出版業界、突然死へのカウントダウン

荒川強啓デイ・キャッチのPodcastで山田五郎さんのデイ・キャッチャーズボイスを聴きました。内田樹さんのスト宣言のいきさつに触れつつ、人気作家の本ばかりが矢継ぎ早に出る好ましくない風潮の理由として、書店での場所取りの目的があるのだとの考察でした。年間7万点あまりの新刊本が発行されている中で、人気作家の本でないと書店で置いてもらえない現状があるのだと。

また、取次に卸せば一旦は売り上げが立つため、すべてではないにせよ出版社は返品分を上回るだけ新刊本を作って卸す自転車操業的な運営がなされており、スタッフの数は増えていないのに出版点数は増えていくという、たいへんな状況にあるのだそうです。

もちろん電子書籍にしてしまえば書店のスペースなんぞには影響されなくなるわけですが、そうすると干上がるであろう取次会社の大株主は出版社だったりするので、手足を切り離すような思いきった決断もできないとのこと。

ならば出版社が電子書籍ビジネスにイマイチ乗り気でないのも解らなくはないです。近ごろiPadがブームとはいえ電子書籍端末の普及度はまだ僅か。現段階で電子書籍に軸足を移しても大きな売り上げは見込めないわけですから、出版社の経営者としては旧態然としたやり方にしがみつくしかないですよね。「将来性はないが、まだそこそこ売り上げが立つやり方」と「将来の本命でも今はまだ満足な売り上げにならないやり方」の選択肢なら断然前者。それをいつまでも続けられないことは重々わかっているものの、今日明日を食いつなぐためにはそうするしかありません。そうして逆境にも耐え忍んでいれば時折メガヒット作品に恵まれたり、何かのブームが訪れる特需があるやもしれませんし。

とは言え、当面は人気作家に本を書いてもらえば(人気作家の名前で本を出せば)取りあえずの売り上げには繋がるかもしれませんが、それを続けていくと購買者層を絞り込むようなことにもなりかねませんよね。結果、多様なニーズに応えられなくなればますます本離れが進みますし、街の本屋さんがギブアップすれば人々は本を買う機会を減らし、その習慣を忘れることでしょう。

産業にも旬や寿命があるものです。出版業界の団体はもはや「我々の誰かが食いっぱぐれるなら電子書籍なんかやらない」なんて言っていられる場合ではなく、業界を挙げて早いこと電子書籍でも食っていかれるように守り立てないと、もっと惨いことになりかねません。例えば、業を煮やした著名作家がことごとく外国の電子出版業者と契約を結んでしまうとか…。

驚くべき新製品は発表されたのだろうか?

昨夜(厳密に言うと今日)はうとうとしながら午前2時からAppleの新製品発表会のストリーミング中継を見ました。感想は「あれっ?それだけなの?」。どうにも拍子抜けした感じで。

今回、久々にApple自身が中継を行う(かつてQuickTimeでストリーミングをサポートした頃にはやっていたような記憶があります)ということで、さぞ気合いの入った発表があるのだろうと踏んでいたのですが、フタを開ければ総じて当たり前の新製品ばかりだったなぁと。自社でのストリーミングは、それこそ新Apple TVサービスの実証実験を兼ねるのだろうと。

もちろんフルモデルチェンジとなったiPod、小さくなったApple TV(ケーブルを繋ぐとコケそうだ)、SNS対応を果たしたiTunesなど、どれも決して悪くないとは思うものの、ほとんど事前のリーク情報通りでしたし、この内容だと誰も驚かないですよね。

ってことは、まだタマは残してあるのでしょうかね。とは言えクリスマス商戦に投入するためには来月中には発表しておきたいところでしょうから、もうしばらくお財布に余裕を持たせながら待ってみることにしましょう。

マリンワールド海ノ中道

先日、八景島シーパラダイスに続き水族館の話。福岡のマリンワールド海ノ中道の写真です。今年の春、帰省のついでにちょっくら寄ってみました。

イルカジャンプ in 福岡

カメラはCanon PowerShot G9。私にとっての先代機です。

この時は観客席ではなく通路に陣取り、イルカがボールめがけてジャンプしたところを見上げるようにして狙いました。ステージ奥にビル壁がそびえ立っている八景島とは違って、こちらは大空バックなので解放感もありますね。プールが深いのか、こちらの方がジャンプも高いです。

そして下の写真はマリンワールド名物「アシカのおんぶ」。

アシカのおんぶ

去年だったか、マリンワールドでは飼育員さんが仔アシカを負ぶって練り歩くと聞いていたものの、さすがに成長したら無理だろうと思っていたら、今春にもまだやっていました。

菅vs小沢

小沢前幹事長が民主党代表選挙にでるのだそうな。もうどっちでも良いのですが、敢えて選ぶなら私は小沢でしょうかね。なぜかというと、小沢総理が誕生した場合の検察やマスメディア(特に産経新聞)の態度が見物なので。いわゆる政治とカネの問題は、聞けば聞くほど不当な話に思えてなりませんし。

ジャーナリストの上杉隆さんが言うには、早くから記者会見をオープンにしている小沢氏がトップに立てば、政治の現場から記者クラブ制度が撤廃され兼ねず、政府の広報機関になることで築いてきた安寧な既得権とビジネスモデルが崩れることを恐れるメディアが彼にダーティなレッテル貼りの大キャンペーンを展開している」とのこと。実際にそのような意図がはたらいているのかは解りませんが、まあ小沢氏が内閣総理大臣に就任すればいろんなことがはっきりするでしょう。情報公開こそが改革のエンジンです。

それに、かねてから小沢氏の言う「無駄の削減」が本当できるのかどうか、やらせてみたい気がします。経済は無理だとしても行財政を良い方向に向かわせてくれるなら、 この際、たとえカネに汚くとも構わんです。

電子書籍の時代は本当に来るのだろうか?

オンザウェイ・ジャーナルの佐々木俊尚さんの回(2週目)を聴きました。前回同様、過渡期にあるメディア論は大変興味深かったのですが、中でもちょっと気になった点が。それは「村上龍さんの『歌うクジラ』の電子書籍は、横書きにも関わらずぜんぜん読みやすい」との見解。いや、もちろんここで語られているのは佐々木さん個人の感想に過ぎないのですが、それでもきっとそうなのだろうなと。なにしろ今日の日本語の文章には横文字が多々含まれているわけです。古典文芸書などはともかく、今どきの社会的な背景の文章には断然横書きの方が向いているはずです。

で、今さらなぜそんな当たり前のことを書くかというと、電子書籍の主役的なフォーマットであるePubの難点として「ルビが表現できない」「縦書きができない」という意見がよく聞かれるから。

確かにルビは日本語の書き文字文化を豊かにしてくれる重要な要素となっています。もし仮に人気漫画「ONE PIECE」なんかをルビ禁止にしたら面白さが目減りしてしまうような気がします。人の名前にしても、平易に読める字しか使ってはいけないとなると、何とも味気ないことになりますよね。

でも、縦書きの方は、そんなに必須というわけではないんじゃないかと。古典文学や文芸書が横書きでは雰囲気がそがれる思いを抱く人は多いかもしれませんが、誰もが目にしたことがある教科書を始め、横書き文書はそこら中に溢れているわけですし、慣れればどいうとうこともないのではないかと。事実、IT用語のように英数字が混在する今どきの文章では、むしろ縦書きは不利なわけです。中国なんかでもとっくに縦書きから横書きに切り替えてしまってるそうですし。

結局、ePubの縦書きうんぬんは言い訳として便利に使われているだけなんじゃないかという気がしています。皆ケチやら注文を付けたいんじゃないかと。

例えば出版社や著作者は、電子書籍による収益性が未知数、もしくは懐疑的、あるいは受け入れがたいほど厳しそうなので、なるべく先送りにしたい。そしてIT側に身を置く人は、様子見の方便に使っているか、あるいは来るべき日に自身が有利に立ち振る舞うべく表向きは牽制しているとか。「日本ではまだまだですねぇ」などと言いつつも裏では着々と対応を進めているような。

そして、「ルビ振りと縦書きさえできるようになりさえすれば…」を真に受けて、キラー的なニーズと捉えようものなら痛い目に遭いそうな気がしないでもないです。案外、それらが実現しても、やっぱり日本の電子書籍市場は、ごく一握りの有名作家(紙でも電子でも売れるような)の作品のみが売れる程度という状況が続く可能性もあるのではないかと…。