4月7(土)、地球の海フォトコンテストの授賞式が行われました。
授与式の締めくくりには福永友保審査員長からの有難いお言葉が。それを聞いて解ったことがあります。上位を狙うなら「撮影意図が見る人(審査員)に伝わり、かつ忠実に実践できている写真が高評価を得やすい」と。
実際、ネイチャー・環境部門グランプリ作品は魚眼レンズでハンマーヘッドシャークにすれすれまで接近して撮っているし(20ダイブも費やしたそうな)、自由部門グランプリ作品もグルクマの遊泳スピード(時速約20kmらしい)に合わせて泳ぎながら撮ったのだそうで。共に意識して狙わないと撮れない作品です。福永審査員長は「脚本、監督、撮影を一人でこなした」と表現されていました。いや、偶然でも似た絵は撮れるだろうけど、その場合は構図やフォーカスなど、どこかしら甘くなりがちですよね。
また、福永審査員長は式の終了後、私の隣に座っていた自由部門三位の方に直々にアドバイスに来られました。オリジナル写真はこちら。浮遊物を星空に見立てた秀作です。
これを、「こんな風にトリミングし、星空を大きく見せてたら、もっと評価が高くなった」と言っておられました。
確かにそうですね。魚の下にも削れる黒が広がっているので写真のオーソリティとしてはアドバイスせずにはいられなかったのでしょう。コンテストに出すならトリミング不要な写真を撮るのが基本だけど、少々ならトリミングして作品のクオリティを上げるのも重要なことです。でも、それをやられていたら、私よりも上位に来てたかもしれないわけだ…。
そして福永審査員長は帰り際に私の方に向いて「面白い写真だ」と声をかけてくださいました。「顔の周りに散っているのは金粉?」とも。まあ水中写真ジョークですね。
もちろん私だってそれなりの意図を持って撮りました。「2009年の新種カエルアンコウとしてナショナルジオグラフィック雑誌を飾ったこの写真を越えるインパクトのある写真にしよう」と。
結果、一番目的を果たしたと思えた写真が毎度のこれです。
もはや正面顔では芸がないので両目が対角線上に来るように斜めに振り、かつ大きな口も入れて、しかも顔以外の要素が写らないように撮りました。そのため「貴重な種類なのに何だかわからない撮り方」という素敵なコメントを得ることに成功したわけです。確かに普通なら超レアな魚は図鑑っぽく全身を撮りたくなるところですよね。
ちなみにトリミングは画角調整のために左右だけを。こういうときはFX(フルサイズ)よりも撮影範囲が狭いDXカメラのD7000で良かったと思いますね。