東京の10年後は社会主義

先週の土曜日、テレビ朝日で放送された『池上彰のニュースそうだったのか !!』を見ました。

この日のテーマは国の主義。資本主義⇄社会主義、民主主義⇄独裁という話のおさらいです。混同されがちな共産主義は経済システムの定義なのでここには入りません。

『池上彰のニュースそうだったのか !!』2015.10.10放送より
『池上彰のニュースそうだったのか !!』2015.10.10放送より

番組を見て思ったのは「東京圏、あるいは日本もこの先、社会主義的な色合いが濃くなるだろうな…」ということ。原因は持たざる高齢者の増加です。地方から労働力をかき集めて発展してきた東京圏には高齢者とこれからリタイヤする世代が圧倒的に多いけど、持ち家率は5割以下。しかも年金の給付水準は下がっていくので、食い詰める人が続出します。

豊かな都市とて中低所得労働に支えられて成立しているのだし、地価が高い東京圏で家を持てなかったことを自己責任と片づけるわけにもいきません。問題を放置すれば社会不安が果てしなく増大するので、持たざる高齢者は公的に支える必要があります。

また、日本の子供の貧困率は先進国で最悪レベルとのこと。実に1/6の子供が該当するという統計も出ています。こちらの原因は親世代の労働環境の悪化。ワーキングプアは少子化の大きな原因でもあるし、子供世代が十分な教育を受けられなければ後の国力低下を招きます。それも10年後といった近未来に。

とはいえ各人、世帯すべてに生活保護を給付していては財政がパンクするので、どの自治体でも現物支給に切り替えることになるでしょう。公営住宅やフードスタンプですね。住居費と食費の負担がなくなれば低収入でもやっていかれます。もちろん住民の負担は増えるのだけど。

その必要性が解ってるならさっさとやればいいのですが、行政が重い腰を上げるのは危機が差し迫ってからになろうかと。都議会や市議会で、その主張をする候補が当選するのは問題が表面化しだしてからだろうから。そのタイミングは五輪後で、下流老人の激増に直面した東京が口火を切って…ってことになるのかな。

あと10年もすれば東京での暮らしぶりは大きく変わっていそうです。住民税などが地方よりも大きく上がって。

五輪の後の東京はどうなる?

Olympic_flag五輪後に東京圏は急速に劣化し始めるという予測があります。その頃には団塊の世代が70歳を越えてあらかたリタイヤしているから。さらに5年後10年後となると彼ら彼女らは後期高齢者です。中には生涯現役でバリバリ稼ぎ続ける経営者もいるだろうけど、ほんの僅か。ボリュームが最大の世代が所得税を払わなくなる上、次第に高齢者向けサービスを受ける側になっていくインパクトは大。長年地方から労働力をかき集めて繁栄してきた副作用ですね。地方よりもその割合と絶対数が圧倒的に多いという。

でも、これほどの問題をメディアは大して取り上げていません。黙殺しているのか、あるいは別の何かで乗り切れると楽観視しているのか。例えば五輪特需で?無理でしょう。人口構成が原因なので。 

お年寄りの排除なんてできないし、病気をしてくれるなというのも無理な話。高齢化を緩和できるほど膨大な数の移民・難民を受け入れて戦力化する包容力もありません。よって都市の高齢化の波は確実に到来します。ならば5年先、10年先の東京圏がどうなるか心の準備をしておくべきかと。

もっとも、劣化するといっても東京は日本の政治経済の中心地であり続けるはず。大半の企業も官公庁もそのままだろうし、労働者も通勤圏内に住み続けることになるから人口規模は維持されます。

ただし、高齢者の割合増加を受けて現役世代への負担は増えます。例えば東京では持ち家率が低いく、十分な貯蓄も作れなかった人も多いので、それら持たざるリタイヤ世代のために公営住宅をたっぷり設ける必要がありましょう。当然、原資は税金です。

また、この先はさすがに地方からの人口流入ペースも落ちるので、住宅の余剰感が顕著になります。なにしろ東京圏ではデヴェロッパー任せで無制限にマンションが建てられてきたから。自治体が下流良人向けに必要分を借り受けたとしても、まだ余ります。都心や有力地の物件はともかく、郊外のベッドタウンや古いマンションなんかは放置すればまばらにスラム化していくので、治安とインフラの維持のためにこれまたコストが増大します。

それらに対する負担名目が住民税になるのか健康保険料になるのか、はたまた別の税項目が作られるのか。ともかく東京圏在住者の負担額は大幅に増えていくはずです。

加えて高齢者の割合増加で消費活動は鈍り、街の活気はいくぶん失われます。東京圏に労働力を吸い上げられた地方がこれまで経験してきたことですね。違うところは地方が高齢化のピークを越えているのに対し、東京圏ではこれから急激に進行するという点。落差は大きいだろうな…。

まあ逆に考えれば、老人の多さに慣れ、生活コストの増加を受け入れさえすれば東京圏での都会的な生活も続けられます。腐っても鯛。相変わらず羽田・成田の二大国際空港があり、新幹線やリニアの起点で鉄道も網羅されており、働き場所も各種エンターテイメントも集結しているのだから、そこに魅力を感じ続ける人も多いでしょう。東京が劣化したところで地方都市が取って代わるわけじゃなし。

それに「便利だけどハイコストな東京圏」と「不便だけどローコストな地方」という構図が鮮明になっていくのは、まっとうな着地点です。どちらを好むかは人それぞれですが。

ちなみに私は後者。自動運転車が実用化されるであろう15年後ぐらいを目処に九州に帰るのが良いかなと思ってます。

東京には死亡フラグが立っている

81Padm7L7nL._SL1500_10月からアマゾンの電子書籍販売にも消費税がかかることを知っていたので、読みたかった本を9月の内に数冊買いました。その中の一冊が『東京劣化 地方以上に劇的な首都の人口問題 (PHP新書)』です。

私は満員の通勤電車に乗ったり台風で帰宅困難な場面に出くわすたびに「ああ、東京の繁栄は続かないだろうな…」と思っていました。台風に対する交通インフラの弱点はしかたないとしても、人口の過度な密集は深刻な問題だから。そこで東京劣化を読んでみた次第です。

この本に書かれている「やってはいけないこと」には納得のいかない部分も多々あるけど、「そう遠くない将来、東京圏がボロボロになっていく」という予測に関しては疑いようがありません。

いや、今の東京は一人勝ち状態。地方の衰退を尻目に繁栄を続けているので急激な凋落なんんかなさそうに見えます。例えば再びIT企業の集積地となりつつある渋谷では再開発が進んでいたり、東京駅前には245メートルの超高層ビルが建ち、リニア中央新幹線も開通します。湾岸の高層マンションだって飛ぶように売れているし、よほどの大災害でもなければこの先も東京は日本の政治経済の中心地であり続けるはずです。

ただし問題は長年の一極集中によって東京圏には高齢者とその予備軍がすさまじく多くなってしまったこと。そのため10年後には過去半世紀の経済を支えてきたボリュームの大きい層が軒並みリタイヤして所得税を払わなくなります。いわゆる「2025年問題」というやつですね。しかも東京の持ち家率は50%以下なので生活困窮者が激増することは必死。お金を使えない人が多ければ当然経済は低迷するので自治体の財政状況は瞬く間に悪化していきます。

それでも行政コストを効率化すべくコンパクトシティを目指せればいいのだけれど、「全住民を都心に引っ越させて多摩ニュータウンやら古い団地をことごとく打ち捨てる」なんてことは不可能です。特に道路などは放置して寸断させるわけにはいきません。

ただし財政に余裕がなくなれば十分なケアはできなくなるもの。この本では東京でも2030年頃にはインフラを維持管理できなくなると予想しています。わずか15年後です。しかも経済状況次第では早まる可能性もあります。住民に課される税負担は増えるだろうし、保守の優先度が下がった街では治安も悪くなるでしょう。

そして辛いのは効果的な対策がなさそうなこと。なにしろ元凶がいびつな人口構成なので。シリア難民とかから若い世代ばかり選別して何十万人も受け入れれば高齢化を緩和できるけど、それには相当な金額の支援が必要になってしまいます。かといって地方にももはや労働力の供給余力はありません。八方ふさがりです。

比較的人口が少ない地方の衰退が緩やかだったのに対し、巨大都市である東京圏では劣化が急速かつ苛烈に進みます。それでも東京圏に住み続ける人は住環境が急激に悪化していくのを甘んじて受け入れるしかないですね。これまでの無理やりな繁栄の副作用なのだから。

安保法案可決の感想

wordpress-logo安倍総理の悲願だった安保法案が遂に可決されました。

私の感想は「実に堂々と裏口入学しちゃったなぁ」です。私は改憲派で集団的自衛権にも賛成だけど、これはいただけません。筋が悪すぎます。反対野党の腕づくの抵抗が見苦しかった一方、安倍政権の姑息な国会運営も目立ったし。

だいたいこの法制はお粗末で「自衛隊員を見殺しにしかねない法律」と言えます。例えば自衛隊を紛争地に送り出して米軍や豪軍の後方支援中に交戦状態となり隊員が敵に捕まったら捕虜として扱われず犯罪者として即刻処刑なんてことが起こりうるので。

まあ現時点では国民投票で改憲賛成が2/3を上回る見込みはないと見たのだろうけど、それでも正攻法で挑んで欲しかったです。例えば来年の参院選と同時に投票とか。きっと6:4ぐらいで負けそうですが、将来の改憲への礎になりしょう。

それが今回ことを急いだばかりに国民の意思を二分して対立をエスカレートさせてしまいました。もはや憲法改正の可能性はかなり遠のいたように思えてなりません。

しかも、この先には憲法裁判のステージが待っています。もし最高裁で違憲の判決が出たら、この法律は死んでしまい、あの大混乱は何だっだんだってことになりましょう。

それでもやったということは安倍政権は最高裁にも影響力を行使できるという確信があるのかな。それもまた問題だよなぁ。

嫌がらせみたいな台風

昨夜のアメトーークは『猫メロメロ芸人』。冒頭を見てつまらなかったのでチャンネルを変えました。私も猫は好きだけど誰かの飼い猫話はうんざりするだけです。それを聞かされて他者が喜ぶとでも思っているのだろうか…。

その点、裏番組のクレイジージャーニーは素晴らしかったですね。水中写真家の鍵井靖章さん特集。第二次世界大戦中に沈んだ沈潜をめぐるジャーニーです。我々アマチュアダイバーとは何かと違いますよね。まあ当然だけど。


台風15号、大陸の方に向かうかと思いきやフィリピンのルソン島の北で進路を変え、沖縄の島々を西から順に舐めて九州を北上しそうな気配です。

台風15号の予想進路

だとすると週末から来週にかけての沖縄方面のダイビングは散々でしょうね。台風通過後もしばらくは濁りやうねりが残って、たとえ潜れても楽しくないと。まあ、お天気は次第に回復するだろうから陸上の観光には良いかな。

でも今回気になるのが鹿児島の桜島。活動中の火山を台風が見舞うとどうなるのでしょうか。火山付近の気圧が下がって噴火規模が拡大したり、地盤が崩れたりしなければ良いのだけど。

それと火山灰が台風に巻き上げられ拡散されるのも厄介ですよね。