ウルヴァリン:SAMURAI

レイトショーで『ウルヴァリン:SAMURAI』を観てきました。感想は「…」。今年一番楽しみにしていた映画だったのになぁ。

イオンシネマの時間割りを見ると、公開直後なのに1日5コマしかないので変だとは思ってたけど、なるほどね。いくら日本が舞台でも、これは受けなさそう。

ウルヴァリン:SAMRAI

以下ネタバレ。気になる人は読まないでください。

…と書きつつも、そんな配慮の必要はないかも。これ、一連のX-MENシリーズの外伝みたいなものだから。「実はこんなこともあったんですよ」ぐらいの。

そう、はっきり言ってしまえば、つまらんのです。その最大の理由はスーパーパワー・ミュータントどうしのバトルがまったくないからでしょう。本作のウルヴァリンの敵といえば、シンゲン(剣道の達人)、ヤクザ連中、そして忍者たち。

ラスボスのシルバー・サムライにしても、原作ではタキオン・ブレードという刀にミュータントパワーを注入して、ほぼあらゆるものをぶった斬る敵なのに、登場したのはパワードスーツだもの。

結局、本編に登場したミュータントはウルヴァリン、ユキオ、ヴァイパーのみ。しかもユキオの能力は他者の死期を見通すってやつだから力の発揮はセリフのみ。ヴァイパーはその名の通り毒蛇系のミュータントで舌を伸ばしたり毒を吐きかけたり脱皮もするけど、それだけ。あまりに地味すぎて爬虫類好きとしても楽しめませんでした。マムシ対クズリの対決(ハブ対マングースみたいな)もなかったし。

本作がつまらないもう一点は、ウルヴァリンの最大の見せ所でもあるヒーリングファクターを奪われる話だから。どれだけ傷つこうとも瞬時に自己治癒力が働き、バーサーカーと化して敵をなぎ倒すってのが売りなのに、銃で撃たれて弱るのですよね。しかもミュータントパワーの移植は映画第1作目、同じくパワーの消去は第3作で違う形で実現してたし、このストーリーはどうかと…。

もっと言うと、原作とは違ってハラダが暴君のシルバーサムライにならず、マリコもウルヴァリンと結婚してフグ毒で殺されたりもしません。

ならば、外国映画にありがちな誤解した日本の描写ぐらいは楽しめるかと思ったけど、それほど面白いところもなし。長崎からアウディに乗ってあっという間に東京に帰って来たりはしますが。

ああ、メインキャストでは韓国訛りのウィル・ユン・リーはしかたないとして、真田広之を始め日本人俳優まで日本語のセリフがたどたどしかったのが愛嬌かな。そういう演出なの?

強いて見どころといえば、ユキオ(福島リラ)の存在感が素晴らしいこと、ウルヴァリンの夢に出てくるジーン・グレイ(ファムケ・ヤンセン)が妙に若く妖艶なことぐらいかな。

福島リラ
個性的な顔立ちで美しい。一発でファンになってしまいますね

よってこの映画はラスト15分だけ観ればいい感じ。いや、ウルヴァリンがシルバーサムライとの戦いでアダマンチウムの爪を失ったって解っていれば、最後の最後(クレジット後、エンドロールの前)の1分だけでもいいか。

本編が終わった途端に席を立つ人が少なくないけど、マーベルの映画は最後の最後にオマケがあるし、それが一番重要なクリフハンガー(思わせぶりな「次回続く…」)だったりします。

さて、エピローグでウルヴァリンの元に現れたのはパワーを取り戻したマグニートーと、どうにかして復活したプロフェッサーXの最強仲良しコンビ。そしてテレビモニターには「トラスク」の名前とロボットの手。そう、来年公開予定の次回作『デイズ・オブ・フューチャーパスト』では敵としてセンチネル(ミュータント狩りのロボット)が登場し、ミュータントと見るや善人も悪人もなく狩っていきます。そのためウルヴァリンはマグニートーの金属を自在に操るパワーで骨の爪にアダマンチウムを再移植されるはず。ああ、早くそのシーンの映像が見たい…。

うん、本作は次回作のためのちょっとした前フリのボーナスエピソードみたいなものかな。