ゲーム・オブ・スローンズの感想

この年末年始、Amazon Primeビデオでゲーム・オブ・スローンズを最初から見返しました。何しろテレビ番組のラインナップが総じてつまらなかったので。

以下、ネタバレ込みで感想を。これから見る人は読まない方がいいと思います。

ゲーム・オブ・スローンズ最終章

最終シーズン、以前は有料サービスだったので私は約3年遅れの今回が初視聴でした。なるほど賛否、好き嫌いが分かれるわけだ。

第7シーズンの最後、ブランとサムによりジョン・スノウの正体がエイゴン・ターガリエンだと明かされ、視聴者の多くは以下のどちらかの展開を期待したのではないかと。

  1. 信念のあまり暴走しがちなデナーリスをジョンが諌めるようにして二人でウェスタロスの統一国を平和に治めていく。近親婚もターガリエン家には珍しくない
  2. 本来なら継承権が上位のジョンがデナーリスの代わりに王位に就く。彼には出生記録がなく王家の血筋の立証は困難だが、ドラゴンを従えることでターガリエンの末裔であることが承認される

でも、物語の結末はご存知の通り。王都包囲戦で案の定暴走し、奇しくも父と同様に市民までをも虐殺するマッド・クイーンと化したデナーリスをジョンが刺殺。怒るドラゴンもターガリエンであるジョンは攻撃できず、初代のエイゴン・ターガリエンが造らせた玉座を焼き払うと彼女の亡骸を持って彼方に消え去りました。そうしてジョンは主君殺しの罪に問われることに。原作小説もこの結末なのかは知らないけど、作者なりHBOテレビシリーズの脚本家はこの物語をハッピーエンドにはせず、盛者必衰、栄枯盛衰の勝者なき悲話としたかったのでしょう。

そう考えると納得感はあるけど、他方で不遇の落とし子だったジョン・スノウが紆余曲折の末に王座に上り詰める終わりを見たかった人も多かっただろうことも解ります。

結局、世襲による統治の時代は終わり、北部を除く6国の王位に選ばれたのはブラン。サンサが北部を独立国として治め、アリアは未知の西方探検の航海に出ます。そしてジョンは再びナイツウォッチに。ホワイトウォーカーの脅威は去ったというのに。子をもうけない誓いにより、ついにターガリエン家の家系は潰えることになるでしょう。

それにしても物語全般を通じて If が付き纏います。ちょっとの歯車のかけ違いが深刻な事態を招き、主要人物のほとんどが命を落とすという。

もし、ピーター・ベイリッシュが何もしていなければ。そもそも彼がロバート王の王の手ジョン・アリンの暗殺を企てなければネッド・スタークが後任として王都に赴任することもなく一連の惨殺劇が始まらなかったのに。とはえいえ「要らんことしい」がベイリッシュの本性だし、サーセイがロバートに嫁いでラニスターによるバラシオン家の乗っ取りが進んでいたので、悲劇の連鎖が少し遅れただけだったかもしれないけど。

もし、サンサがジョンの正体を漏らさなければ。ジョンには秘密を守るよう誓わされたけど、デナーリスの支配者としての資質を信用できない彼女は、より玉座に相応しい人物がいることを元夫に教えてしまいます。後にサンサの見立ては的中するけど、もし彼女が秘密を守っていたなら。いや、ティリオンがヴァリスに伝えなければ何かが変わっていたかも。腹心ジョラー、我が子ドラゴン、最側近ミッサンデイを失った挙句のヴァリスの裏切りが、彼女の復讐心を掻き立ててしまった面もあろうから。

もし、デナーリスが王都全域ではなくサーセイがいると思しきレッドキープ城砦だけを破壊していれば。それで覇権争いはあっけなく決着が付いたし、ジョンにあの決断をさせることもなかったけど、もはやデナーリスは暴君からの解放と称して市民に残酷な「慈悲」を与えることを躊躇わず、城下町を焼き払ってしまう愚挙を犯してしまいます。玉座を得た後の統治を考えれば何の得もないというのに。決断の場にジョンがいなかったのが悔やまれます。

最後におまけ。本作の字幕版は誤訳もちょいちょい見られますね。セリフ上でネッドスタークとジョンを混同したり、ティリオンが言う「Our history(人類史)」を「我が家の歴史」と訳してみたり。とっくに指摘はされているはずだから直す気はないんだろうな。

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