ePub日本語拡張仕様策定が事業仕分けを食らった件

11/16、新ICT利活用サービス創出支援事業が事業仕分けで予算計上見送りの判定を食らいました。ePub日本語拡張仕様策定なども水を差されたわけですが、まあ当然でしょうね。私もUstreamを見ていましたが予算要求する側の説得力が乏しかったので。もっとも事業仕分けには法的拘束力がないので実際に予算が付かないかは解らないのですが。

要求側の主張はこんな感じだったかと。

  1. 国が予算を付けなければ標準化は行われなず、日本で電子書籍のビジネスがシュリンクする
  2. 企業ごとにフォーマットが異なればコンテンツの囲い込みが進んで国民にとって迷惑
  3. 放っておけば3グループに分裂する状況

それって何なんだか。1や3は単に出版業界の足並みの悪さを嘆いているだけですし、2に関して言えば、もう既にたくさんの書籍がiOSアプリとして登場しています。もちろん既刊本、新刊本の総数からすれば僅かですが、少なくともePubの日本語拡張仕様を待たなければ出版ができないといった状況ではなく、iOSアプリは他の機器では動かないので事実上の囲い込みもとっくに発生しちゃっているわけです。

百歩譲って策定した日本語拡張仕様が早急にePub規格に採用されたとしても、果たしてiPadで先頭を行くAppleがiBooksにそれを実装してくれるかは不明です。というか多分やらないと思います。なぜなら10年くらい前までの「Appleにとって日本は米国(英語圏)の次に重要な市場」だった頃とは大きく事情が変わってきていますので。頼みの中国語もとっくに横書きに切り替わっていますし、いまさらAppleが日本ローカルの事情を優先的に汲み上げるようなことはしないだろうと。GoogleやAmazonもそう。なにしろ日本の産業界は彼らを「黒船」と称して半ば敵視している感もありますし。

まあ、日本語拡張仕様対応のePubビューワは国内メーカーが各デバイス向けに開発するにしても、そもそも「ビューワの都合で改ページ、リフローされてはかなわん」という作家もいるはずです。物理サイズが固定される紙の本ならカッチリとした禁則が利いていたものが、ePubではデバイスの表示サイズに合わせてリフローされる結果、往々にして「適当な禁則」に成り下がってしまいがちです。一行あたりの文字数が少なすぎたり、変な区切りで次ページに泣き別れたり…。これに耐えられない作家は少なからずおられるはすで、やはりPDFかアプリとしての配布を望むでしょう。

穿った見方をするなら、ePub日本語拡張仕様、フォーマットの標準化うんぬんは、国内の著名な作家の方々に対して「もうすぐ状況が整うから、どうか海外の電子出版会社と組むようなことはせずに待ってくれ」という、国内出版業界の後ろ向きな防衛戦術のような話なんじゃないかとも思えてなりません。

ともかく、ePub日本語拡張仕様策定の方は今年度の予算でいいところまで行っているとも聞きますので、私も仕分け人と同意見でわざわざ予算をつけて国が関与すべき話ではないと考えます。それにIT系ビジネスの世界では先に主導権を握った者が往々にして勝つわけで、うだうだやっていれば周回遅れになるだけです。ここで勝負をかけたい企業は、そんなことに惑わされずに、自身が最も妥当と考える方式でもって、さっさと実績を作りにかかった方が得策でしょうに。

◆◆◆

追記。

このエントリを書いた後に「どうやらAppleはWebKItに日本語拡張仕様を盛り込もうと頑張っているらしい」という噂を聞きました。

現状でもSafariはルビに対応しています。ただし行間隔が無残に開いてしまいますが…。

もちろん真偽の程はわかりませんし、それが本当でも途中でキャンセルにならないとも限らないでしょう。でも、これをやられるとまたAppleやGoogleに美味しいところを取られ、主導権を握られてしまいます。ローカル言語による一種の参入障壁があっさり乗り越えられて、国内メーカーは後追いせざるを得なくなるような…。ならば来年度の活動なんてのは無意味なわけですから、やはり仕分けられて当然です。仕様が決まればさっさと実装して市場で展開した者が勝ちなんだから。

Nikon D7000用水中ハウジングの最新情報

いよいよ米国ラスベガスでDEMA Show 2010が始まりました。各社の展示内容や詳細はいずれ情報がまとまった頃にWebを読みあさってみるとして、今回はD7000ハウジングの話を。

ここにきてコンデジの限界を痛感するようになったので、私は来年2月ごろを目処にデジ一の水中カメラセットに移行しようと考えています。候補はNikon D7000。本当は小振りなSONY α55がいいのですが、私が最も期待しているNautimamから対応ハウジングが出るような話を聞かれないので。D7000は中級機の位置づけなのでα55よりも数万円高く、250gほど重くもなりますが、まあしかたがありません。

さて、Nauticam D7000用ハウジングですが、案の定Fishyeyeのサイトでは発売日が当初の11月→12月に変更されました。

ノーティカムのバナー

↓ ↓ ↓

D7000ハウジングのバナー

D7000はD90とほぼ同じ前面デザインなのですが、だから工期が半分ですむような話でもないでしょうから、たぶんもう一回ぐらい延期になって1月か2月の発売になるのだと思います。彼らは仕事遅いですからね。

そしてようやく本家NauticamのサイトにもD7000用水中ハウジングの情報が載りました。

D7000ハウジングのイメージ図

筐体のグレーは最終的にはいつものブラックに仕上がるでしょう。他にもこの画像からCanon EOS Kiss X4用ハウジングと同様の機構が採用されそうだという点が見て取れます。前後のパネルの接合にバチン錠ではなくロック付きレバーを用いる方式ですね。動画撮影も右手親指でピアノキーをワンプッシュかな。

DEMA Showでも展示されていたのではないかと思うので、期待して続報を待ちたいところです。

iTunesの映画配信はアンチBlu-rayの表明だ

グラン・ブルー 完全版&オリジナル版 -デジタル・レストア・バージョン- Blu-ray BOX 【初回限定生産】マレーシアへの旅行中はインターネットなし生活だったので、日本に帰ってきて初めてiTunesで映画配信サービスが始まっていたことを知りました。

差し当たり映画の品揃えは予想以上に多かったものの、まだまだ不十分な感は否めません。

iTunesの画面
いきなりグラン・ブルーが入っているところなんか渋いなぁ…

とは言え、こうして口火が切られた以上、流れは止められないでしょうね。特に近所にDVDレンタル屋さんがない地方なんかでは重宝されそうです。Apple TVは8,800円と安価ですしね。願わくばDVD化されていないVHSオンリーのタイトルや80年代のミュージッククリップ各種が販売されるようになってくれると嬉しいのですが…。

さて、AppleがBlu-ray陣営に名を連ねてから久しいものの、MacへのBlu-rayドライブの採用はいっこうになされてきませんでした。まだDVDよりも高価だということもありましょうが、おそらく最大の理由は「インフラさえ整えばネット配信の方が好まれるはず」と踏んでいたからなのでしょう。いや「iTunesの普及度を活かしてネット配信に誘導した方がAppleとしては断然美味しい話だから」という思惑と言った方が妥当かな。

加えて先に発売されたMacBook AirにはOSの再インストール用USBメモリが同梱されています。また、年明け早々にもMac App Storeが開始される予定です。ならば、今後発売されるMacの一部、もしくはすべての機種が光学ドライブを搭載しないで出荷されるようになるかも知れません。来夏のMac OS X 10.7 Lionにしても、USBメモリ版かダウンロード販売(別途外付けストレージが要りそうだけど)のみで提供される可能性もあるでしょう。コストは上がるものの、CD-ROM/DVD時代の終焉を演出する効果が見込めますので。

また、Appleがmobilemeとは比べ物にならない大々的なクラウドサービスを開始するのは時間の問題とも見られています。確かに映画なら個々人のHDDに保存させるのではなく、クラウド上に置いて閲覧件を買ってオンデマンド的に使ってもらう方が合理的で、かつ顧客の繋ぎ止めにも有利ですよね。

ともかく、いよいよAppleはBlu-rayというか光学ドライブの類いをバッサリ切り捨てに掛かっているのだと私は思います。

グラン・ブルー 完全版&オリジナル版 -デジタル・レストア・バージョン- Blu-ray BOX 【初回限定生産】

マレーシア航空、コタキナバル→羽田便の初フライトに乗りました

2010年11月16日、羽田⇔コタキナバル(マレーシア)が就航となったのですが、当然ながら羽田から飛ばせるためには羽田に機体を持ってきておく必要があります。というわけでカパライツアーの帰国はコタキナバル⇒羽田の初フライト便でした。

話を遡ると、帰国日の朝10時過ぎにカパライリゾートを出発。ボートで1時間ほどかけて波止場に。そこから陸路で約1時間走りタワウ空港に。14:44発の国内線に搭乗してコタキナバルに飛びました。

ただし、タワウ発の飛行機が少々遅れたためコタキナバル到着時にはすでに羽田便の搭乗開始時刻。急いで出国手続きをした後、ダッシュで搭乗ゲートに。どうも正規の通路じゃないらしい裏道を走らされたあげくパーティ会場に到着。なるほど就航記念の式典が開かれていたのですね。残念ながら間に合いませんでしたが。そんな感じだったので手荷物検査もなし。

ゲートを抜ける際にはレイをかけてくれたり記念品を手渡されたり。

セレモニーの後
ゲート外には伝統舞踊の衣装を身にまとった人がたくさん
お偉いさん達
お偉いさんかな
新品のマレーシア航空機
飛行機は羽の先が曲がった真新しい機体

ボーイング737 800型の飛行機にはそのまま歩いて搭乗。シートは往路と同じく横3席+3席なのですが、この通り革張り風でした。天井もカッコいいですよね。2001年宇宙の旅の宇宙船の内壁みたい。 後方の光景 前方の風景はこんな感じ。 前方の光景 ちなみに照明はこの写真のようなホワイトからブルーに切り替わることがあります。 天井のライト 液晶パネルが埋め込まれたシートにはUSB端子が付いていてiPhoneを充電できます。 液晶モニタ そればかりかエコノミークラスでもシート下にはコンセントが付いていますね。一見マレーシア流のB3BF型かと思いきや、こうして見ると日本のようなA型プラグも挿せそうな感じです。試しませんでしたが。 シート下のコンセント そして機内食はこちら。 なかなか美味しかったです。 機内食

なお、この日の搭乗率は7割とのことで、しかも私の席の隣とその隣も空いていたので、3席を一人で使うことができました。クッション3個を敷いて横になれてラッキー。ちなみに私の席は15Aだったのですが、前列の14が非常口に接しているため他より足もとが広くなっていました。もし座席指定が可能なら14列が狙い目です。

そうして22:35に羽田到着。ジャスト5時間でした。でも、ここからは長く、イミグレーションまで延々と歩かされますね。まあ、その先は成田の場合と大差ありません。

最後に、機内預けの荷物を受け取って大きな扉を抜けるともう京急線の駅が見えるのですが、コンコースに下るエスカレータはけっこう長いので、駅が近いからと悠長に構えていたら電車を逃しかねないので要注意です。

カパライ総括

今回のカパライツアーを振り返ってみて。

事前に訊いていた通り、カパライは極上のリゾートでした。気持ちのいい水上コテージ、全食が食べ放題のビュッフェ。しかも毎回のメニューも美味しくて。

クリスマス装飾

ダイビングも充実。結局4日間で15dives(内、ガイド付きは13dives)潜り、追加ダイビングフィーも無し。毎回の機材のセッティングはお任せ。タンクを背負って歩くのもハウスリーフに潜る際に桟橋まで移動するときだけ。その上、海の中の生物相も豊かです。ハウスリーフデすら他所のダイビングリゾートからボートで訪れて潜っていくほど。せっかく羽田・コタキナバル便が就航したことですし、近々ぜひまた行きたいと強く思いました。

でも、注意事項もありますね。差し当たりビギナーを連れて行くのはためらわれます。世界各国からダイバーが終結するかの地でのダイビングスタイルは、ガイドがガイディングしかやらない国際スタンダードスタイル。日本や海外の日本人向けダイビングショップのように残圧を確かめたり、深度に気を配ってくれたりといった面倒は見てくれません。

また、今回は終始濁りが入っていました。総じて透視度10m以下といった感じ。よってちょっとしたきっかけで仲間を見失います。実際、6人 or 8人チーム+ガイドで潜っていて各人が何度かはぐれましたし。

まあ別の時に行けばまたコンディションは違うはずですが、より悪い場合もあるはずなので、やはりビギナーは安易に連れていかれません。いや、ビギナーでも残圧と水深、そしてはぐれたときの対処ができる人なら良いのですが。もしくは面倒見の良いイントラに同行してもらうか。私はマクロ撮りのカメラ派なので、あまり他人のケアはできませんし。まあ、ビギナーの方々はショップ主催のイントラ動向ツアーに参加するのがいいでしょうね。

で、以下は今回のウミウシ特集(抜粋)。

アカフチリュウグウウミウシ

アンナウミウシの仲間?

カグヤヒメウミウシ

イロウミウシの仲間?

ミラーリュウグウウミウシ

知らないウミウシ