ePubの不適切な使われ方

今月、ONE PIECEの第67巻が発売されました。発売日に買ってその日のセブ行きの飛行機内で読んだ私の感想は「また話を広げるのかよ」。果たして「JOKER」とは誰なのか。海軍もしくは政府に相当強い権力を行使できる人物だから、既出なら赤犬か五老星か、それともやっぱり新キャラなのか…。

何年後かのクライマックスに向けて何度か山を作らなきゃならんのでしょうが、もう作品長すぎ。そろそろ脱落しかけてます。


さて、今回はePubの話。電子書籍の標準規格のあれです。

ONE PIECE電子書籍のバナーONE PIECEには電子書籍版もあります。購入・閲覧環境の一つはYahoo!ブックストア、もう一つはBookLive。BookLiveの方はコンテンツのコンテナ(フォーマット)にePubを採用しています。ひょっとしたらYahoo!ブックストアもそうなのかな。

ただし、いずれも専用ビューワーで表示する仕様。そのアプリの挙動が怪しいからといってiBooksやStanzaなど思い思いのePubビューワーで読めたりはしません。

また、個々のコンテンツは容易には取り出せないようになっています。仮に取り出せてもガッチガチのDRMが掛かっているはず。当然ですよね。誰かが鍵を外してコピー版のePubが大量に出回ろうものなら、その販売業者は莫大な額の損害賠償訴訟を喰らいかねないので。「世は大海賊版時代。ONE PIECEだけに」ってわけにはいきません。

でも、この使われ方だとePubと言いつつも独自フォーマットと何ら変わりありません。ePub最大のセールスポイントである普遍性(プラットホームをまたいで好きなePubビューワーで読める)は一切享受できないのだから。

いや、専用ビューワーを作る方にはDRM以外のデータフォーマットを自分で考える必要がないというメリットがあります。でもそれはあくまでも作り手、提供者側の都合にすぎません。

ユーザーにePubとしての有益性を提供できないのであれば、たとえコンテンツの構造がePubの規格に則って作られていてもePubとうたうのは不適切。というか半ば悪質だと思います。標準規格を名乗ってさも永続性が保障されるかのように見せかけておきながら、ある日業者がサービスを停止しようものならユーザー認証が通らず、以後は一切読めなくなるわけで。

よって本来ならIDPF(ePubの所管団体)はePubとうたうための条件を明確に規定すべきですね。例えば以下の条件を満たしている場合のみePubと表記していいとか。

  • 特定のデバイス、ビューワー、サービスに依存しない

・少なくとも資本関係がない機関が提供する複数種類のビューワーで閲覧できること

・ユーザーがどのePubビューワーで読むかを選択できること 

つまり、中身がePub準拠であっても独自のDRMや囲い込みをした時点でePubと表記する権利を失うような。じゃないと将来に禍根を残すことになりそうです。 もちろんePubを独自拡張してePubとうたわずに展開するのはOK。Appleは実際にそうしていますし。

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