テキストの正確な読み上げはAIには無理

テキストの読み上げ精度を上げるには二つの方式が考えられます。

  • 徹底的にタグ付けする
  • 辞書を充実させ、AIを発展させる

ちなみに私は前者の信望者です。作業的には面倒になるけど確実だから。

後者、つまりAI技術でスマートに解決したいと思う人もいるかもしれないけど、例えば文中の「羽生」が「はにゅう」なのか「はぶ」なのかAIには正確に判断できないはずなので。

いや、テキストを解析してフィギュアスケートの記事だったらはにゅう選手だとわかるかもしれないけど、はぶさんがスポーツに取り組んだといった記事なら「はにゅう」と読んでしまうかも。増してや文中に登場するはぶさんやはにゅうさんが一般人だったら、あてずっぽうにならざるを得ないわけです。近年、キラキラネームを持つ人も増えているし。

それにAI方式だと、読み上げエンジンによって出来不出来の差が如実に出てしまいますよね。

よってどなたかテキスト読み上げのための標準仕様を策定して(まだ存在していないですよね?)、Apple、Google、Microsoft、Amazonなどに採用を促していただけないかと。残念ながら私にはその伝手がないので。

まあ、それが実現したら濱田祐太郎さんの「かとう せんにひゃくさんじゅうななだん」ってネタは過去の話になってしまうけど。

Windows 8が致命的にダメな理由

WIndows-8-logo

発売から2週間が経ったWindows 8ですが、その前途は多難です。

例を挙げて説明しましょう。近年、居酒屋チェーン店では全テーブルにタッチパネル端末が備え付けられていたり、店員がiPod touchを持って注文を訊きに来たりしますよね。昔は紙の伝票だったのが専用端末の時代を経てiPod touchに替わりました。注文はその都度Wi-Fiを通じて厨房に伝わるのでサービスの迅速性も得られます。また、タッチパネルは場面ごとに表示が変化するので、かつての専用機のようにボタン操作や手順を覚えずとも使えるメリットもあります。

では、Windows 8はこの用途を代替できるでしょうか?もちろんWindows 8を使ってはいけない理由はないものの、1台10万円かそこらする「タブレットにもなるWindows 8 PC」を各テーブルに設置したり、携帯端末としては大ぶりなWindows RT機を接客スタッフ全員に持たせるなんてのは非現実的。かといってWindows Phoneを注文訊きに使うのもナンセンスです。 居酒屋の例は日本に限った話で、あまたあるタブレットの導入例の一つに過ぎませんが、このような事象はいたるところで見つかります。例えば企業でアルバイトを雇い、外回りして簡単なリポートを提出してもらうような用途や、学校で一括導入して生徒に使わせる用途でも、フル機能を持ったタッチパネル対応のWindows機を託すよりiPad/iPod touchなりAndroid端末を持たせる方が何かと都合がいいわけです。

つまるところWindows 8は「タッチ操作が可能なWindows(RTはその機能限定版)」であって、早い話が「自分用」です。個人で使う分には良くても、多くのスタッフ、ユーザーに利用させる場合には向いていません。

そのため既存のWindowsユーザーの乗り換え需要か、せいぜい新しい個人ユーザーを少しばかり獲得するのが精いっぱいです。結果、Windows 8の出来が悪いからではなく、単純に数が出ないのでシェア争いでは苦戦するわけです。

よってWindows 8はパソコン用のOSとしては及第でも、急成長しているタブレット市場では何ら存在感を示せないことが次第に明らかになり、Micoroftは株主から猛烈な突き上げを食らうことになるのでしょう。かといってiOSやAndroidとは同じ土俵で戦わないなら、この先の同社の収益基盤が縮小していくだけです。

iPadではなくiPod touchやiPad miniにも対抗できないと、 タブレット市場では満足に戦えません

そこで、もしMicrosoftが本気でタブレット市場に本腰を入れるなら、Windows RTから旧来のWindows的な要素(デスクトップ画面など)をそぎ落とし、Windows Phone 8と統合して、PCメーカー側の裁量で自由に採用できるライセンス形態で仕切り直すしかないと思います。そうしてさまざまなメーカーからあらゆる形状、画面サイズの安価なWindows RTタブレットが登場するようになれば、ようやく戦う布陣が整います。

しかもWindows RTとWindows 8、Windows Phone 8のすべてで共通のModern UIアプリが動くなら、他にはない強みになります。現状、iOSアプリはMacでは動かず、AndoroidベースのPCはどれほども普及してないので勝機はあるでしょう。

自滅するMicrosoft

WIndows-8-logo

Windows 8が発売されました。でも、この鳴り物入りの新しいOSを私は鬼子と見ています。それもMicrosoftの存亡にかかわるほどの。

そもそもMicrosoftがかつてなぜIT業界の覇者となれたかというと、歴代のWindowsでエンタープライズ分野をガッチリ押さえたから。もちろん個人ユーザーも多いものの、メインは企業、政府・自治体、公共機関、NGO・NPO、学校などですね。一頃のOSシェアたるや実に95%超もありました。

では、それらのユーザーはWindows 8の導入を急務、必然と思うかと考えると…。

Windows 7の場合は、前作のVistaの評判が宜しくなく、XPからのアップグレードや買い替え需要を取り込むことができましたが、Windows 8は何をもって7からの移行を促すのでしょうか?タッチ操作?スタート画面?Windowsストア?それって生産性の向上に役立つの?

ああ、僅かに客先プレゼンを常とする営業マンぐらいはタブレットの恩恵を受けられるかも。とはいえその分野ではすでにiPadが先行しているわけです。

エンタープライズ分野に強いOSという原点を見つめ直せば、今本当に必要とされているのは「格段にセキュアになったOS」にほかなりません。素の状態でも既知のマルウェアに免疫があり、新たな脅威にも耐性が強いWindowsともなれば、誰もがこぞってアップグレードするでしょう。セキュリティ関連企業を丸ごと買ってでも、そこにこそリソースをつぎ込むべきでした。見た目やUIなんかは前と同じでも構わず、むしろ極力変えない方がいいくらいです。

でも、MicrosoftはタブレットとPCの融合などという中途半端で安易な方法を選んでしまいました。よほど隣の芝が青く見え、自分たちがその恩恵にあずかれないことが惜しかったのでしょうが、PCとタブレットやスマートフォンでは使われ方が違うのだから、別製品として開発したほうがどれほど良かったか…。

結局、PC、タブレット、スマートフォン、どれをとってもイマイチな製品にしかならないでしょう。Windows 8は個人ユーザーにしか売れず、いつしか失敗作の烙印を押され、ゆくゆくはMicrosoftの収益と株価を大きく落とすことになると思います。

XP、Vista、7からのアップグレードがこの値段。
ダウンロード版なら3,300円だし、デフレだ…

買うと後悔しそうなWindows 8搭載機

昨日は新しいiPadとMac、そしてAmazonからもKindleの国内販売が発表されました。

そして今夜0時を回るとWindows 8の販売が解禁されます。秋葉原あたりではカウントダウンイベントが開催されるのだとか。でも今回は事前にRelese Preview版やRTM版(利用期限がある他は製品と同じ)が出回っているわけで、いち早く手に入れたところでどうなるわけでもないというのに。まあ、暇なお祭り好きには良いでしょう。

さて、各社からWindows 8搭載機が続々と発表されていますが、ここでは買うと後悔しそうな機種の見分け方を書きます。私も別に関係各社に恨みはないものの、知り合いが買って後悔するといった事態は避けたいので。

まず、「タブレットにもなる」という宣伝文句の機種は私は買わない方がいいと思います。タッチパネル方式の液晶モニタがキーボードから外れたり、キーボードを回転させるとタッチパネルの土台になったりするやつですね。ギミック的には面白そうですが、二兎を追う者は一兎も得ず。タブレットにもなるWindows PCとは、要するに「Windows PC並に重たくて、バッテリーの減りも早いタブレット風のやつ」なので。タブレットとして使おうにも、その恩恵はほぼ受けられないだろうと。

よってWindows PCとしての面に重きを置くなら、旧来通り据え置きで使うことが前提の機種を選んだ方が無難です。いたって普通の形をしたラップトップ(日本で言うところの「ノート型」)を選ぶのが妥当かと。

次に要注意なのがWindows RTを搭載した機種。日本未発表のSerfaceなんかがこれに当たります。こちらの注意点は、「Windows」の名前を冠しているものの昔ながらのWindowsアプリは動作しないこと。日本語入力のATOKすら使えません。動くのはMicrosoftが新しく用意したOfficeや、新たにModern UI向けに開発されたアプリだけです。手持ちのWindowsアプリ類を使いたい人は買ってはいけません。

Windows RTにはびっくり

今週の金曜日にWindows 8およびWindows RTを搭載したマシンの発売が開始されます。

私もWindows 8のRelese Preview版やらは使っていたのですが、さすがに新たなハードウェアを必要とするWindows RTに触れる機会はありませんでした。

そこでネットでWindows RTの記事を読みあさっていたところ驚愕の事実に突き当たりました。何とWindows RTでもデスクトップ画面に切り替わるのですね。てっきりWindows RTはタブレット用途に特化したOSだと思っていたので、これにはびっくりです。今までのWindowsアプリは動かないというのに…。何か役割があるのでしょうね。

Microsoft Surface
てっきりこんな画面だけで何から何まで完結するのだと思っていたら…

ということは、Windows RTとは「ポストPC時代を見据えて生まれ変わった新機軸のWindows」などではなく、あくまでも「ARMプロセッサ向け廉価版Windows 8(Windowsアプリ動作不可)」なわけか…。ひょっとして環境設定もコントロールパネルで行うのかな?

ならば万人向けのiPadとは違い、ターゲットは「PCほどのハードウェアパワーと多彩なアプリを必要としなくなったPCユーザー」といったところでしょう。ローエンド向けどころか、むしろ自分に何が必要で何が不要かを理解している達観したベテラン層ですね。

だとすると、パソコンなど使ったことがない高齢者に「今流行りのタブレットだよ」とプレゼントしても、直ぐに使いあぐねてしまいそう…。

Microsoftの株主にしても、今同社に望んでいるのはそんなマニアックな隙間製品ではなく、とにかく「競争入札でiPadと張り合え、クリスマス商戦で人々がiPadの比較対象にするモノ(のOS)」ではないかと。そうじゃないと、iPadおよびAndroidによるPC市場の侵食(というか非PC市場の寡占化)を食い止められないので。でも、これではMicrosoftのラインナップは、あまりリテラシーを持たない人たち向けの製品がぽっかり空位のままです。

まあ、Windows RTに関しては、特にマニュアル大国の日本では早晩解説本やビデオが発売され、街のパソコンスクールや公民館で教室が開かれるかも知れません。NHKやCSでも入門講座が放映されるかも。そうして経済が回るなら歓迎すべきことですが、そもそも、そういった勉強を必要とするIT機器が今さら広く受け入れられるかは疑問です。人々はどうしても取っつきやすいiPadと比べてしまうでしょう。

差し当たり世間では「PCメーカーからもiPadみたいな簡単タブレットが出た」と受け止められるでしょうから、私としては知人から購入を相談された場合に「誰でも割と簡単に使えるよ」などとは答えないようにしないと。