リゾート vs. マクロ

私は3mmのウエットスーツしか持っていないリゾートダイバーです。一方でマクロ派ダイバーでもあります。

もちろんその両者は本質的に対立する尺度ではないものの、悩ましいのは一般的に水温が高いと生物の発育が速くなる点。

例えば割と冷たい海を好むダンゴウオも水温が高めの方が卵が孵化するまでの日数が少なくなります。もちろん適性温度を超えては生きられませんが、孵化した後も水温が高いと発育に有利でしょう。なにしろ食物連鎖の底辺のプランクトン類が多くなるので。

何が言いたいのかというと、リゾートダイバーの私は冬春の伊豆で潜っている人よりも稚魚や幼体を見る機会が圧倒的に少ないのではないかと思うのですよね。

もしフィリピンのカエルアンコウが伊豆のカエルアンコウよりもすくすく育つのだとしたら、よほどタイミングに恵まれないと孵化してから日が浅い稚魚を見られないことになります。逆に伊豆のような海なら、その個体が小さい時期が長いだろうと。

ひょっとしたら熱帯の海の方が繁殖のサイクルが短かったり頻度が多かったりするかもしれませんが、暖かい海では捕食者の数も多いですからね。

やっぱ数ミリサイズの生き物が見たければ冷たい伊豆の海にも潜れってことか。おっくうだ…。

アオウミウシ(5mm)
5mm大のアオウミウシ。昨年12月、南伊豆の谷津で撮影

PowerShot G1 X用の純正水中ハウジング

こちらは水中ハウジング(ウォータープルーフケース)WP-DC44。

WP-DC44(PowerShot G1X用の純正水中ハウジング)

先日アメリカで発表されたCanonのコンパクトデジカメの最上位機種PowerShot G1 X用です。

残念ながら別の角度やもっと大きな写真は見つけられませんでした。まあまだ試作段階でしょうからね。カメラ本体が2月発売らしいので、ハウジングは少し遅れて4月頃かな。

でも、この写真からでもいくつか解ることがあります。まず、レンズポートは横長の長方形なので、ワイド端でもケラレが出ないようになっているのでしょう。

拡散版は板状ではなくボックス型。外部ストロボ用の光ケーブルを装着するためのソケットが用意されているかは不明です。

また、相変わらずアクセサリシューがなく、外部ストロボやライトを使うにはアーム類が必要です。

同じくレンズポート前面にネジ径が施されていないため、コンバージョンレンズを装着するには別途何らかの仕組みが必要になります。

マクロ撮影で重要なマニュアルフォーカス向けの機構に関してはこの写真では何ともいえません。PowerShot S100用のWP-DC43はレンズポートの付け根左側にダイヤルが設けられていましたが、WP-DC44には見当たらないので右側に移動させたのかな。


Canon ウォータープルーフケース WP-DC43

なお、G1 Xのマクロモードのワーキングディスタンス(レンズ端から被写体までの距離)は約20cmなので私のNikon D7000とほぼ同じ。この点も従来のコンデジとは一線を画す仕様です。近年のコンデジはほとんど3cm以下でしたし。でも、そのおかげで従来のコンデジにはなかったボケ味が期待できます。

ただし、G1 Xに乗り換えた場合、従来機でマクロを撮り慣れた人ほど最初のうちは被写体に寄り過ぎてピンぼけ写真を連発するかもしれません。

まあ、ワーキングディスタンスはクローズアップレンズを使うことで短くできますし、ズームとの併用もできるのでしょうから、距離感に慣れてしまえばこの機種ならではの写真の出来栄えに満足すると思います。

それと、このクラスの製品を使うユーザーならハウジングにもこだわった方が良いですね。純正品ではなくNauticamやSeatoolのハウジングの登場を待ってそちらを買った方が良いでしょう。アルミ削り出しでアクセサリシューとネジ径が最初から付くはずなので。カメラとハウジングで20万円コースになりそうですが、スペックを見る限りではそうするだけの価値がある機種だと思います。

ライオンフィッシュ

ミノカサゴ。

ミノカサゴ

ヒレに毒のトゲを持っているためダイバーにとってはアンタッチャブルな存在で、近寄ってもたいていは悠然と泳いでいますがすが、意外にも自然界では決して強い生き物ではないようです。

先日アニマルプラネットで見たドキュメンタリー番組では、カエルアンコウにひと呑みされ、サツマカサゴにもパクリとやられ、モンハナシャコにも巣穴に引きずり込まれて食われていました。連中はミノカサゴの毒に免疫なようです。

確か人間が食っても美味しい魚じゃなかったかな。

PowerShot Gがさらに巨大化して帰ってきた!!

米国で1月10日からCESが開催されるのに先立ち、デジカメの新製品がいくつか発表されています。一つはFuji Filmのミラーレス機『X-Pro1』、もう一つはCanonの『PowerShot G1 X』。

X-Pro1に関してはいずれ触れる機会があるかもしれませんが、ひとまずPowerShot G1 Xに着目。

PowerShot G1X & G12

この通り、あの大きかったPowerShot G12よりもさらに巨大になっています。レンズもボディ内に収納されないし。ストロボはポップアップ式ですか。なるほど名前を「G13」と付けなかったわけだ。「今どきのミラーレス機よりもデカいけど、その分、高性能・高画質をとことん追求したコンデジの最高峰」といった位置づけなのでしょう。従来のGシリーズのユーザー層の内、下位をPowerShot S100で、上位をこの機種でカバーしようということかな。

そして昨今のミラーレスカメラブーム、Canon製ミラーレス待望論に対する同社の解答なのかもしれません。「ミラーレス市場に参入するのではなく、ミラーレスを凌駕する写真が撮れるコンデジを目指す」と。実際、コンデジでありながらPanasonic LumixやOlympus Penよりも少し大きなイメージセンサーを搭載しています (もはやコンパクトデジカメという呼び名も相応しくないですね)。

レンズを交換できないということは、裏をかえせばレンズに限定されない自由さがあるということ。単体でスーパーマクロ(さすがにデジイチでマクロレンズを使うときよりも撮影倍率は小さそうだけど…)、ワイドからズームまでをカバーできるのはミラーレスを含むデジイチにはない利点です。

で、ダイバーの端くれの私としては新しいカメラが出たらついつい「水中で使うとどうだろう?」と考えてしまいます。どうやら純正水中ハウジングも発売されるとのことですし、きっとNauticamを始めとするサードパーティも対応製品を出してくるでしょう。G1 Xのレンズ周りにもPowerShot S100と同様にコントローラーリングが設けられています。LCDも92万画素と高精細なので、クローズアップレンズを付けてのマニュアルフォーカス撮影ではコンデジ界最強の性能を発揮してくれるでしょう。昨日までは水中撮影に使う上で最良のコンデジとしてはPowerShot S100、対抗がOlympus XZ-1だと思ってましたが考え直さないと。なにしろS100やXZ-1のそれより面積比で6倍(!)も大きなイメージセンサーを搭載しているので 。

コンデジがスマートフォンに食われている昨今、従来のコンデジとは一線を画すハイエンドコンデジ路線が果たして吉と出るか凶と出るかは解りませんが、とりあえずG1 Xの実写を見るのが楽しみです。そしてプロカメラマンによるミラーレス機の対比レビュー記事も。

それにしても重量530gか…。