女性専用車両の意味

先週、朝の千代田線で男性三人組が女性専用車両に乗り込み、居合わせた女性客との間で「降りろ、降りない」の騒動になり、電車が遅れる事態が発生しました。最近、ちょいちょいこの手の話を聞くのだけど、どうやら女性専用車両の存在を男性差別と感じる人が「男性も乗る権利がある」と実力行使に出たているそうで。

女性専用車両

この件、中にはイスラム教徒の入国制限に例える人すらいます。女性専用車両の思想はトラン大統領が言うところの「イスラム教徒のテロリストがいるのでイスラム教徒全体の入国を制限する」に通じる不当な差別なのだと。痴漢がいるので男性全体が犯罪者予備軍であるかのように扱われるのはけしからんとばかりに。

でもこの例えはズレています。男性が電車に乗れないわけではないのだから。女性専用車両だろうが他の車両だろうが同じ目的地に向かうし同じ駅に停車します。入国に例えるなら、せいぜい女性専用のイミグレーションブースがあるってぐらいの。

よって女性専用車両を他の事象に例えるなら、「男女共用のトイレの他にも女性用トイレも設けた」みたいな話。利用者にしてみれば女性だけの空間の方が居心地がいい場所やタイミングもあるでしょうから、鉄道会社は単純にニーズに応えただけです。

それに、男性が女性専用車両に乗れるかどうかは個々人の主義主張や権利の話。対して女性専用車両の存在や運用は、痴漢被害の防止や過去の被害経験者へのケアによるもの。観点が違います。そしてこの場合、優先されるべきは権利ではなく防犯の目的です。男性が女性専用車両に乗れなくても社会問題にはならないけど(当人は釈然としないかもしれないが、他方で納得している人も多い)、痴漢がなされれば犯罪の発生を意味します。

これってちょうど受動喫煙防止と同じ構図。喫煙者が「吸う権利がある」と言い、規制を求める側が「他者を巻き込むな」と言うのと。利害が対立する場合、被害を受ける側の立場を優先しないとやりたい放題になってしまいます。

Japanese Guide For Tarsier

このFROGFISH.JPの姉妹サイトとして「Japanese Guide For Tarsier」を公開しました。内容は「日本に興味がある主にフィリピン人向けの日本ガイド」です。

Japanese Guide For Tarsiers

きっかけは私が二年半前にBayside English Cebu RPC校で馴染みになったフィリピン人英語教師数名がこの夏に来日し、東京の九段下の英会話スクールで英語を教えることになった際、オーナーから「彼らに日本語を教えてあげて」と頼まれたから。どうしたものかとしばし考えた結果「私自身がライターの端くれなのだから、独自にテキストブックを作ろう」と思った次第です。ただし、当初は日本語ガイドにするつもりでタイトルを「Japanese Guide」としたけど、意外に大変そうなので当面は「Japan Guide」になるかな。

それに、2020年4月から小学校3年生以上への英語教育が始まるため、2年後にはフィリピンから何千人もの英語教師が来日することになるでしょう。何しろちゃんと英語が話せる日本人の小学校教師なんて僅かだし、全国2万校、約400万人の小学生にまともな英語教育を行うなら他に選択肢はないはずです。もちろん他の国からも来てくれるとありがたいけど、互いの国どうしの距離や人件費の面から必然的にフィリピン人が中心になります。ならば彼ら彼女らに今の内から日本を知ってもらうう上で一役買ってみようかと。

そんなわけでサイトは日英両対応にしました。まず日本語で原稿を書き、それをGoogle翻訳を使って英訳しています。そのため英語の間違いや読みづらい言い回しなどが多々あるかもしれないけど、それをきっかけにフィリピン人達とコミュニケーションができるでしょう。

ちなみにタイトルの「Tarsier」とはフィリピンに生息する猿の名前ですね。もちろんフィリピン人を猿扱いしたいわけではなく、ニュージーランド人が自分たちを「キウイ(Kiwi)」と表現するような意味合で受け取ってもらえるといいかなと。

てなわけで、よかったらJapanese Guide For Tarsierを覗いてみてください。ついでにページ内の広告もたくさんタップしてくれると私に対するちょっとした応援になります。

それと、当面はJapanese Guide For Tarsierの充実に注力するため、こちらのblogの更新は飛び飛びになるかもしれません。

APECOって何よ

私が時折「フィリピン」で検索するせいか、Webを閲覧していると、たまに「APECO」の広告が表示されます。フィリピンの特別永住権のことです。その取得セミナーが12/10(日)に東京駅の近くで行われたので参加してみました。

APECO

APECOというのは、Aurora Pacific Economic Zone and Freeport Authorityの略でフィリピンのルソン島オーロラ州(マニラの北東の東海岸)が発行するフィリピンの特別永住権の名称です。同州は経済特区で、その権限が与えられているのだそうな。

これまでもフィリピン退職庁が「SRRV」「クオータービザ」という永住権を発行していたけど、もっと取得しやすい内容になっているようです。例えば従来の永住権を取るには30〜40日のフィリピン滞在が必要だったところが、APECOは3泊4日で取れるとのこと。また、従来の永住権は1年毎の更新だったけどAPECOは5年毎。APECOではフィリピン国内の住所や居住実績も不要になっています。

ただし、従来の永住権は最初に預け入れたお金は自由に引き出せるし永住権を放棄すれば戻ってくるのに対し、APECOは一切戻って来ません。というのも「オーロラ州のリゾートの建設費用を拠出してくれた人にフィリピンンの永住権を与える」という仕組みのようで。なるほど、だからEconomicが入っているのですね。

ちなみにそのリゾートは来年からコンドミニアムがぼちぼち完成し始める段階とのこと。APECO取得者は毎年60日、完成したリゾートに無料滞在できる特典があるそうだけど、リゾートの街があらかた出来上がらないことには行ってもつまらんですよね。しかもマニラから悪路を車で8時間走ってようやくたどり着ける僻地らしいし。いずれ空港が整備され、マニラやクラークから空路で行かれるようになるようだけど、フィリピンのことだから建設は遅れに遅れるかもしれないし。

さて、フィリピン側の思惑が「フィリピンでの居住いかんに関わらず特区内のリゾート開発費の出資者を募りたい」なのに対して、日本人が取得する際の主たるメリットが何かと言えば「資産形成・保全」のようでした。セミナー主催者はファイナンシャルプランナーの方だったし。フィリピンは金利が高く、国際的な共通報告基準(CRS: Common Reporting Standard)の枠組みにも入っていないので訴追されにくい資産の退避先になりうるとのこと。

で、肝心の取得費用は20,000米ドル+150万円と聞きました。今のレートで計380万円ぐらいかな。これにマニラへの往復航空券+ホテル代(最低3泊)+食事代がかかるので400万円弱といった感じです。5年毎の更新費は75,000円かかります。他の永住権と違って英語がまったくできなくても手続き時に通訳が付くので大丈夫らしいです。

また、この永住権があると国籍は日本のままなのにJALとANAの国内線に外国人料金(どの区間も片道10,800円)で乗れるそうな。頻繁に国内線に乗る人なら400万円も簡単にペイするかもしれません。

それとこのAPECOの枠は600名限定。すでに200人強が取得済みなので、いつまで取得可能かは不明とのことです。フィリピン側にしてみれば600人分に限らず開発への出資を募りたいだろうから多分追加があるだろうけど、第2次募集以降は取得費用の金額が上がっていくかもしれませんね。来年以降は対ドルで円安も進みそうだし。

というわけで、400万円でフィリピンの永住権を買いたい人、フィリピンで資産の管理・運用やビジネスがしたい人、JALとANAの国内線に乗りまくる人なんかは検討してみてはいかがでしょうか。

ちなみにAPECOを仲介しているHalo Haloという日系企業は、フィリピン版の楽天みたいなITサービス企業ですが、MNL48も展開していて先日オーディションが行われたばかりなのだと。オーディションにはアプリでエントリさせ、応援投票もアプリにすることで、若年層の顧客情報を集める目的もあるそうです。なるほどね。そういやこの企業のチラシ、去年のフィリピンフェスティバルで貰ってたわ。

Hallohallo.comのチラシ

「禁煙ファシズム」と言う愚

近々タバコの値段が上がりそうです。増税により20円ずつ×3〜4年で60円の値上げとなるようで。それでも欧米主要国と比べてもまだ安価だし五輪も控えているので、もっと大胆に上げればいいと思うのだけど、刻んできたのは自民党たばこ議連の連中が献金がなくなるのを恐れたからでしょう。喫煙率が急に下がらないように配慮したと。それにしても受動喫煙の規制強化には抵抗するくせに小幅ながら増税には賛成するのだから自民党の体質をよく表しています。

他方で来年2月には東京都議会で例の受動喫煙防止条例が提出される見込みです。先の総選挙で希望の党が惨敗し、いよいよ追い込まれた小池都知事にしてみれば、ここで妥協せずに踏ん張らないと後がありません。それこそ来年中にまたもや都知事選なんてことにもなりかねない状況です。都内では「30平米を超える飲食店は全面禁煙」となってほしいものです。

Nosmoking mark

さて、受動喫煙への規制強化がなされようとすると必ず「禁煙ファシズム」なる造語を使う輩が現れます。知識人やジャーナリストと名乗る人ですらそうだから呆れてしまいます。愚かですよね。絶対悪とされるナチズムを引き合いに出して禁煙化にネガティブな印象を付与したり、ナチスから非人道的な弾圧を受けた当時のユダヤ人になぞらえて自分たちをかわいそうな被害者に見せたいのだろうけど、現実は逆。他人を巻き込むクズ喫煙者は加害者の側なのだから。ちょっと考えれば受動喫煙への規制強化が「ナチスによるユダヤ人弾圧」よりも「平和な国家におけるテロリストの封じ込め」の構図によほど近いことが解ろうものなのに。

この場合、全体主義思想によって喫煙者というマイノリティが弾圧されているのではなく、他者を害するから規制の対象とされるだけの話です。他者を巻き込まない喫煙は規制されないし、実際そうしている良識的な喫煙者も大勢います。彼らは「加害者にはなりたくない」という信念から飲食店の完全禁煙にも賛成しています。

よって、「禁煙ファシズム」という言葉を使う人は「考える力がない人」と見なすといいでしょう。自分の言い分の弱点に思いが巡らないという。

昭和天皇物語

『昭和天皇物語』なる漫画の単行本第1巻が発売されたので読みました。ビッグコミックオリジナルで連載されているようですね。

昭和天皇物語

今上天皇の退位が近くなったことで企画されたのだろうけど、よもやこのテーマの漫画が世に送り出されるとは思ってもみませんでした。何というか、おそれ多いタブーの領域だと勝手に思っていたもので。

でも、映画『日本のいちばん長い日』では本木雅弘さんが演じていたし、考えてみれば昭和天皇は我が国の近代史が誇る最大の偉人なので、むしろ後世に積極的に伝えるべきでしょう。

第1巻の冒頭はかの有名なマッカーサー司令官との会談で始まります。敗戦国の王として命乞いをするどころか、 自らが戦争の全責任を負うと申し出られたことで、マッカーサーがいたく感銘を受けたいという。昭和天皇のこのお言葉がなければ天皇制は廃止され、その後の日本はもっと主体性のない国になっていたかもしれません。

さて、物語は昭和天皇が皇太子になる前、明治時代後半の幼少期から描かれています。我々は昭和天皇が高潔なお人柄だったことぐらいしか存じ上げないので、非常に興味深いです。当然ながら今後青年期に差し掛かり、20歳で摂政になり、25歳で天皇に即位され、その間には関東大震災が、その後も太平洋戦争、そして戦後の復興など激動の時代が天皇中心に描かれていくのでしょう。

作者および編集者は、この漫画の連載をやるからには膨大な資料を読み込み、各方面に綿密な取材を敢行しているはず。よって逸話やセリフの細かいところまで史実なのか、あるいは多分にフィクションで補正されているのかは私には解らないのだけど、ともかく最終話まで読み遂げないといけない作品だと思いました。