ePubねぇ…

私もIT業界人の端くれなので、いわゆる電子書籍ブームにはアンテナを張っています。差し当たり流通のための主要フォーマットは三種類。

  • ePub
  • PDF
  • アプリケーション

大ざっぱに分ければ、ePubが文芸書、PDFが雑誌、アプリがインタラクティブですね。そして自身のビジネスチャンスという観点から見るとePubに目が行きます。なにしろPDFは利用ツールと作り方がほぼ決まっていますし、アプリは企画開発品なもので。

AppleがiBooksに採用したことで一気に認知度が上がったePub。半年前、私もePub制作ツール、具体的にはワープロ類の開発を本気で検討していたのですが、ePub規格の実情を知れば知るほど戸惑いが大きくなってきました。当初見込んだ複雑な表現が何もできないのですよね。本当にテキストと挿し絵程度のものにしか使えない感じだったので。

ならば、ePub制作用ワープロなどという代物に需要があるのかは疑問です。書籍を送り出したい人々は「ePubが作成できる新たな何か」ではなく、使い慣れたワープロなりテキストエディタで作品を書いてから、何らかの手段でePub化する方法を好むのではないかと。要するに新たな製品はWordに代表される定番アプリと張りあう必要があるわけです。Wordが良いツールだとは私には到底思えないのですが、それでも到底勝ち目のない勝負のように感じられます。

Pagesのアイコンさて、ePub生成機能を備えたツールとしてはInDesignやSigilが有名ですが、ここにきてPagesもその機能を持つに至りました。Word向けにもePub生成機能を追加するプラグイン製品が出ていますね。フリーのツールもわんさかリリースされています。HTML→ePub化やバリデーションを提供するWebサービスなどは既にあるか早々に登場しそうな気がします。あるいはHTML同様「仕上げはやっぱり手打ちでなければ」ということになるのかも知れません。

もはや電子書籍への流れは止まりませんし、ePubそれ自体は爆発的に広まるでしょう。腕の立つ編集者なら形が紙からePubに変わろうとも活躍の場を得られるはずです。オンライン書店もそれなりに賑わうかも知れません。でも、それに乗っかってePub関連製品で一山当てるなんてことは難しそうだというのが私の現時点での見解です。それこそ開発に一千万円かけて売り上げは500万円がやっとみたいな話に終わりそうだと。それでもiPadの発売間もない6月ごろにリリースできれば、物珍しさや先頭ランナーとして一定のプレゼンスが得られる可能性も考えられたのですが。

もっとも、ePubにチャンスが無いといっても、どこかの業界団体がやろうとしているように日本独自フォーマットで囲い込もうなんて話はもっとナンセンス。確かにAppleやGoogleと同じ土業での戦いを避けたいのは解らなくもないですが、こちらはガラパゴス化にすらならず、早々に絶滅に追いやられる可能性が高かろうと。

驚くべき新製品は発表されたのだろうか?

昨夜(厳密に言うと今日)はうとうとしながら午前2時からAppleの新製品発表会のストリーミング中継を見ました。感想は「あれっ?それだけなの?」。どうにも拍子抜けした感じで。

今回、久々にApple自身が中継を行う(かつてQuickTimeでストリーミングをサポートした頃にはやっていたような記憶があります)ということで、さぞ気合いの入った発表があるのだろうと踏んでいたのですが、フタを開ければ総じて当たり前の新製品ばかりだったなぁと。自社でのストリーミングは、それこそ新Apple TVサービスの実証実験を兼ねるのだろうと。

もちろんフルモデルチェンジとなったiPod、小さくなったApple TV(ケーブルを繋ぐとコケそうだ)、SNS対応を果たしたiTunesなど、どれも決して悪くないとは思うものの、ほとんど事前のリーク情報通りでしたし、この内容だと誰も驚かないですよね。

ってことは、まだタマは残してあるのでしょうかね。とは言えクリスマス商戦に投入するためには来月中には発表しておきたいところでしょうから、もうしばらくお財布に余裕を持たせながら待ってみることにしましょう。

PagesでePub出力が可能に

本日、PagesのアップデートでePub出力がサポートされました。iBooksがePubを採用している以上いずれそうなると予想はしていたものの、次期バージョンでの対応だろうと思っていたので意外でした。

Pagesのアイコン

それにしてもePubの作成ツール、いつの間にか増えましたね。ざっと挙げるとInDesign、Sigil、FUSEe、Calibre、ECUB、Word 2 ePub、Aspose.Words for Microsoft Word、Pagesなど。探せばまだまだたくさんありそうです。PDFをePubに変換するタイプとしてもStanzaや4Videosoft PDF ePub 作成なんてものが検索でヒットします。もちろん今風にWebサービスも見受けられます。

何というか、WinとMacの最有力ワープロでePubが生成できるようになったことで、日本ではまだ市場が立ち上ってすらいない内から、早くもこの分野は飽和状態のような気がします。そもそもePubとは圧縮やら文書構造の明示やらにややこしいルールがあるものの、本体は10年前のHTML生成ツールで事が足りそうな代物です。一応、CSS3を駆使すれば高度なレイアウトも実現できるとのことですが、それではePubに求められているものとは違ってくるような気がします。Pagesでもページレイアウトされた文書からのePub生成はできなくなっていますし。

私も独自のePub生成ツールの開発には興味があったのですが、もしこれから新たなePub生成ツールをリリースしようと思えば、それは「車輪の際発明」みたいな話になりかねませんね。実際にはInDesignにしろ何にしろ、車輪ほどの定番感、枯れ具合はないわけですが、それでも「タイヤは26インチよりも25.5インチの方が便利なはずだ…」みたいな、いかにも頼りない僅かな差違でもって差別化を試みなければならないかもしれません。ちょっと見込みが薄そうです。

iPhone 4の白はキャンセルされるのではという予感

iPhone 4の白モデル、一向に発売がアナウンスされませんね。待っている内に街で黒モデルをよく見かけるようになりました。

一説には白モデルの年内の発売はないだろうとまで言われています。でも、課題を解決できないまま向こう1~2ヶ月の内に確定情報が出せなければ、他ならぬAppleのことなので容赦なく発売自体をキャンセルしかねないのではと思えてきました。

ただし、それでは面目丸つぶれなので、新設計のiPhone 4.5的な製品を投入してくるやも。さしあたり最近の噂としては以下のような記事を読みました。

  • 年明けにはCDMA版が出るかも(Appleがチップを大量発注したらしい)
  • Appleが近距離無線通信技術の専門家を招き入れたらしい。いよいよお財布iPhoneか?
  • 来るiTVのリモコンにiPadが使えるらしい。ならばiPhoneも?

Apple関連の噂には裏付けのない願望が多分に含まれていることが多いので、どれもまったく当てにはならないものの、バンパーが最初から付いているぐらいでは消費者の失望感をかわすことはできないでしょう。

でもまあ特に2番目は、日本以外でのインフラが課題(方式が違えば日本でも整備し直し)なので、そうそう早くは実現しなさそうな気もします。いや、先に載せておいて「こんなことができる。さあみんなで取り組もうじゃないか!」という煽動はありかな…。

もっとも白モデルを無事発売できるようになれば、こんな弥縫策を取ることもないでしょうが。

日本通信、iPhone 4向けマイクロSIMよりも…

iPhone 4をdocomoの回線で使えるようにするサービスの詳細が発表されました。

確かに導入すれば通信エリアは改善するでしょうが、一方で速度は300kbpsかそこららしいので何とも痛し痒し。加えてSIMフリーのiPhone 4を入手する手間やサポート体制の不透明さを考慮すると私はあまり現実味を感じません。故障しても即時交換か、修理待ちの間、代替機を貸してもらえるぐらいの体制が整えば、そのときは改めて検討しましょう。

それよりも日本通信にはモバイルWi-Fiルータの方の注力に期待したいところです。例えば、iPhone 4向けのバッテリジャケットと合体させるとか。iPhone 4をセットしたまま一度にiPhoneとバッテリジャケットの両方に充電できれば、多少厚くなるにせよ見かけ上は単体で運用できるようになります。その上、専用クレードルが用意されればかなり便利そうです。