GODZILLAの感想

GODZILLA見てから1ヶ月経って忘れかけているけどGODZILLAの感想を書いておきます。

一言で言えば「実に面白くなかった」です。途中、つまらないドラマ部分が長くてけっこう退屈しました。

その点、前のハリウッド版GODZILLAの方が断然面白かったなぁと。親個体がニューヨークの街を闊歩し、孵化した幼体がマジソン・スクエアガーデンを駆け回るやつですね。もっともあれは「ゴジラってあだ名の巨大イグアナ」の話で、敵の怪獣は出てこないし光線も吐かないけど、ゴジラだと思わずに一つのパニック映画として見れば良くできていました。

さて、今度のGODZILLAはゴジラファンの監督が作っただけあって、ゴジラが前作のような倒すべき相手ではなく、抗いようのない天災の象徴として描かれています。そしてゴジラ映画の王道である「大怪獣どうしのバトル」にもなっていました。題して『ゴジラ対武藤夫妻』かな。敵はムートー(MUTO)というギャオス似の昆虫系巨大怪獣のつがい。新シリーズの手始めなので有名どころを倒すわけにもいかず、敵役に新怪獣を持ってきたのでしょうね。

でも腑に落ちない点も。放射能で成熟と巨大化するのはゴジラではなくムートーの方。兵士が平然と扱えるほど厳重に密閉されたであろう核物質を遠くから検知できる高感度を持っています。富士山麓の原発をメルトダウンさせ、その周辺地域を壊滅させたのもムートーでした。

ちなみにあの有り様だと東海道新幹線は東西に分断されたのだろうな。もちろん道路も。
だとすると日本の運輸・物流には大打撃。本州の太平洋側のど真ん中をやられて復興させようにもできず日本経済はえらい目にあったことでしょうね。

対してゴジラは「大自然の摂理の体現者」みたいな扱い。自然の均衡を破るものが現れたら対抗手段として目覚めるような。そのためムートーを退治しに何処からともなく泳いできて、いざ倒したら海に帰って行くという人間にとって非常に都合のいい存在に描かれています。何となくウルトラマンっぽいかな。「さすらいの怪獣退治人」みたいな感じですね。倒したムートーを喰うわけでもないし。

いや、古代にはムートーがゴジラを喰ってたのだっけ。冒頭、マニラのウラン鉱山の地中で化石化したゴジラの亡き骸に卵が産み付けられていた描写があったような。ならばゴジラもやっぱり放射性物質に惹かれる生物か。ほんでもって両者はヘビとカエルみたいな関係ですかね。一般的にはヘビが捕食する方だけど、デカいカエルは小さいヘビを食ってしまいます。個体どうしのサイズや成長度合、数によっても力関係が変わってくるわけです。ならばゴジラとしては遠路はるばる泳いででも因縁深いムートーの繁殖を阻止しないと拙いわけだ。

とか、あれこれ理屈を考えたところでゴジラなんて単体で成立した第1作目を除けば、どう描いても陳腐な話になりがちので、いっそのこともうちょっと怪獣プロレスの割合を増やして(ドラマは短縮していいから)、昼間のシーンとして見せて欲しかったです。

その点でいくと、昨年公開されたパシフィック・リムの方がよっぽどゴジラ風の(ゴジラ作品と同年代のロボットアニメなどの)テイストを含んだ面白い作品だった気がします。

まあ、本作は「ゴジラの出てくる面白い映画が見たい人」ではなく「とにかくゴジラが見たい人」向けかな。私は前者なのであんまり楽しめませんでした。駄作とは言わないけど、私の好みではないです。

それでも興行的には成功して次回作が作られるようだから、そちらに期待しましょうかね。次はモスラやキングギドラも出てくるらしいし。