エビのままでいたい

映画『アリのままでいたい』が公開中です。まだ見ていないけど楽しそうですね。

しかも撮影監督の栗林慧さんと主題歌を歌う福山雅治さんは私にとって同郷の長崎県出身。その上、福山さんと私はは同じ日に生まれたのだよな。何もかも、えらい違いだ…。

それはともかく、昆虫の生態をマクロに動画撮影している点は私の写真にも通じるところがあります。私の場合はメインの被写体がエビだけど、同じ節足動物だしサイズ感も同程度。こちらが愛情をもって接しても決して懐かない点も同じです。

Hairy shrimp
私が好んで撮影するのがHairy shrimp

てなわけで、自分もエビが主役の動画を撮ってみたくなりました。

ただし、水中ではさまざまな制約を受けます。空気残量、水深、水圧、冷え、窒素酔い、流れ、うねり、濁り、浮力、危険生物、そしてダイビング代金。

本格撮影のために海底に三脚を立てるぐらいはできるけど、エビが魚に食われたり、エビが他の生き物を捕まえるシーンを粘って撮るにはリブリーザーでも背負って水中で何時間も粘らないことには。もはやレジャーダイビングでは不可能な領域です。どうにも昆虫映画の真似はできそうにありません。

技術的な面で言うと、栗林さんは内視鏡のレンズを元に独自開発した例のアリの目カメラで撮っていますね。あれは被写界深度が深く、バッタのクローズアップの向こうに遠くの海がしっかり映ります。

対して私は市販の一眼レフカメラと105mmの中望遠マイクロレンズ。寄れば寄るほど被写界深度が浅くなり、エビのアップを撮ろうものならほんの奥行き1〜2mmにしかピントが合いません。被写体が僅かに動いただけでピントが目から外れてしまいます。

いや、そもそも私のカメラではハイスピード撮影が不可。もし印象的なシーンが撮れても鮮明な像によるスロー再生はできないわけです。

動画を撮るならもっと違う機材が必要になるけど、そんなお金はないや。

安保法案には私も反対

wordpress-logo先週衆議院を通過した安保法案は政権の支持率を大いに下げ、新国立競技場の白紙化でも起死回生とはなりませんでした。9月に可決する頃には支持率はもっと下がっているかもしれません。

安保法案について関心のある国民の意見はおおむね三種類に別れるかと。

  1. 賛成。集団的自衛権も合憲だ
  2. 反対。そもそも軍事行動にアレルギーがある
  3. 反対。内容は賛成だが憲法改正が先

ちなみに私は3番目です。集団的自衛権が違憲か合憲かはひとまず置くとして、この法案はダメでしょう。「自衛隊員に軍人の身分を与えないまま紛争地域に送り出すかも」って話だから。

後方支援に徹しても交戦の可能性はあります。いや、むしろ兵站が狙われるかもしれません。そうして仮に自衛隊員が捕えられても、この安保法案下では彼らは軍人として扱われません。友国軍は自衛隊を同格と見なしてくれても敵対国は矛盾を突いてきます。「軍人なら国の命令で動いたのだから捕虜として丁重に扱う。だが軍人でなければ自主的に戦争行為に加担したゲリラだ」と。仮に日本が対外的には「自衛隊は軍隊だ」と言い張っても軍法が存在しないのだから通じません。結果、相手国が自衛隊員を犯罪者として裁くのを指をくわえて見ているしかないということが起こり得ます。しかも自衛隊を軍として認めるかどうかの踏み絵を突きつけて日本に揺さぶりをかけられます。

今回の安保法制の10法案の中には「武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律」が含まれているけど、それはこちら側が捕虜を捕らえたときの話。逆の場合に捕まった自衛隊を軍人として扱ってもらえるものではありません。

安倍政権としてはこれが終着ではなく、いずれ憲法を改正するための橋頭堡にしたいのかもしれませんが、その時を待たずこの法律下で集団的自衛権を行使せざるをえない事態が起こらないことを願うばかりです。

なお、私は日本が守るべきなのは憲法9条の精神であって9条そのものではないと考えます。従って正式に軍隊を持ち、そのかわりに軍事能力は極めて抑制的に行使するように縛りを掛けるのが正しいあり方だろうと。よって安保法案ではなく憲法改正が必要という立場です。

「軍を持たなければ攻め込まれない」という理論は残念ながら「自分が安全運転していれば事故に巻き込まれない」と同じ理屈だと思います。

参考:

社民党の吉田議員が「もし後方支援中に自衛隊員が捕まったら戦時国際法下でちゃんと捕虜として扱われるのか?」と訊いたのに対し、麻生国務相は「そもそも危ないことはしないからそのような状況になることもない」と明言を避けています。YESとは答えられない、つまり戦時国際法で自衛隊員は軍人と見做されないと言ったも同然です。