働かざるものも食うべし

mascot of FROGFISH.JPご存知の通り、先日71歳の男性が東海道新幹線内で焼身自殺テロを敢行しました。女性乗客一人が巻き添えになり、各方面にも多大な損害を与えた許しがたい行為です。

犯人は「月6万円の年金では暮らせない」と周囲にこぼしていたそうですが、何をか言わんや。その額未満で生活している人は大勢いるし、生活保護を受ける選択もあっただろうから。

ただし、考えさせられることもあります。その一つは「高齢者の貧困」。一説では日本の高齢者貧困率は19%もあるそうで。もちろん貧しい高齢者が必ずしも犯罪を犯すわけではないものの、中には貧困から誰かや社会を逆恨みしたり、自暴自棄になって良からぬことを引き起こす輩が出ないとも限りません。

あの新幹線のテロ犯は高度成長期やバブル期にも現役だったのだから生活の困窮には自業自得感がなくもないけど、近年は派遣労働など不定期かつ低賃金労働者が増えているので必然的に老後に資産を残せない人も確実に増えていきます。ただでさえ後の世代の年金給付開始年齢は先送りにされ、額も減らされていくのに。

加えてテクノロジーの進歩で、ある種の職業は縮小もしくはなくなる可能性も。

例えば先日GUの某店舗に立ち寄ったらレジが自動精算機に置き換わっていました。半年前はレジカウンターに販売係が何人も張り付いていたのに、今では数台の自動精算機の近くに一人いるだけ。まあGUはそもそも低価格路線なので必然的だし、人件費の圧縮が物価高騰の抑止になればありがたいけど、応分の頭数の雇用が失われたわけです。

別の例では自動車市場。遅くとも20年後ぐらいには完全自動運転車が走行しているでしょう。今はまだ不安が大きいものの、実用性が一定の水準まで達したら、むしろ当然視されると思います。何しろ飲酒運転やスピード違反、その他人為的な危険運転の可能性がなくなるから。街で酒を飲んでも自動運転車に乗り込むと後部座席で寝てる間に自宅前まで送ってくれると嬉しいですよね。あるいは海外にダイビングに行く際、レンタル自動運転車に迎えに来させ空港で乗り捨てるとか、深夜に帰国した際も寝ながら帰れると。

そんな時代になればタクシーや長距離輸送トラックのドライバー職はかなり減るはずです。路線バスはそれ自体が無くなるかも。そればかりか人々の所有欲がなくなって自家用車向けの市場も縮小し兼ねません。その時々で都合のいいタイプの自動運転車を借りて自宅に送迎させれば、わざわざ自分用の車を持つ必要はないのだから。結果、自動車の運転や販売関連の雇用はかなり縮小するのではないかと。運転免許を取る人も減るので教習所の多くは潰れるでしょう。

まあ、この予想通りになるかはともかく、今ある仕事が将来もあるとは限らないわけです。この点でも老後に向けた資産形成の環境はますます厳しくなっていくでしょう。

折しもEUはギリシャのデフォルト問題で揺れています。でもお荷物だからと安易にギリシャを切り捨てればEUの存続も危うくなります。増してや日本は国内の貧しい高齢者を見捨てることなどできません。

話が長くなったけど何が言いたいかというと「お金がない人も暮らしていかれる道を作っていかないとたいへんな事になるのでは?」ということ。

解決策は健康ランドみたいなシェルターとフードスタンプでしょうかね。最低限、寝る場所とお風呂と食事だけは保障すると。あるいはもっと他の施策があるのかな。

ともかく国立競技場にギリシャの債務額以上のとんでもない建築費を浪費するようなことをしていられる場合じゃないです。

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