財界にもサラリーキャップが必要だと思う

日産のカルロス・ゴーン前会長が有価証券報告書への虚偽記載等の容疑で逮捕・再逮捕され、勾留が続いています。過少申告に関しては「社員の士気を下げないため」が理由だそうな。犯罪性はともかく「貰いすぎ」が問題になる自覚はあったようですね。

また、彼にとっての本国の一つのフランスではジレ・ジョーヌ(イエローベスト)デモが起き、マクロン政権を揺さぶりました。運動の引き鉄は燃料税値上げだけど背景にあるのは格差問題でしょう。そう、現代の世界的な不安要素の最たるものが格差。2016年のジニ係数によるとフランスは日本やアメリカよりもマシな方なのですが、さすがは革命の国だ。

巨大企業経営者への報酬が巨額になることに対しては「他社に引き抜かれないためには必要」という見方があります。でも、それって詭弁に聞こえるのですよね。「税率を下げないと富裕層が国外に転出してしまう」なんかと似た、富める者がより富むための。

他方、格差が大きい国では富裕層も含めて平均寿命が短くなるという話を聞いたことがあります。詳しい理由はわからないけど、富裕層なら高級で安全な水や食料を買えたとしても、空気や気候風土まではどうにもならないからかな。

だったら格差を広げすぎないために経営者の高額報酬には歯止めを設けるべきだと思います。例えば「経営者への報酬が末端のスタッフの●●●倍を超えるのは違法」といったルールを国際的に導入できれば潮目も変わろうかと。仮に末端スタッフの年収が400万円と仮定して「100倍まで」という規定ならば4億円が上限になります。そして経営者が報酬を増やしたければ社員の年収も底上げする必要があるわけです。倍率は国や売上総額によって違ってもいいでしょう。もちろん「直接雇用の社員を派遣労働者に置き換える」なんて抜け道は無しです。その場合は雇用形態にかかわらず、より低賃金の人が基準になります。

経営者に超高額の報酬を払う企業はそう多くないかもしれないけど、実施できれば象徴的な意味合いを発揮し得るはずです。引き抜き対策の意味合いも崩れます。その上で、10億を超える報酬を得る経営者はさぞ尊敬されることでしょう。それだけ社員の所得を底上げしたわけだから。

一方、ハリウッドスターやミュージシャン、スポーツ選手、作家のような自身の技能に対して得る報酬に関しては巨額だろうともこの範疇外、青天井でいいと思います。でもゴーン氏の場合は自身で日産車を作ってたわけじゃないから、仮に復職できたとしても適用の対象ですね。

ともかく「労働力を買い叩くことが企業経営者にとってのインセンティブになる」「低所得者を生み出すほど自分たちへの報酬が増える」という状況を覆すことが重要です。さもなくばどの国も疲弊していきます。ほんでもって富裕層すら寿命を縮めかねないのだから、格差拡大は誰にとってもいいことではありません。

というわけで、どこかの経済学者や社会学者の方、この案をうまく昇華して世に発表してくれないかな。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください