超・初心者向けデジイチ水中写真入門(5) 使えるレンズの見分けかた

私のダイビング仲間の一人がOlympus OM-Dの購入を検討中です。ゆくゆくは水中ハウジングも買って水中写真にも使いたいとのこと。どうやらお得なダブルズームレンズキットに魅かれているようです。でもこのレンズキットって存在は案外曲者だったりします。

OM-Dのダブルズームキットに付いているレンズは以下の2本。

  • Olympus M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6II R
  • Olympus M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6R

スペックを比べるとこの通り。ここでは水中撮影用で特に重視すべき点だけを抜き出してあります。

  M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6II R M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6R
最低撮影距離 25cm 90cm
最大撮影倍率 0.19倍 0.16 倍

まず、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6R(上の表の右側)は水中ではまったく使い物になりません。なにしろ最低撮影距離が90cm、それ以内ではピントが合わないということです。そして90cmというと、よほど透明度が高い海でもなければストロボ光が減退して届きにくくなる距離。そもそも海の中では遠くはどうしても青く不鮮明になります。よってこのレンズでは何を撮っても楽しくないはずです。既製の対応レンズポートもないでしょう。

もう一方のM.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6II Rは使えなくはないものの、14-42mmを35mm判に換算すると28-82mm相当。そう、今どきのコンデジと同じような画角です。しかも25cm以内(レンズの先からは約20cm)はピントが合いません。よって小さなウミウシやカエルアンコウの幼魚、ダンゴウオなんかを撮るには微妙です。

もちろんコンパクトデジカメ(Canon PowerShot G1 Xを除く)よりはセンサーが大きいため画質面では有利だとしても、コンデジの水中セットの方が圧倒的にリーズナブル。しかもコンデジにはマクロモードもあります。

つまりこのダブルズームキットの2本のレンズは「まったく水中向きではないレンズ」と「ミラーレスにしたメリットがないレンズ」の組み合わせということです。

もっとも陸上で使うのが主目的で、水中では何となく撮れればいいってことなら構わないのですが、それにしては値が張りますよね。カメラ、レンズ、水中ハウジング、レンズポートの4点セットは20万円を超えちゃうわけで。だったら水中用には別途コンデジの上位機種を買い、OM-Dは陸上用に留める方が良いいかと。

もし、マクロ重視なら現時点ではCanon PowerShot S100がお勧めです。対応する水中ハウジングも知る限りで4社から発売されています。

ちなみに私がとりわけ水中撮影に向いていると思うマイクロフォーサーズ用レンズは以下の2本。

  • Panasonic LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm
  • Panasonic LUMIX G FISHEYE 8mm F3.5
  LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm Panasonic LUMIX G FISHEYE 8mm F3.5
最低撮影距離 15cm 10cm
最大撮影倍率 1.0倍 0.2倍

どちらも最低撮影距離が近く(ストロボ光が十分に届く距離まで被写体に寄れる)、かつコンパクトデジカメでは撮れない絵を写し出してくれるので。

ああ、そうだ。ズームレンズの14-42mmとマクロの45mmでは似たような焦点距離の数字が付与されているので、初心者は何となく「どちらも同じように写せるんじゃないか」「42mm側にズームをかければマクロに近い絵が撮れるよね?」と思うかもしれません。私も最初はそうでした。でも違うのですよね。

この場合、重要なのが最大撮影倍率。MACRO-ELMARIT 45mmが1.0倍なのに対して14-42mm F3.5-5.6II Rは0.19倍。早い話がズームレンズだと被写体がマクロレンズのときの1/5以下の大きさにしか映らないわけです。クローズアップレンズを外付けすれば焦点距離を短くしつつ拡大率を上げられますが、それでもマクロレンズの拡大率と使い勝手の良さには追いつきません。よってマクロ写真が撮りたければマクロレンズを選ぶべきです。

それともう一つ。コンデジのマクロモードには範囲が設定されていて被写体から離れるとピントが合わなくなりますが、一眼のマクロレンズにはそれがありません。手前から無限遠までピントが合うので、接写だけでなく人物のスナップを撮る用途なんかにもけっこう有益です。

それでもズームレンズが好みなら以下の2本はまあ悪くはないかと。

  • Panasonic LUMIX G VARIO 7-14mm F4.0 ASPH
  • Olympus M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
  Panasonic LUMIX G VARIO 7-14mm F4.0 ASPH Olympus M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
最低撮影距離 25cm 25cm
最大撮影倍率 0.08倍 0.10倍

どちらもコンデジにはない画角を持っているので。 あれこれ長くなりましたが、水中撮影ようにレンズを選ぶときは以下を目安にすると良いでしょう。

  • マクロ指向なら迷わずマクロレンズ
  • ワイド指向ならコンデジにはない画角のレンズ(35mm版換算で20mm未満が目安)

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“超・初心者向けデジイチ水中写真入門(5) 使えるレンズの見分けかた” への7件の返信

  1. ダブルズームレンズキットは使えませんか(–;) 取り合えずレンズキットの方を購入して様子をみます。防滴・防塵レンズは外せない(>_<)

  2. ダブルズームレンズキットは使えませんか(–;) 取り合えずレンズキットの方を購入して様子をみます。防滴・防塵レンズは外せない(>_<)

  3. ダブルズームレンズキットは使えませんか(–;) 取り合えずレンズキットの方を購入して様子をみます。防滴・防塵レンズは外せない(>_<)

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