イチモンジコバンハゼ

イチモンジコバンハゼ。

イチモンジコバンハゼ

せっかくこれほどコミカルな顔なのに、ちょっと撮り方が平凡すぎますね。次回の課題だ。まだ予定はないけど次のマクタンでは原点回帰でハゼ中心に撮ることにしようかな。

期待に沿わないビジネスは報われないという話

パラオは言わずと知れたダイビング天国。でも、とある現地ショップの情報によると、最近はどうにも閑散としているそうな。まあ雨期だから。

いや、雨期といっても昼間は短時間スコールが降る程度らしいのですが、問題は風向きでブルーコーナーに代表される外洋ポイントに出られない可能性が高くなります。

この点がパラオのダイビングビジネスの泣き所ですね。ブルーコーナーを中心に大物ダイブを売りにしているがために、ローシーズンはその大物好きのダイバーが寄りつかないという。

そりゃそうだろうな。今の時期、5日間で94,000円(4ダイブ付き)といった安ツアーもあるけど行く気にはなりませんよね。誰だって「どうせ行くならメインイベントが楽しめる季節に」と思うもの。

そんなわけでパラオスポート号も毎年雨期の間はフィリピン方面に遠征しています。2年前の7月にはカビラオ(ボホール島南西の離島)でパラスポのテンダーボートに遇ったなぁ

ブルーコーナーのサメ
確かに早朝のブルーコーナーのサメの捕食シーンなどは圧巻です

この際、雨期限定で構わないので、どこかのショップがマクロダイブを堪能できるポイントを10箇所ぐらい確立してくれれば、私は通ってみたいと思うのですが。

例えば、かつての小笠原のように水深15mでヘルフリッチ(シコンハタタテハゼ)が見られたり、パプアニューギニアのように18mかそこららにピグミーシーホースがいたりするなら名物になり得ます。しかもパラオの固有種なんぞが見られるならなお良し。

でも難しいかな。マクロのガイディングは相応のスキル(小さい生き物を見つける技量と各種ごとの生態の知識)が必要とされるので。数もケタ違いに多くて名前覚えるだけでもしんどいし。


さて、先日マクタン島に行った際、新しいレストランで夕食をとりました。EL SUEÑO(エルスウェーニョ)というフィリピン料理がメインのレストラン(日本人経営)です。マクタン島北側の海岸線沿い、BIGFOOTという大きな語学学校の建物の並びにあります。

でも、すぐお隣はスラム街なので「日本人オーナーがよくこんな場所にオープンさせたもんだ…」と思ったものの、まあ一度は試してみようと。 で、感想は「微妙」。中にはシシグ(細かく刻んだ豚肉類とタマネギなどの炒め物)のように美味しいメニューもありましたが、シニガンスープ(酸味が特徴のスープ)はちっとも酸っぱくなく(辛さと酸っぱさの両方を抜いたトムヤムクンみたいだった…)、ガーリックライスも随分おとなしい味付け。これって何なんだか。

オーナーに訊くと「酸っぱいのが好きではない人もおられるので」「ガーリックの匂いが強いのを嫌がる人も…」だそうな。

でもね、フィリピン料理が好きなら本格的なフィリピンレストランに行くし、フィリピン料理が苦手な人ならフィリピンレストランには来ません。その中間の「日本人向けにアレンジしまくったフィリピン料理」には、どれほども需要はなさそう。この日は金曜日の夜だったけど来客は我々一組だけだったし。

そもそもフィリピン料理の味付けの基本は醤油で、その多くは日本人でも馴染める味。それを日本人向けにアレンジするってのは方向性が間違っている気がします。むしろフィリピン料理はコテコテの現地風にして、日本人向けの定番料理をいくつかメニューに足す方が正解ではないかと。それならフィリピン料理好きと苦手な人が連れ立って利用できるので。

どうやらランチタイムもやっているし、この店の経営は、まだフィリピン慣れしていない日本人語学留学生頼みかな。長く存続できればいいけど…。

ブコ・パンシット
パンシット・カントンという焼きそばにブコ(ココナッツ)が乗った一品。 パンシットはいたって普通の焼きそばだけど、余計な食感が加わってたような…

ワタミの会長が辞任

wordpress-logoワタミの渡邉美樹会長が辞任したそうな。参院選出馬に本腰を入れるのでしょうかね。

私も一私企業の人事に関心はないのですが、 ワタミは「ブラック企業大賞2012」の投票数が東京電力を押さえて堂々一位だし、ちょっと思うところもあります。

ブラック企業大賞はWeb投票だから逆美人コンテストみたいなものだけど、2013年もノミネートされたってことは、相応の背景があるものと推測されます。

もし日本で「飛び抜けた大金持ちになってやろう」と考えた場合、手段はこうではないかと。

小売りか飲食の事業を立ち上げて巨大フランチャイズチェーンに育て上げ、末端の人件費は安く抑える

言うは易しで相当に難しいことですが、それでもイチローや尾田栄一郎を目指すより遥かに現実的です。

で、ユニクロの柳井さんらもそうらしいけど、渡邉美樹さんにしても毎年数十億円もの収入(株主配当を含む)を得ているはず。もちろん彼らは並々ならぬ努力の積み重ねで今の地位を築いたのだし、他人の成功を嫉むと自身の心を蝕みそうだから気をつけなければいけないけど、ここで問題だと思うのは、

  • 多くの低所得者を生み出すことで財を増やしてきた側面もあるのでは?
  • ワタミやユニクロが今よりも勢力を拡大させたら、日本の労働者市場はもっと疲弊するのではなかろうか?

という点。その華麗なサクセスストーリーも、ある種の貧困ビジネスと背中合わせなのではないかと思えるわけです。

例えば、米国でWallmartが進出した地方都市は、既存の小規模商店がことごとく潰され、さりとて小さな街には他に職もないのでWallmartに勤めざるを得ないが、そこでの給料が安いため自身もWallmartでの安い買い物しか出来なくなるという悪循環が生まれているそうです。自らの手でより多くの低所得者を生み出すことでその企業が発展するというのは実に質が悪いですよね。

また、大企業のトップともなると強力な政治力を発揮し得るわけで、自分らに都合の良い法律を作り、行政を牛耳る術を得られます。

日本でもこれに似た状況があるのではないでしょうか。労働基準法は存在しているものの、往々にして法の抜け穴を突くことはできるし、逆に抜け穴のある法律を作る(あるいは塞ぐ改正をさせない)ように仕向けることも、当局の実行力を失わせて骨抜きにすることも、しかるべき役職にあれば可能です。

並々ならぬ努力をして成功を掴んだ人は他者にもそれを強いがちな傾向があります。渡邉美樹さんは昨年の東京都知事選にも出馬したので、政治家になって国や自治体を動かしたい願望も強いのでしょうが、彼の国政への進出が適ったとして、それが良からぬ方向に働かないように願うばかりです。

カメラダイバーの必読書

峯水亮さんの新著『デジカメによる水中撮影テクニック』が発売されたのでさそく買ってみました。226ページで1,890円。

デジタルカメラによる水中撮影テクニック

この手の本は昔から何冊も発売されていたけど、どうしても昔の本では内容が古かったりします。

なにしろデジカメが水中でも普通に使われるようになったのは、ここ10年かそこらです。それまではフィルムカメラが主流だったので、一眼レフを除けばオートフォーカス機能すら付いてませんでした。液晶モニタやマクロモードなんてのもなかったし。

もちろん写真の基本の多くは昔も今も不変だけど、一方で近年はデジカメの進歩が目覚ましいため機器に対する人々の共通認識が変化していたり、RAW現像というソフトウエア操作の技術も必要になってきました。

この本では、最新のデジカメや交換レンズ、ハウジング、ライティング機器なども紹介していて、その上で、写真(撮影時の設定データ付き)をふんだんに交えながら今どきのデジカメによる撮り方や撮った写真に対する補正のテクニックまでをも解説してくれています。

目次を抜粋して紹介すると、こんな感じ。

  • 水中カメラとレンズの基礎知識
    • デジタル一眼レフカメラの選び方
    • ミラーレスカメラの選び方
    • コンパクトデジカメの選び方
    • 被写界深度
    • フィッシュアイレンズとフィッシュアイズームレンズ
    • 小さな生き物の高倍率撮影
  • 水中ハウジングの選び方・使い方
    • 自分に合った水中ハウジングの選び方
    • ワイドコンバージョンレンズを使った撮影の基本
    • クローズアップレンズを使った撮影の基本
    • 海から上がった後の水中ハウジングの手入れ
  • 水中撮影のためのカメラの設定と操作
    • ISO感度は状況に応じて設定
    • 水中撮影時のホワイトバランスの設定
    • マクロ撮影のピント合わせ
    • ワイド撮影のピント合わせ
    • 絞りとシャッターの選択
    • 手ブレ・被写体ブレを防ぐ
    • 見た目の海の青色を基準とした露出の決め
    • 黒っぽい背景で撮影するとき
  • 水中ストロボのライティングテクニック
    • ワイド撮影でのストロボライティング
    • マクロ撮影でのストロボライティング
    • 水中ライトによるライティングだけの撮影
  • ワイドレンズ・マクロレンズを使いこなす
    • フィッシュアイレンズで大物を撮る
    • フィッシュアイレンズで魚の群れを撮る
    • 近接できるフィッシュアイレンズを使ったワイドマクロ撮影
    • 真っ白な砂地でストロボを併用するワイド撮影の注意点
    • 水中でのマクロ撮影の基本
    • マクロ撮影におけるレンズの絞りによる描写特性
    • ストロボを使ったマクロ撮影でのシャッタースピード
    • ストロボを使ったマクロ撮影で背景の海の色を青く描写する
    • ストロボを使ったマクロ撮影で背景の海の色を黒く描写する
  • 水中撮影の実践テクニック
    • 被写体への近寄り方
    • 群れへの近寄り方
    • 共生ハゼへの近寄り方
    • イルカを撮る
    • ジンベエザメを撮る
    • ウミガメを撮る
    • カエルアンコウを撮る
    • ウミウシを撮る
  • 撮影後のRAW現像
    • 青かぶりを補正する
    • 嫌な浮遊物やごみを取る
    • もやっとした濁りをなくす

私も数年前を振り返れば格段に写真が上手く撮れるようになったと思うけど、それでもスキル不足は実感します。

理由の一つは海に行けるのが飛び飛びになるので撮影の感覚がなかなか身に付かないのと、座学を修めていないこと。被写体をバランス良く撮ることはできても、より高いクオリティで撮るための知識が足りないわけです。

というわけで、この本はこれから水中写真を始めようという人にはもちろん、少々撮り慣れてきた人、そして私のように中途半端に上達してしまった人の補習にも有益で、写真を撮るダイバー全員(プロを除く)にとっての必読書となる1冊と言えます。読んで実践すれば、きっと写真の腕前が上がり、楽しさも増大すること請け合いです。

チョウチョウコショウダイの幼魚

自力でも見つけやすく、それでいて撮り難い魚の代表がチョウチョウコショウダイの幼魚。常にヒラヒラ、フリフリと体をくねらせながら、片時も同じところでじっとしていないので。

チョウチョウコショウダイの幼魚

チョウチョウコショウダイの幼魚

この写真の個体は8mmぐらい。もう少し成長するとフリフリ度も穏やかになって撮りやすくなるものの、その頃には幼魚の可愛さが失われています。