時折、自動運転車の展望がメディアの話題に上ることがあります。私が聞いた限りだと当面の有望な案は以下の通り。
- 依然として運転席があり、通常は人間が運転する
- 高速道路上や渋滞中は自動走行が可能
というもの。なるほど現実的な線です。
でも、これじゃダメだと思うのですよね。理由は二つ。
- イノベーションとして弱い
- Googleは完全自動運転を目指している
自動車メーカーなどは「運転する楽しみを残したい」と思うだろうけど、そこにこだわれば命取りになり兼ねません。
例えば、かつて日本のケータイは世界最先端の技術を誇っていたものの、iPhoneを筆頭としたスマホ勢にしてやられ、今ではガラケーはニッチ市場商品の座に追いやられました。当初、業界の人が「こんな電話っぽくないものを誰が使うんだ?」などとせせら笑っていたというのに。つまり中途半端な進歩は、より大胆な進歩の前では霞んでしまうわけです。過渡期は運転補佐的機能でも、そこに留まらず完全自動運転の実現を目指すべきでしょう。少なくともGoogleは一番影響力のあるポジションを狙ってきます。
だとすると必要なのは車だけではなく交通インフラのスマート化。道路、信号、駐車場などですね。そららがリアルタイムに通信しあって秩序と安全性を確保すると。よってどこかの田舎街を自動運転車特区に認定して、その中に限定して実証実験をガンガンやるべきだと思います。差し当たり佐賀県なんかいいかも。行政のITへの関心が妙に高く人口規模でも手ごろだから。利用者の少ないあの空港も自動運転の実験区域に組入れられそうだし。それに自動運転車は高齢化社会や地方都市の公共交通インフラの救世主になりうると思うのですよね。
そうやって完全自動運転車が実現すれば、まず恩恵が大きそうなのは運送業界。amazonやらネット通販が台頭して今や物流は大変なことになっているから。集配は人間がやるとしても営業所間は自動運転車が運ぶようになれば長距離トラックのドライバーは仕事がなくなるかも。同様にタクシードライバーのお仕事も微妙ですね。
そして躍進するのはカーシェアやレンタカーのビジネスかな。車自体にこだわりを持たない人は必要なときだけ使えればいいわけだから、いよいよ車に対する所有欲が無くなるでしょう。しかも自動運転車なら、車に自宅に迎えに来てもらって乗って外出し、用が済んで家まで送ってもらったら車が勝手に帰っていくなんてことが可能になります。
逆に割を食うのは自家用車関連のマーケットか。住居にも必ずしも駐車場は要らなくなるかもしれません。
他方で「自動運転車が交通事故を起こした場合、誰が責任を負うのか?」という議論もありますよね。オーナーなのかOSメーカーなのかインフラなのか。でも今でも事故が起これば原因が究明され、当事者には相応の責任が追及されます。その車の潜在的な欠陥ならメーカーだし、運転技術に起因するなら運転者です。中には不可抗力のアクシデントってこともありましょう。だったら自動運転車でもその通りです。それが実現した後は「事故の際、何で君は自分で運転してたんだ?」などと言われる日が案外早く来るような気がします。自動運転車なら飲酒運転もあり得ないし。
というわけで「運転が面倒」って理由でペーパードライバーとなって久しく、今さら運転を再開する気にはなれない私の要望を書いてみました。何年かかるだろうか…。