最近、Amazonオーディブルのバナー広告をよく見かけます。この夏に日本でも始まった書籍朗読音声の配信サービスですね。本を耳で聴こうという。
他方、似たようなコンセプトの技術にDAISY(Digital Accessible Information System)という規格・サービスがあるけど世間的にほとんど知られていません。なぜならそれが視覚障害者など印刷の本を読めない人向けだから。DAISYのコンテンツはそれらの障害者だけが利用可能です。
よって我々晴眼者はDAISYじゃなくAmazonオーディブルを使うしかありません。でもDAISYなら出版社の許可なしに書籍を録音図書化できる(障害者が本を読む権利を守るという思想によって)のに対し、Amazonオーディブルのコンテンツはオフィシャルのもののみ。よってDAISYにはあるのにAmazonオーディブルにはないタイトルが多数。
とはいえDAISYコンテンツがボランティアベースで作られる障害者向け無料サービスなのに対し、AmazonオーディブルはAmazonの息の掛かった万人向け有料サービスで、ダウンロード数に応じた利益分配が可能なのだから今後は出版社や著者の理解も進み、タイトルもハイペースで増えていくはず。しかも朗読には著名人やアナウンサーらを動員できます。
というわけでAmazonが障害者のオーディブルの会費を免除すれば、次第にAmazonオーディブルがDAISYの需要も食っていくでしょう。制作ボランティアの活躍の場が失われるけど、それはそれで良いことだと思います。障害者もハイクオリティの朗読が聴けるのだから。
まあDAISYには単なる録音図書の他にも、テキストや絵図も表示できるマルチメディアDAISYという規格があり、教科書などの用途には使われているけど、そちらは細々と続いていくことでしょう。