タックスヘイブンはやっぱダメだと思う

パナマ文書、日本では大して騒がれていないし、著名な論客にも「タックスヘイブンの活用はグローバルビジネスでは常識」などと容認する向きがあったりするけど、私はけっこう性悪な問題だと思っています。

MOSSACK FONSECA
ロイターより

比較的税率が低い香港やらシンガポールに居を据えてビジネスを展開するのはありだけど、パナマやケイマン諸島にペーパーカンパニーをこしらえてどうこうするのはアウト。実際にパナマとかに引っ越すなら納得もするけど。

中には「タックスヘイブンの利用は広く誰にでも開かれているから公平」と言う人もいるけど、それも違う気がします。これが株であれば「貧乏人だって小口にコツコツ売買して、次第に資産を増やすこともできるはず」という理屈も成り立つけど、タックスヘイブンはいわば「ワイン1本1,000万円〜の酒屋(豪華な購入者特典あり)」みたいなもの。誰でも入れはするけど、利用できるのはごく僅かな人だけです。

でも、公平うんぬんというより、タックスヘイブンの利用者は自国の存続基盤を揺るがす売国敵な行為に思えてならないのですよね。

仮にタックスヘイブンに問題が無いのだとすれば、もっと利用者層を拡大しても良いはずです。今みたいにスペシャルリッチなグローバル企業や大資産家だけでなく、そこそこの企業や個人資産家でもメリットを得られるようにして。でも、その結果どうなるかというと、各国の財政と景気の悪化、ひいては世界的な経済規模の縮小と社会不安の蔓延が目に見えています。なにしろ金持ちが相応の納税をしない分を、その他大勢の人が埋め合わせさせられ、税金や社会保障費が上がったり社会保障の水準が切り下げられたりして。

その状況は、小泉政権下で行われた派遣法の改正が、以後ひたすら低所得労働者増産装置として働いているのに似ています。派遣労働者の利用は合法だけど、企業がこぞって正規社員を非社員で置き換えていけば該当する人々の可処分所得は減り、消費能力が乏しいものだからデフレが続き、それがまた企業の余裕を奪って非正規労働者に依存するという。

ならばタックスヘイブンの活用は「国がどうなろうが貧乏人がもっと困窮しようが知ったこっちゃない」と言っているも同然です。よもやタックスヘイブンの活用を「超リッチな連中だけに許された課税逃れ特権」なんて言わないですよね?

よって、タックスヘイブンは現状は合法だとしても単に法規制が追いついていないだけだろうと。自国だけでどうこうできないものだから。

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