東京の繁栄は続かない

12月12日、NHKスペシャル「私たちのこれから Our future #介護危機」が放映されました。

NHKスペシャル 2025年 "大介護時代" がやってくる!
NHKスペシャル 2025年 “大介護時代” がやってくる!

団塊の世代が75歳を越える2025年、後期高齢者の数が2,200万人に膨れ上がるそうな。それにつれ以下のような問題が湧き上がるとのこと。

  • 要介護認定者が現在の614万人から826万人に増加する
  • 介護費用も10兆円から21兆円に増加する
  • 介護人材が38万人不足する

拙いですね。未来予想の話は外れることも多いけど人口統計に基づいたものは確度が高いし。残念ながら番組でも具体的な解決案は示されませんでした。まあ、そうでしょうね。

他方、その頃の東京圏では医療・介護のキャパシティが大幅に足りなくなるという予測があります。新設しようにも土地の確保などが難しく、なかなか解決できそうにないので、日本創成会議では高齢者の地方移住を提唱しました。

これ、ともすると高齢者の問題と捉えられがちだけど、そうではありません。例えばこんなことが起こるわけです。

  • 体調が悪くなり医者にかかろうにも、どこの病院も高齢者でいっぱい

そうなると現役世代や子供達にも直接の影響が及びます。

他にも都市の高齢化によって東京圏では以下のような状況が出てきます。

  1. 税収が減る
  2. 現役世代の社会保障負担が増える
  3. 介護離職する人が増える
  4. 消費活動が低調になる
  5. 利用者の減少で電車の運行本数が減り運賃が上がる
  6. 街のインフラ維持が行き届かなくなる
  7. 労働者の減少と不動産余りから老朽ビルなどがスラム化する
  8. 住宅向け不動産の流動性が失われ、売ろうにも売れなくなる
  9. 一等地以外の地価が下がる
  10. 高齢ドライバーによる交通事故の件数が増える(自動運転が実現していない場合)
  11. 高齢者向けビジネスばかりが増える

このような理由から、転居が可能な人や福利厚生を重視する企業の中には東京脱出組も出て来るでしょう。場合によっては大学なども続きます。誰も老人と医療機会を取り合うような生活はしたくないだろうから。

まあそうは言っても東京は相変わらず日本の政治・経済の中心なので、営業拠点だけ東京に残して本社を地方に移すパターンが増えるのかもしれません。

戦後政府は東京に国内の企業を集約し、地方から労働力をかき集めた人口ボーナス効果で発展してきたけど、その反動です。本来なら地方で生涯を終える人がことごとく東京圏で老いていくいくという。

残念ながら対策はありません。高齢者を排除することも、若い世代を数十万人規模で増やすこともできないので。やれるのはせいぜいインバウンドの来日客を増やして経済的な痛みを和らげるくらいでしょうか。

よって私も10年以内に九州に帰るか、フィリピンあたりに移住したいと思っています。間違っても東京圏に家を持とうなんてことは考えません。「思い切って35年ローンでマンションを購入したけど資産価値は激減。10年後にその半値で買った人が隣の部屋に越して来た。こちらはまだ利息分を返しているのに…」なんてことは往々にしてありそうだし。

ローガンズの友

跳ね上げ式のメガネを買ってみました。

跳ね上げ式メガネ

人も半世紀近く生きていれば体に変調をきたすようになります。例えば老眼とか。近いところの文字が読めなくなるあれです。

ちなみに一部のダイバーの間では老眼になった仲間を「ローガンズ」と称しています。最近では海でマスクの上から老眼鏡をかける中高年ダイバーもちょいちょい見かけるようになりました。

視力の良い人が老眼になったら老眼鏡を使うことになるけど、近視の人が老眼になった場合はメガネやコンタクトレンズで矯正した時に近くに目の焦点が合わなくなります。私もそうです。メガネを外してしまえば近くの文字も難なく読めるのですが。

でも、さすがに裸眼で生活するわけにはいかないので、近視の人は遠近両用メガネを使うのが定番です。遠近両用コンタクトレンズなんてのもあるけど通常のレンズよりも高価。

よって私もメガネ屋で遠近両用メガネを試させてもらったけど、レンズの下の方を通して近くを見る方法は好きになれません。

そこで代わりの方法として見つけたのが跳ね上げ式メガネ。近くの文字を読む時にレンズだけ跳ね上げるわけです。これで手元の文字を読む際に、いちいちメガネを外したり、ずらして額に乗っけたりする必要がなくなります。

なお、このメガネはめがねおーというお店で買いました。レンズをUVカットと撥水高価ありに交換して、合計21,578円です。

炭水化物は痩せるの?太るの?

世界一受けたい授業の7月25日放送分の録画を見返してみました。

注目は京都大学の森谷敏夫先生(65歳で体脂肪率9.8%)による『痩せたければ炭水化物を食べろ!!』というコーナー。近年の世間的な固定観念とは真逆の理論ですよね。

痩せたければ炭水化物を食べろ
世界一受けたい授業2015年07月25日放送分より

なんでも炭水化物抜きダイエットで体内から減るのは脂肪ではなく水分だそうで。

摂取した炭水化物の糖質は体内で4倍の水分と結合し、グリコーゲンとして筋肉に貯蔵されるとのこと。逆に炭水化物を抜くと脳に必要な糖質が不足するため、筋肉中のグリコーゲンが糖質と水に分解され、糖が脳の栄養として使われて水分が対外に排出されるらしいです。

よって炭水化物抜きで減らせるのは体脂肪ではなく水分。それどころか筋肉は痩せるのに脂肪は変わらないので隠れ肥満になるのだとか。

なるほどライザップのあれは2ヶ月間の炭水化物断ちで体脂肪を減らすのではなく、体から水分を絞り出すことで痩せさせるということなのか。霜降り肉からサシが減るのではなくジャーキーになる感じかな。まあ実態がどうであれ見栄えのする体が欲しい人もいるだろうから、それもありでしょう。

でも体内の水分が減れば水圧に弱くなりますね。普通の人には関係ないけど我々ダイバーにとって炭水化物抜きダイエットはリスキーかな。ダイエット前よりもスクイーズを感じるのは確実だし、ひょっとしたら冷えやすくなったり窒素酔いしやすくなるかも。

なお、番組では同じカロリーでも炭水化物を多く食べた場合と少し食べた場合の体温変化を双子の俳優で実験していました。

炭水化物は発熱しやすい
世界一受けたい授業2015年07月25日放送分より

結果は炭水化物を多く摂った方が体温が上がるようです。痩せたければ炭水化物を食べろという根拠ですね。

とは言え炭水化物も余計に食べれば太るのは明白だから、ちゃんと痩せるには適度に食べなければいけません。ちいと困った。炭水化物を抜くのは簡単だけど、適量を見分けて余計に食べないようにするのは食いしん坊には難しいところです。

最後に森本先生がお勧めするダイエットは「日常生活の中で何気ない動き(NEAT *)を増やせ」だそうな。ティッシュの箱はあちこちに置かずに必ず歩いて取りに行くとか、テレビのリモコンを使わないとか。

* NEAT:Non Exercise Activity Thermogenesis

安保法案が徴兵制に結びつくロジックの飛躍

wordpress-logo護憲派からも改憲派からも何かと評判の悪い安保法案ですが、ついに高校生までが国会前で反対デモを起こすに至りました。何でも「これが後々の徴兵制に結びつくのではないか?だとすれば戦地に行くのは我々若い世代だ」とばかりに。裏で誰かが糸を引いて吹き込んでいる気がしないでもないですが。

徴兵制については安倍総理以下、与党や安保法案に賛成の人のほとんどが「あり得ない」と答えます。「本人の意に反した苦役は憲法に反する」「現在の紛争地活動で徴収兵は足手まといだ」と。まったくその通りでしょう。

ひょっとしてデモ参加者はイラク戦争以降のアメリカで「大学に行くために軍に入る」という若者がたくさんいることから連想しているのでしょうか。

でも自由と平等の国とも言われるアメリカは実はガッチリした階級社会であり超学歴社会。下層の家庭に育った人が上に食い込むには高い学歴が必要になります。

日本顔負け。アメリカの「超学歴社会」
日本人はなじめない、アメリカの超学歴社会

対して日本社会で階級を意識することはないし、学歴がどうしようもなく重視されるって感じもありません。もちろん新卒で競争力の高い有名企業等に就職したければ必要条件になるけど、大学に行かなければ人生に明るい展望が開けないわけでもないですよね。

中には大学で「好きな分野の学問を修めたい」「あの分野の研究者になりたい」といった思いの人もいるでしょうが、いったん社会に出てから夜間大学に通うという選択だってあるし、学位目的でなければネットで有名大学の良質な抗議を受講できたりもします。

つまり、日本では韓国みたいな制度的な徴兵もアメリカのような貧困層を見込んだ経済的徴兵もあり得ません。望まない人が戦地に駆り出される可能性はゼロです。

集団的自衛権の行使によって先々自衛隊がどこかの紛争地で米軍の後方支援を行って恨みを買い、国内でテロを起こされてしまう可能性もなくはないけど、直近の驚異は中国が南シナ海を支配下に置き、遠からず尖閣を含む沖縄もかすめ取ろうとしている点です。国防のために自衛隊の強化、重武装化が叶わないなら米軍との連帯感を強めるのは理に適っている話です。私はそれには憲法改正が前提であるべきだと思いますが。

結局のところ、あのデモ参加者達は短絡的な連想のデマで安保法案成立を阻もうとしているだけだと思います。オカルトや偽科学に似た、それっぽく思えるだけの。

行動力は評価するので、せっかくデモをやるんなら、「確かに一理あるよな」と言わせるような、もっと説得力のある論理で臨んでもらいたいものです。

第2子以降の保育継続をさいたま地裁が却下した件に思う

wordpress-logo先日、埼玉県所沢市にて、第2子を出産した母親が育児休暇を取ったら保育園に預けている第1子を退園させられることになりました。母親らは退園の差し止めを求めたものの、さいたま地裁は却下したそうな。

まあ、法律に従えば当然ですよね。それによって待機児童が一人、保育の機会にありつけるのだし。でも、その背景にあるのは都市計画の破綻。市に保育の受け入れ余力さえあれば、このような事態にはならなかったのだから。

これを東京圏と地方の構図と重ねて見ると、さらに問題が浮き上がってきます。これまで東京圏は地方から労働力をかき集めることで繁栄してきました。おかげで地方は人口流出が続いています。かつて国内第二の大都市だった大阪ですらそう。東京圏の繁栄は地方の衰退と背中合わせなわけです。

ならば東京圏の各自治体は膨れ上がった人口規模に見合った社会サービスを提供するのが責務。日本創成会議の「高齢者の地方移住」という提言もそうだけど、待機児童やら医療・介護の不足が顕著になること自体、どうかしています。政治、行政のお粗末さの結果でしょう。

財源がないと言うかもしれないけど、そもそもそれが間違い。だったら住民税率を上げてでも必要なサービス水準を確保するべきです。東京は地価が高いのだから、そこで社会的なサービスを受けるための税負担も大きくなるのは必然でしょう。なのに住民税率は全国でほぼ10%に統一されています。横浜や川崎はそれよりも微妙に高いのですが。

逆に言えば、人口が圧倒的に少ない地方と住民税率が変わらないのだから、東京圏で保育やら医療・介護の受け入れ能力が足りないのは当然の結果。新たに施設を造ろうにも相応しい土地を見つけるのが難しかったり、金額が予算に見合わないことが多くなるので。

日本の社会は「低負担・高福祉」とも言われるけど、そんな虫の良い話がまかり通るわけがなくて、そのしわ寄せを子育て世代の家庭や医療・介護を必要とする高齢者に押し付けて綻びが見えづらくしているだけです。オフィスは歓迎だが、保育園や介護施設にお金は回さないとばかりに。

よって地方都市の住民税が10%なら、東京の外郭都市は12%、23区内なら15%といった感じのグラデーションがあって然るべきでしょう。そうして得た財源を元に社会サービスの拡充を目指す一方で、無謀な人口流入も抑止すると。都心の住民税が上がれば地方に本社を移転したり、あえて地方で起業する会社も増えて、次第に人口規模と社会サービスとのバランスがとれていきます。

東京都と隣接三県の人口はこの国の約3割。その内の都心部とその近隣都市で住民税率が上がればインパクトは大きいけど、負担が増える一方で待機児童問題が改善されれば母親も働きに出られるし、高齢者が医療・介護の機会を求めて知人もいない地方に移り住む必要はなくなります。よりよいサービスを得るためには甘受すべきコスト増ではないでしょうか。

ちなみに石原慎太郎元東京都知事は新たな財源確保策として近隣県から東京都内に通勤している人から税金を取る案を主張しています。なんでも東京都に住民税を払わないのに東京都内の社会サービスを享受しているからだと。でも、それはダメですね。だったら東京都が得ている法人税の内、近隣県からの通勤者が貢献した分を県にも分配しろという話になるから。でなければ都内の会社は都民しか雇ってはいけないことにしてもらわないと。

それに近年は非正規雇用や派遣労働などの低所得者も増えたため、このままなら東京圏はいずれ「家も貯金もない下流老人の掃きだめ」と化します。それもほんの20年後かそこらの近未来に。地方の疲弊を尻目に勝ち組だったはずの東京圏が大都会とスラムが混在する途上国の首都みたいに変貌しないとも限らないわけです。

その観点でも、今や東京圏の都市計画を真剣に考え直すべきギリギリのタイミングに来ていると思います。