お金、お金、お金。今やるべきことは…

幸いなことに直接的な被災に遭わなかった我々が今やるべきことは、できる限り普段の生活を守ることでしょう。加えて、お金を送ること、そしてお金を使うことだと思います。どっちかというと後者の方が好ましいのかなとも。もし仮に我々が全財産をなげうって被災地支援にあててもらったとすれば、それはすごいサポートになるでしょうが、その先は心細くなり、下手すると力尽きかねませんので。

もちろん物資の買いだめなどは論外ですし、買い物も難しい現状があるにせよ、何となく買いそびれていたものを買うなど、意識してお金を使って経済を回すことが巡り巡って被災者、被災地への復興支援につながります。

日本人はどうもこんな時には娯楽や遊行を恥じ入るようなメンタリティがあるようですが、それらの産業にも少なからず従事者がいるわけで、そういったことを過剰に差し控えれば彼ら彼女らは生活の糧を失います。結果、被災地支援もままならなくなるわけです。善意が更なる経済的弱者を生み出してはいけません。うかれすぎず、さりとて萎縮せず、むしろ可能な範囲で積極的にお金を使うべきです。保身で財布のヒモを締める方が罪つくりなのだと。

まあ、さすがに開店前のパチンコ屋に並ぶ人などを見ると、それはどうかと思わなくもないですが。パチンコ台は少なからず電力を使いますしね。

それから義援金はできるだけ公的な機関に託すべきですね。今日、駅前に募金箱を並べながら大声を張り上げて募金を募っているおばちゃんを見かけましたが、善意の行動であるにせよ慎んでもらった方がいいです。

少し前のタイガーマスク運動の時は「不効率でも、やらないよりはずっとマシ」という理屈も成り立ちましたが、今回はそうではありません。個人や少人数の単位でどうこうしようと考えれば、かえって関係者の負担を増やしてしまいかねません。例えば、各人が家に眠っている毛布を届けようとするよりも、関連業者に大量の毛布を寄付してもらった方が実際にそれの入手に困っている人にとっても良いわけで。

お金はしかるべき機関に託して送りましょうね。そして、おかしなことにならないかを考えつつ、できるだけお金を使いましょう。

差し当たり、iTunes Storeを利用すれば、面倒な手続きもなく家にいながらかんたんに寄付金を託すことができます。


エコポイントが日本を滅ぼす説

もうすぐエコポイント制度が終了しますよね。その前に地デジテレビを1台くらい買おうかと思わなくもないですが、やはり気が引けます。今のテレビは無きゃ無いで困らない代物だよなと。

加えて、そう遠くない将来、Android搭載の格安テレビも発売されるでしょう。地デジチューナー非搭載、ネットテレビが基本の。そういう機器やApple TVでNational GEOGRAPHICやニュース系チャンネルなんかが見られるようになれば、私はもう地デジなんか要らないわけです。おまけにテレビは捨てにくいし。

で、そのエコポイントなんですが、これってホントは罪作りな拙い政策だと思います。だって税金で前倒し需要を作って二大産業の自動車と電気業界に特需を呼び込んだのは、裏を返せばそれらの業界の更なるスリム化や淘汰を妨げたことでもあるわけで。痛みを和らげることで病状を深刻化させてしまうような話で、かつての地方には建設業従事者が多く、失業者を増やさないために不自然な公共事業も必要という構図に似てます。

本当なら自動車でも電気でも大手メーカーは中長期のスパンで新興国との競争に勝てる分野だけに重点投資するぐらいの決断が必要ですよね。例えばロボットのソフトウェアとか。差し当たり新しいレガシーに搭載されたEyeSightなんかは良い方向性です。部品を組み立てたら出来上がるもとは違い、基礎研究の積み重ねがモノを言うような。じゃないと遠からず自動車にも家電にも今スマートフォンで起きていることが起こります。モノ作りへの執着、思い入れが結果的に日本を亡国へと導きかねないと。

産業界サイドからすれば、当事者に痛みを与えない人員削減の土壌作りを政治に求めるべきだったのではないでしょうか。政治家の連中には期待薄だとしても、避けては通れない道。なのに反動が怖い麻薬のようなエコポイント特需にすがってしまって…。

ePub日本語拡張仕様策定が事業仕分けを食らった件

11/16、新ICT利活用サービス創出支援事業が事業仕分けで予算計上見送りの判定を食らいました。ePub日本語拡張仕様策定なども水を差されたわけですが、まあ当然でしょうね。私もUstreamを見ていましたが予算要求する側の説得力が乏しかったので。もっとも事業仕分けには法的拘束力がないので実際に予算が付かないかは解らないのですが。

要求側の主張はこんな感じだったかと。

  1. 国が予算を付けなければ標準化は行われなず、日本で電子書籍のビジネスがシュリンクする
  2. 企業ごとにフォーマットが異なればコンテンツの囲い込みが進んで国民にとって迷惑
  3. 放っておけば3グループに分裂する状況

それって何なんだか。1や3は単に出版業界の足並みの悪さを嘆いているだけですし、2に関して言えば、もう既にたくさんの書籍がiOSアプリとして登場しています。もちろん既刊本、新刊本の総数からすれば僅かですが、少なくともePubの日本語拡張仕様を待たなければ出版ができないといった状況ではなく、iOSアプリは他の機器では動かないので事実上の囲い込みもとっくに発生しちゃっているわけです。

百歩譲って策定した日本語拡張仕様が早急にePub規格に採用されたとしても、果たしてiPadで先頭を行くAppleがiBooksにそれを実装してくれるかは不明です。というか多分やらないと思います。なぜなら10年くらい前までの「Appleにとって日本は米国(英語圏)の次に重要な市場」だった頃とは大きく事情が変わってきていますので。頼みの中国語もとっくに横書きに切り替わっていますし、いまさらAppleが日本ローカルの事情を優先的に汲み上げるようなことはしないだろうと。GoogleやAmazonもそう。なにしろ日本の産業界は彼らを「黒船」と称して半ば敵視している感もありますし。

まあ、日本語拡張仕様対応のePubビューワは国内メーカーが各デバイス向けに開発するにしても、そもそも「ビューワの都合で改ページ、リフローされてはかなわん」という作家もいるはずです。物理サイズが固定される紙の本ならカッチリとした禁則が利いていたものが、ePubではデバイスの表示サイズに合わせてリフローされる結果、往々にして「適当な禁則」に成り下がってしまいがちです。一行あたりの文字数が少なすぎたり、変な区切りで次ページに泣き別れたり…。これに耐えられない作家は少なからずおられるはすで、やはりPDFかアプリとしての配布を望むでしょう。

穿った見方をするなら、ePub日本語拡張仕様、フォーマットの標準化うんぬんは、国内の著名な作家の方々に対して「もうすぐ状況が整うから、どうか海外の電子出版会社と組むようなことはせずに待ってくれ」という、国内出版業界の後ろ向きな防衛戦術のような話なんじゃないかとも思えてなりません。

ともかく、ePub日本語拡張仕様策定の方は今年度の予算でいいところまで行っているとも聞きますので、私も仕分け人と同意見でわざわざ予算をつけて国が関与すべき話ではないと考えます。それにIT系ビジネスの世界では先に主導権を握った者が往々にして勝つわけで、うだうだやっていれば周回遅れになるだけです。ここで勝負をかけたい企業は、そんなことに惑わされずに、自身が最も妥当と考える方式でもって、さっさと実績を作りにかかった方が得策でしょうに。

◆◆◆

追記。

このエントリを書いた後に「どうやらAppleはWebKItに日本語拡張仕様を盛り込もうと頑張っているらしい」という噂を聞きました。

現状でもSafariはルビに対応しています。ただし行間隔が無残に開いてしまいますが…。

もちろん真偽の程はわかりませんし、それが本当でも途中でキャンセルにならないとも限らないでしょう。でも、これをやられるとまたAppleやGoogleに美味しいところを取られ、主導権を握られてしまいます。ローカル言語による一種の参入障壁があっさり乗り越えられて、国内メーカーは後追いせざるを得なくなるような…。ならば来年度の活動なんてのは無意味なわけですから、やはり仕分けられて当然です。仕様が決まればさっさと実装して市場で展開した者が勝ちなんだから。

何かおかしい球団売買

TBSと住生活グループとの横浜球団の売買交渉が物別れに終わったとのこと。asahi.comから引用すると、

交渉の中で住生活G側から本拠地を変更したいとの申し出があった。それでは手続きが間に合わないことなどから交渉継続を断念したという。

だそうで。敢えて鵜呑みにするとして、ここでいう手続きって何なのでしょう? もし本拠地移転をともなう球団売却だと、遅くともシーズン途中から話を進めておかなければならいってことですかね。それも何なんだか…。

というか関係各者が本拠地移転それ自体には肯定的なのか否定的なのかぐらいははっきりさせてもらいたいものです。

ひょっとしたら横浜から球団が逃げ出しそうなのを嫌った神奈川県ゆかりの政財界の大物が圧力をかけて潰した(彼らの説得に時間がかかるので手続きが間に合わない)なんてことだったら、またプロ野球にガッカリしてしまいますしね。

AppleがSONYを買収するわけがなかろう

AppleがSONYを買収するかもという憶測報道を受け、26日のSONYの株価は一時3%近く上昇したそうです。確かにAppleには潤沢なキャッシュフローがあって世界中の企業を物色しているでしょうけども、今のSONYがジョブズの眼鏡に適うかというと…。

かつてSONYはAV界の主役でテレビなりWalkmanなりで一世を風靡しました。少し後の時代もPS/PS2や映画部門(スパイダーマンなど)で市場の牽引役だったと思います。でも今日のSONY(というか、国内の電気メーカーすべて)はもはや黄昏時を迎えているような…。

たとえばこちらを見渡しても、果たしてAppleの食指が動く製品がどれだけあるものか。まあ、個々の開発部門単位で切り売りされるのであれば、ぜひとも買いたいところがあるかもしれませんが。例えばここにきてカメラ部門は元気ですよね。Cyber-shot HX5VやαNEXはベストセラー機になりましたし、α55もエントリ機ながら斬新なアイディアを具現化するなどして元気です。

いまだにα55よりもNEX-5の方が売れているのには驚くのですが、それだけ基本性能より軽さや小ささを重視する人が多いのでしょうね。

でも、やっぱりSONYを買うとは思えません。Appleは大胆に見えてもその実冒険はしませんので(というか、よくも悪くもジョブズの美観にそぐわないことはしないという…)。Appleの今のポジションからしてそんなことに大金を費やすより世界の要所に巨大データセンターを設置してiTunesを半クラウドモデルに移行させるなんてことを目指すのではないかと思います。

これが「SAMSUNGがSONYを買収」って話ならと私も浮き足立つのですがね。