電子書籍三年目

初代iPadが発売されたのが2年前の4月。そこを電子書籍元年とするなら今年は電子書籍三年目に当たります。私も仕事の一環で断続的に研究していましたが、ふと立ち止まって現状を見回してみると、思っていたほど何かが変わった感はないような…。

いや、中には相当数売れている電子書籍もありますよね。「もしドラ」やスティーブ・ジョブズの伝記など。でもそれって紙の本としてもベストセラーで、電子書籍だから売れたのではないわけです。

思い起こせば2年前、iPadが発売され、iBooksがePubをサポートしていたことで、いよいよセルフパブリッシング時代の幕開けかと言われていました。標準規格のePubにすれば誰でも売り物と同じような書籍が作れ、出版社やら取次、印刷や製本の工程もすっ飛ばして本が出せると。

でも現実はそうはなりませんでした。考えてみれば当然です。人々は無名作家の作品なんか買って読みたくはないわけで。例えば小説なら、せめてどこかの新人賞はクリアしたぐらいでないと食指は伸びません。いや、無料公開でもそもそも辿り着かないでしょう。かつてのホームページやBlogのようにはすそ野は広がらないわけだ。

一方で著名人、有力作家は出版不況下にあっても出版社と編集者のサポートを受けながら紙の本を出版できます。有力作家の作品が揃わないのが日本で電子書籍が足踏みしている最大の理由ですが、歩合制の電子書籍と違って紙の本が出来たら作家には印税収入が入るわけで、特に新しいこと好きでもなければ電子書籍化を急ぐ理由はないでしょう。

うん、少なくとも日本では電子書籍が花開くのはまだまだ先のような気がします。年内には黒船Amazonが参入してくるようですが、どうでしょうかね。

ああ、でもiPadの普及で自炊データが実用的になったのは大きな進歩かも。

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