おもしろ水中写真(#1)

私のダイビング仲間に「写真の善し悪しは機材で決まる!」と言い放った人がいます。いや、正確には「良い機材じゃないと良い写真は撮れないでしょ」でしたが言わんとすることは同じです。

まあ、その時は居合わせたビギナーダイバーの女性たちを前にして単に見栄を張ってみたのかもしれませんが私は即座に否定しました。「写真で重要なのはスキルとセンス、そして運だ」と。実際、今までに彼が撮った写真でぐっと来るものは記憶にありませんし。

もちろんセンサーが大きい点だけを取ってみてもコンデジより一眼レフの方が純粋な写りは上でしょうし、AF性能や動く被写体への対処の面など何かと優位なわけですが、それでも良い機材なら無条件に良い写真が撮れるわけではありませんよね。同じ海に潜ってプロが5万円のコンデジセットで撮った写真は彼が50万円以上もするカメラセットで撮った写真にきっと勝ちます。より多くの人を魅了するだろうと。プロと機材自慢なだけの素人では肝心の絵作りの着想やスキルに雲泥の差があるはずなので。もちろん飛びっきりの幸運が彼だけに味方すれば話は別ですが。

で、そう言う私のスタンスはというと「おもしろ写真」を追求する感じでしょうか。内心、名だたるフォトコンに入選できるような完成度の高い写真を撮ってみたいとは思うのですが、スキル不足は自覚しつつも、あまり熱心に勉強する気がなくて…。

で、下の写真は私のおもしろ写真ストックから。

アヒルちゃんを狙うナポレオンフィッシュの写真

2003年11月のパラオ、ポイントは多分ブルーコーナーです。一緒に潜った人がBCDの肩にアヒルちゃんをくくり付けてたら、ブルーコーナーの主のようなナポレオンがずっと付きまとっていたので人物が写らない画角でパチリ。写真はクリアじゃないものの、飛び出た目が釘付けな感じの面白い絵になりました。

ちなみにこの当時のカメラははCanon PowerShot A60という200万画素機。同じ1/2.7型CCDサイズで320万画素だった上位機種よりも絵がいいという評判で買ったように思います。

ビデオライトが必要だ

撮影条件が良くなかったわりには良い感じの水中動画が撮れたことで俄然ビデオライトが欲しくなりました。Seatool社HX5V用ハウジングにはアクセサリシューがあるので使わない手はありません。

購入候補は小型で取り回しの良いINON LE550-W。それまでLE250を持っていたのですが、こちらは別売の拡散フィルタを付けても照射角50°。対してLE550Wは75°で明るさも倍。水中ビデオライトの用途ならLE550-Wの方が良いに決まってます。

ただし、購入には迷いました。LE550-Wのライトヘッドだけを買って互換性のあるLE250のヘッドと交換するか、それともLE250は残してLE550-Wを買うか。より明るいLE550-Wを買ってしまえばLE250は使わなそうな。とは言えLE250のヘッドだけ余らせるのもちょっと。ボディだけ後から買い足すことはできないようですし…。

あれこれ悩んだ末、新たにLE550-Wを買い足すことにしました。LE250には赤フィルタを取り付けて生物観察用に使うことを思いついたからです。INONからは二灯立て用のダブルライトホルダが販売されていますので、こちらを使ってLE550-WとLE250の両方をハウジングに乗っけて使い分けようじゃないかと。

セブの水中動画HD

このブログの最初のエントリーにも貼った動画です。6月にマクタン島近海で撮影しました。

実際のところ写真を撮るのに夢中だったのと、わざわざマニアックなポイントに出向いたこと(南国リゾートに来ておきながら泥地ダイビングをリクエストした)で、あまり良い条件ではなかったように思います。カクレクマノミは多分水深15m前後で色が減退してますし、チョウチョウコショウダイの幼魚とメリベウミウシは泥地のポイントの近隣なので海の色がそれっぽいグリーン。もっと明るいところでカラフルな対象を撮っておけば良かったなあと。

とは言え、カクレクマノミの動きの滑らかさには感動を覚えました。内心、HX5Vのあの筐体にフルHD動画は無理があるんじゃないかと予想していたのですが、良い意味で裏切られました。動画のプロや熱心なハイアマチュアの方が見たら違う感想かもしれませんが、HX5Vの動画、私の評価は★★★★★。3万円のカメラでこれなら大満足です。

ただ、メリベウミウシのパートを見ると細かく揺れています。強力な手ブレ補正機能もカメラの傾きにまでは効きませんので、そこは自身のスキルを向上させないと…。

ちなみに最後の水面を泳ぐミカドウミウシは、すべてのダイブを終えて干潮の浅瀬を歩いているときに見つけたものです。遅ればせながら潮が引いて取り残されたことに気付き、一生懸命沖に向かって泳いでいたようなのですが、悲しいかなあの動きなのでなかなか前に進まず…。でも、おかげでちょっと面白い絵が撮れました。

ミカドウミウシ

タイトル:「水面のスパニッシュダンサー」
露出補正:-2

露出時間:1/125
Fナンバー:10
ISO感度:125
レンズ焦点距離 : 8.83mm

HX5V + iPad

5月末の発売日にiPadを購入し、6月のセブ旅行に持参しました。主に飛行機内で映画を見るためと撮った写真の確認用です。

iPadの写真

その日のダイビングを終え陸に上がると、さっそくApple iPad Camera Connection KitのSDカードリーダーを使って撮ったばかりの写真データを吸い上げてみます。SDカードをセットするだけで「読み込みますか?」のダイアログが出るので操作は簡単です。ただし、次の日に同じことをしたら、前日の分もダブって読み込まれてしまいました。この点はAppleの改良待ちですね。

iPadの9.7インチの画面は3.0インチの液晶では難しい細かなディテールまで確認できます。ただし、デジカメの液晶で見る限り良い感じの写真が、iPadでは眠たくてガッカリすることも多々あります。もちろんiPadのせいではないのですが。

それに、皆で画面を囲んでこの時はああだったこうだったと話すのも楽しく、撮った瞬間の記憶が鮮明な内に反省点を見つけ作戦を立てられるのがメリットです。ラップトップパソコンでも同様のことはできますが、iPadの方が取り回しが楽だったりバッテリの持ちが良かったり。皆に写真を見せるときも、置き場所にとらわれないiPadの方が有利です。私にとってiPadは撮影旅行の必需品になりました。

ただし、現在のiPadではHX5VのフルHD動画は読み込めないようです。iPadではファイルのブラウジングもできませんので、こちらは帰宅後にMacのiMovieなどを使って撮り出す必要があります。それとフルHD動画は現行のiPadでは再生できないみたいですね。

HX5Vの弱点?

下の写真は体長30cm以上もあろうかというでっかいカエルアンコウ。

オオモンカエルアンコウ(黒)

タイトル:「顔面成長ホルモン」
露出補正:-2
露出時間:1/160
Fナンバー:4.5
ISO感度:800
レンズ焦点距離:10.09cm

この通り背景が白くぶっ飛んでしまってます。もちろん強力ライトを当てているわけではありません。ツバメガイのときもそうなのですが、AF対象の黒い色を暗さと誤認してしまうのか、どうもHX5VのPオートで黒い体色の被写体を狙うと液晶表示が一気に明るくなり、シャッターを切るとこんな写真が撮れてしまうようなのです。なるほどISO感度は800になっていますね。設定値は125だったのに。ちなみにこの現象は陸上でも再現できます。

遠からず改善されたファームウェアが提供されるといいのですが、当てにはならないので、次に似た被写体を撮るときには違った設定、別の撮影モードを試してみようと思います。