそれは一般論で、ワイドマクロなど創意工夫の余地も大。一台のコンデジで様々な撮影シーンに対応できます。

撮影動画はこちら。フラットポート利用かな。

また、こちらのオプションを使えばスタンダードポート利用時にいつでもマクロコンバージョンレンズを装着できます。

25107 M67 Flip Diopter Holder for NA-LX100 Standard Port

これならフラットポートの画角を損なわず、マクロレンズを一瞬で着脱可能です。素晴らしい。

ハウジング(ワイドポート仕様)の価格は¥158,000。カメラの実売価格が9万円前後だから、一眼レフ用のハウジング代以内でカメラとハウジングが揃いますね。良いんじゃないでしょうか。私も本格的なビデオ撮影をしたくなれば買いたいところです。

Nauticamは正月休み

Nauticam スーパーマクロコンバージョンレンズSMCの性能を試したいので、日本の販売代理店であるFisyeyeに「東京近郊で触れるお店はあるか?」と問い合わせたところ、「まだ出回っていない。しかも香港のNauticamは旧正月のお休み中」だそうな。発売から1ヶ月以上経っているのになぁ。

Nauticam スーパーマクロコンバージョンレンズSMC-1

私はINONのクローズアップレンズを2枚持っているのですが、こちらの写真を見せられるとがぜん欲しくなりますよね。

でもNauticamは以前、旧正月の休みが明けたら工場スタッフが出社してこなかったなんて逸話があるんだよな…。

重っ

直近のダイビングの予定も立ってないけど、やっぱりこのレンズが欲しいです。Nauticam スーパーマクロコンバージョンレンズSMC-1 。

Nauticam スーパーマクロコンバージョンレンズSMC-1

あと一ヶ月もすれば葉山でもダンゴウオの幼魚が見られるはずだし、マクロレンズを装着した一眼レフカメラであってもゴマ粒大の生物を写すには高倍率のマクロコンバージョンレンズが必要だから。

葉山のダンゴウオの幼魚
去年撮った2mm級のダンゴウオ。 うねってる中では、トリミングなしでこのサイズに撮るのが精いっぱいでした。 もっと大きく写したいよなぁ

ただしSMC-1 のスペック表を眺めていたら気になる点が。重量が463gもあるのですね。ちなみにINONのUCL-165M67は140g。2枚重ねてもNauticamより180g軽いです。SMC-1に置き換えるとまたカメラセットの重量が増えてしまうわけだ。

やっぱ物欲に任せて安易に飛びついちゃいかんですね。先ずは手持ちのUCL-165M67 + UCL-330よりも目に見えて効果的であることを確かめないと。そろそろ販売店の店頭にも並び始めただろうか。

ミラーレス水中カメラの本命

CanonのミラーレスカメラEOS M用の水中ハウジングがNauticamから発売されたようです。

 

NA-EOS-M
NA-EOS-M EOS M用ハウジングはEpoq社も今年のダイブビズショーでアナウンスしていたけど、あの会社は信頼がおけないのですよね。かつて水没するハウジングを売っておきながら、修理に出すと「検査してやるから検査代をよこせ」と迫ることもあったらしいので。メーカー保証の概念すら理解していないのでは?

さて、Canon EOS Mですが、実は私は水中ミラーレスカメラの本命だと考えています。なぜなら最も総合点が高いから。さすが大手最後発ですね。

また、Nauticamの水中ハウジングも絶妙な仕様。マウントアダプタを使うことで一眼レフ用のCanon EF-S 60mm f2.8 Macro USMとCanon EF 8-15mm f/4L Fisheye USMという二つのレンズが利用可能です。

私見では、水中撮影に向いた交換レンズはマクロレンズとフィッシュアイレンズのみ。あとはせいぜいワイドレンズ(35mm判換算でも20mm未満)が加わる程度です。だとするとEOS MのキットレンズであるEF-M18-55㎜ F3.5-5.6 IS STM(35mm判換算28.8mm〜)とEF-M22㎜ F2 STM(同35.2mm)はどちらも不適当。もちろん写真が撮れなくはないけど、大して寄れず、かといって画角が狭くダイナミックさも乏しい面白みに欠けた写真にしかなり得ません。

でも、マクロレンズとフィッシュアイレンズが揃っているミラーレスカメラは少ないのですよね。先行したマイクロフォーサーズ(Panasonic & Olympus)にはどちらもありますが、マイクロフォーサーズはセンサーサイズが小さいので、APS-C(SONY or Canon)よりも画質やボケ味の面で不利になります。

SONY のα NEXシリーズもやはりマウントアダプタを介して一眼レフ用のαレンズが使えます。しかもNEXはCanon Mよりも微妙に大きなセンサーを搭載しているので良さそうに思えますが、悲しいことにαレンズは非インナーフォーカス仕様。レンズのフォーカスリングを回すとレンズの長さが変わってしまうため水中撮影には向きません。NEX用のマクロレンズ(30mm、35mm判換算45mm相当)はあるもののフィッシュアイレンズはなし。超広角レンズSEL1018は水中でもそこそこ使い出がありそうですが。

ということで実用的かつ画質面でも有利なマクロレンズとフィッシュアイレンズが使えるEOS Mが最も有力な水中写真用ミラーレスカメラということになります。

欲を言うと、高精細EVF搭載モデルを待ちたいところですが。気合いを入れて写真を撮る際は、やっぱファインダーを覗きたいですよね。

超・初心者向けデジイチ水中写真入門(5) 使えるレンズの見分けかた

私のダイビング仲間の一人がOlympus OM-Dの購入を検討中です。ゆくゆくは水中ハウジングも買って水中写真にも使いたいとのこと。どうやらお得なダブルズームレンズキットに魅かれているようです。でもこのレンズキットって存在は案外曲者だったりします。

OM-Dのダブルズームキットに付いているレンズは以下の2本。

  • Olympus M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6II R
  • Olympus M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6R

スペックを比べるとこの通り。ここでは水中撮影用で特に重視すべき点だけを抜き出してあります。

  M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6II R M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6R
最低撮影距離 25cm 90cm
最大撮影倍率 0.19倍 0.16 倍

まず、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6R(上の表の右側)は水中ではまったく使い物になりません。なにしろ最低撮影距離が90cm、それ以内ではピントが合わないということです。そして90cmというと、よほど透明度が高い海でもなければストロボ光が減退して届きにくくなる距離。そもそも海の中では遠くはどうしても青く不鮮明になります。よってこのレンズでは何を撮っても楽しくないはずです。既製の対応レンズポートもないでしょう。

もう一方のM.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6II Rは使えなくはないものの、14-42mmを35mm判に換算すると28-82mm相当。そう、今どきのコンデジと同じような画角です。しかも25cm以内(レンズの先からは約20cm)はピントが合いません。よって小さなウミウシやカエルアンコウの幼魚、ダンゴウオなんかを撮るには微妙です。

もちろんコンパクトデジカメ(Canon PowerShot G1 Xを除く)よりはセンサーが大きいため画質面では有利だとしても、コンデジの水中セットの方が圧倒的にリーズナブル。しかもコンデジにはマクロモードもあります。

つまりこのダブルズームキットの2本のレンズは「まったく水中向きではないレンズ」と「ミラーレスにしたメリットがないレンズ」の組み合わせということです。

もっとも陸上で使うのが主目的で、水中では何となく撮れればいいってことなら構わないのですが、それにしては値が張りますよね。カメラ、レンズ、水中ハウジング、レンズポートの4点セットは20万円を超えちゃうわけで。だったら水中用には別途コンデジの上位機種を買い、OM-Dは陸上用に留める方が良いいかと。

もし、マクロ重視なら現時点ではCanon PowerShot S100がお勧めです。対応する水中ハウジングも知る限りで4社から発売されています。

ちなみに私がとりわけ水中撮影に向いていると思うマイクロフォーサーズ用レンズは以下の2本。

  • Panasonic LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm
  • Panasonic LUMIX G FISHEYE 8mm F3.5
  LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm Panasonic LUMIX G FISHEYE 8mm F3.5
最低撮影距離 15cm 10cm
最大撮影倍率 1.0倍 0.2倍

どちらも最低撮影距離が近く(ストロボ光が十分に届く距離まで被写体に寄れる)、かつコンパクトデジカメでは撮れない絵を写し出してくれるので。

ああ、そうだ。ズームレンズの14-42mmとマクロの45mmでは似たような焦点距離の数字が付与されているので、初心者は何となく「どちらも同じように写せるんじゃないか」「42mm側にズームをかければマクロに近い絵が撮れるよね?」と思うかもしれません。私も最初はそうでした。でも違うのですよね。

この場合、重要なのが最大撮影倍率。MACRO-ELMARIT 45mmが1.0倍なのに対して14-42mm F3.5-5.6II Rは0.19倍。早い話がズームレンズだと被写体がマクロレンズのときの1/5以下の大きさにしか映らないわけです。クローズアップレンズを外付けすれば焦点距離を短くしつつ拡大率を上げられますが、それでもマクロレンズの拡大率と使い勝手の良さには追いつきません。よってマクロ写真が撮りたければマクロレンズを選ぶべきです。

それともう一つ。コンデジのマクロモードには範囲が設定されていて被写体から離れるとピントが合わなくなりますが、一眼のマクロレンズにはそれがありません。手前から無限遠までピントが合うので、接写だけでなく人物のスナップを撮る用途なんかにもけっこう有益です。

それでもズームレンズが好みなら以下の2本はまあ悪くはないかと。

  • Panasonic LUMIX G VARIO 7-14mm F4.0 ASPH
  • Olympus M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
  Panasonic LUMIX G VARIO 7-14mm F4.0 ASPH Olympus M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
最低撮影距離 25cm 25cm
最大撮影倍率 0.08倍 0.10倍

どちらもコンデジにはない画角を持っているので。 あれこれ長くなりましたが、水中撮影ようにレンズを選ぶときは以下を目安にすると良いでしょう。

  • マクロ指向なら迷わずマクロレンズ
  • ワイド指向ならコンデジにはない画角のレンズ(35mm版換算で20mm未満が目安)

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